色んなことが、ふと、気になって

小椋夏己

文字の大きさ
上 下
36 / 597
2021年 10月

消えた人2

しおりを挟む
 前回、「消えた人」として、ネットでの知り合いといきなり切れて消えてしまった人になるかも知れない、そう思った話を書きました。
 今回はそうして私の前から消えてしまった人、今でもふと、思い出す人について書きたいと思います。

 その人は仮に「Cさん」としておきます。私と仲間が知っている、その人が使っていたキャラの名前の頭文字です。

 知り合ったのは、私が2つ目に遊んだあるオンラインゲームです。
 私は前に遊んでいたゲームが終了してしまった時に、またその仲間に誘われて、2つ目のゲームがまだベータ版だった頃から参加しました。
 前のゲームはソフトをパッケージで買い、それに毎月課金して遊ぶタイプだったのですが、今度のはいわゆる「アイテム課金」です。無料で遊んで、必要なものがあったらお金を払って遊ぶタイプ。そういうのは初めてだったので、軽い気持ちで参加しました。

 私はゲーム下手、どんくさくてへっぽこプレイヤーの典型ですが、それでも仲間たちと一緒に狩りをしたり、ダンジョンへ潜ったりするのは楽しく、そうやって遊んでるうちに、仲良くなった人の一人がこのCさんでした。

 Cさんは、キャラを見たら結構おとぼけで、はっきり言うとあんまりゲームとか上手そうには思えないタイプの人でした。人当たりもよく、すぐに私の仲間たちとも打ち解けて、私も仲良くしてもらうようになりました。

 ところが、見た目の親しみやすさからは想像できないぐらいゲームが上手い! ランキング上位に入っていて、本人をよく知らない人からは「廃プレーヤー」とか悪口を書かれているのを見たこともあります。ですが、本人はいたって真面目に遊んでいるだけで、そんな陰口を言われるような人ではないのは、仲良くしていた私たちがよく知っています。

 その人が、どのぐらい経った頃だったか、

「このゲームを引退しようと思う」

 そう言いだして、びっくりしました。

 だって、まだまだ面白くなっている途中、やめる理由がなかったからです。飽きるというほどでもなかったし。
 そして、言った通り、その後、本当に引退してしまって、それ以来連絡が取れなくなりました。

 あの人がどこのどういう人か、仲間も誰も知りません。そのぐらい自分のことを秘密にしていた人だったもので。

 なにか理由があってやめなくてはならなかったのではなく、単に飽きたとかで、今も何かのゲームを楽しんでやってくれていたらいいんですが。
 今も仲間うちで「Cさんどうしてるかな」と、話が出ることもあります。

 どうぞ元気でいてください。
 またどこかでばったりと会えたら、私のことを「ふじこー!」(Cさんがつけた私のキャラの呼び名)って呼んでくれたらいいなと思います。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

投稿インセンティブで月額23万円を稼いだ方法。

克全
エッセイ・ノンフィクション
「カクヨム」にも投稿しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

榛名の園

ひかり企画
青春
荒れた14歳から17歳位までの、女子少年院経験記など、あたしの自伝小説を書いて見ました。

処理中です...