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side高崎明翔

呂久村深月は適当男子

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「今日は俺が料理を振舞おう! 買い物付き合ってよ」
「ほんと?! 何作んの?」
「ナイショ~」
「それじゃ買い物付き合っても何買えばいいのか分かんないじゃん」
「あ、そっか。餃子食いたいと思ってさ」
「餃子?! いきなり手間ひまかかるもの作る気になったんだね?!」
「手間ひま? 焼くだけじゃねーの?」
「……深月、もしかして餃子を買おうと思ってた?」
「そりゃそーだろ。餃子食いたいのに他に何買うんだよ」

 餃子を作るのかと思った。材料多いとやる気なくす深月がキャベツのみじん切りとかしたがるワケがないな、よく考えたら。

 てか深月、餃子が餃子の木にでも成ると思ってんのかなあ。

 放課後、スーパーで10個78円の激安餃子を5袋買った。

 深月の家に入ると、深月の飼い猫ツンとデレがそろってナア、と出迎えてくれるのが超絶かわいい。

「ツン! デレ! 来い!」

 俺が両手を広げてひざまずくと2匹そろって飛び込んでくる。息が合ってるなあ、君ら。かわいすぎる!

「ほんと、アニマルトレーナーな、明翔」

 呆れたように言いつつ、その目線は明らかに俺をうらやんでいる。
 かっわいい。深月もツンを抱っこしたいんだろうなあ。素直に言えばいいのに。俺からならツンも嫌がらないのは黒岩くんに抱っこさせたげた時に分かってるのに、深月はかたくなにツンを抱きたいとは言わない。

 深月はほんと、素直じゃない。
 今も、餃子の焼き方が分かんないなら袋に書いてる焼き方を見ればいいのに読もうとしない。

「まー、焼きゃいいんだよな」

 フライパンにダボダボ油を入れて、そこへ次々チルド餃子の袋を開けてトレーから逆さまにダイブさせる。

 てっきとーだなー。

「あはは! 揚がっちゃってんじゃん! 揚げ餃子食いたかったの?」
「何、揚げ餃子って」
「今深月が作り上げてるものだよ!」
「俺ゃ餃子焼いてんだよ」
「だから、揚がっちゃってんだよ!」
「え、これ唐揚げになってんの?」
「揚げたら何でも唐揚げになるんじゃねーし!」
「え、そうなの?」

 フライパンを眺めながら、えー、これどうすりゃいーんだよ……と呆然とつぶやいてる。
 その間にもフライパンの底に面してる餃子の皮が茶色から黒になろうとしている。

「深月、餃子上下返さないと! このままじゃ焦げと生の最悪な食いもんができあがるよ!」
「え、何その超まずそうな食いもん」
「今深月が作り上げてるものだよ!」
「俺今そんなもん作ってんの?」
「あはは! 作ってるよ!」
「あ、聞かなきゃと思って忘れてた。明翔、解熱剤でアナフィラキシー起こしたんならアレルギー体質だろ? 餃子大丈夫?」
「餃子しか買ってねえのに、今聞くの? 大丈夫だよ」

 深月はほんと、適当でおおらかでいいな。何も考えてなさそうで、でもそれでいて俺のこともちゃんと考えてくれてる。

「ん? 何? また俺何か変なもん作ってる?」
「ううん。深月のそういうとこ好き。俺の体心配してくれて、ありがとうね」
「えっ……あー、うん、そりゃ、アナフィラキシーショックはショックなんだから、そりゃ気にするよ」

 完全に目が泳いで挙動不審だなあ。何なんだろ、深月って時々挙動不審になる。

 でも、顔赤くなってキョドってる深月もすげー好き。
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