11 / 81
柳 龍二はパンツ王子
しおりを挟む
昼休み、食堂に弁当を買いに行く俺、高崎明翔、佐藤颯太になぜか取り巻きの女子を断って柳龍二がついてくる。
「僕、パンツが好きなんだ」
「俺もパンチラ好き」
「いや、履いてるパンツには興味ない」
「お前、何言ってんの?」
マジで。本気の何言ってんのが出たわ。そして意外にもパンチラ好きなのか、明翔。女子みたいな顔して女子のパンツ見て喜んでるとか違和感。
我が2年1組の学級委員長、柳龍二が真剣な顔で俺たちを見る。弁当やパンを食っていた俺たちもその気迫に押されて食う手を止める。
「もっと僕のことを知ってもらいたくて」
「まず知ってほしい情報がパンツなのか」
大真面目にうなずく。イケメンメガネ王子と異名を持つのは知っていたが、パンツ王子でもあったのか。
「どんなパンツが好きなの?」
「大きめのトランクスがいい。派手な色でコントラストの効いたパンツが好きなんだ」
「自分のパンツかよ!」
「いや、自分のに関わらずパンツ」
「履きたいパンツじゃねーの? 大きめのトランクス」
「履きたい訳じゃない。僕自身はパンツは履かない主義だから。主に見る」
主にって何だ、主にって。
「え……今もパンツ履いてねえの?」
颯太がかわい子ぶるのを忘れて尋ねる。
「体育のある日は履いてる」
「毎日履いて来いよ。きったねえな。スラックス毎日洗濯してる訳じゃねー……だろうから、スラックスが汚れちゃうよ?」
思い出したか、颯太。
「佐藤くんがそう言うなら、毎日履いてくるよ。佐藤くんも毎日パンツ履いてるってことだよね?」
「は? 履いてるけど」
「僕たち、おそろいだね」
「はあ?」
それで言うなら俺もおそろいだな。ていうか、ほとんどの人間が毎日パンツ履いてると思うんだけど。
イケメンメガネ王子ってしゃべるとこんなヤツだったのか。ただの見た目ヤンキーな優等生だと思ってた。
「柳ってなんで優等生なのに金髪なの?」
「ギャップだよ。データによると、女子はギャップに弱い。金髪なのにメガネ、金髪なのに優等生」
「そのメガネもギャップの演出って訳か」
「僕、視力両目とも2.0超えてるからね」
ただ、女子が萌えるギャップってこんな分かりやすいのよりはヤンキーなのに子犬拾うとか、優等生なのにデカいバイク乗ってるとかじゃないだろうか。
なんかズレとんな、このパンツ王子。
「やだー、下着ドロボーとか最悪ー」
「買ったばっかりのパンツだったのにー」
「パンツ? 取られたのかい?」
隣で昼食を食べている女子ふたりに柳が声をかける。
パンツセンサーが冴えとるな、柳。
「そうなの。うちの近所最近多いらしくって」
「失礼だが、母子家庭だったりする?」
「え! どうして分かったの?」
「女性物の洗濯物しかないベランダは狙われやすいんだ。男物のパンツを一緒に干すといいよ。僕のコレクションから持って来てあげようか」
「え! 柳くんのパンツを?!」
「大丈夫、一度も履いてないパンツがたくさんあるから」
履けよ。パンツは履くために買えよ。
「とりあえず俺のパンツ持って帰って干しとく?」
明翔がズボンに手を掛ける。
「そうしてくれるかい、高崎くん」
「え?! キャー!」
「脱ぐな! やめろ、明翔!」
ベルトを外してチャックを下ろそうとする明翔の前に慌てて立ちはだかる。
「え? なんで深月が赤くなってんの?」
「うっせえ! いいからベルト締め直せ!」
「はーい」
首をかしげて不思議がってるけど、普通にダメだろ、人前でパンツなんか見せちゃ!
「明翔のパンツなんかどうでもいいやっ」
「佐藤くん、かわいいー」
大きなメロンパンにかぶりついた颯太に、女子が黄色い声を上げる。
どうでもよくない! 他の男ならどうでもいいけど、一条優そっくりな顔でそういうことをするんじゃない!
「僕、パンツが好きなんだ」
「俺もパンチラ好き」
「いや、履いてるパンツには興味ない」
「お前、何言ってんの?」
マジで。本気の何言ってんのが出たわ。そして意外にもパンチラ好きなのか、明翔。女子みたいな顔して女子のパンツ見て喜んでるとか違和感。
我が2年1組の学級委員長、柳龍二が真剣な顔で俺たちを見る。弁当やパンを食っていた俺たちもその気迫に押されて食う手を止める。
「もっと僕のことを知ってもらいたくて」
「まず知ってほしい情報がパンツなのか」
大真面目にうなずく。イケメンメガネ王子と異名を持つのは知っていたが、パンツ王子でもあったのか。
「どんなパンツが好きなの?」
「大きめのトランクスがいい。派手な色でコントラストの効いたパンツが好きなんだ」
「自分のパンツかよ!」
「いや、自分のに関わらずパンツ」
「履きたいパンツじゃねーの? 大きめのトランクス」
「履きたい訳じゃない。僕自身はパンツは履かない主義だから。主に見る」
主にって何だ、主にって。
「え……今もパンツ履いてねえの?」
颯太がかわい子ぶるのを忘れて尋ねる。
「体育のある日は履いてる」
「毎日履いて来いよ。きったねえな。スラックス毎日洗濯してる訳じゃねー……だろうから、スラックスが汚れちゃうよ?」
思い出したか、颯太。
「佐藤くんがそう言うなら、毎日履いてくるよ。佐藤くんも毎日パンツ履いてるってことだよね?」
「は? 履いてるけど」
「僕たち、おそろいだね」
「はあ?」
それで言うなら俺もおそろいだな。ていうか、ほとんどの人間が毎日パンツ履いてると思うんだけど。
イケメンメガネ王子ってしゃべるとこんなヤツだったのか。ただの見た目ヤンキーな優等生だと思ってた。
「柳ってなんで優等生なのに金髪なの?」
「ギャップだよ。データによると、女子はギャップに弱い。金髪なのにメガネ、金髪なのに優等生」
「そのメガネもギャップの演出って訳か」
「僕、視力両目とも2.0超えてるからね」
ただ、女子が萌えるギャップってこんな分かりやすいのよりはヤンキーなのに子犬拾うとか、優等生なのにデカいバイク乗ってるとかじゃないだろうか。
なんかズレとんな、このパンツ王子。
「やだー、下着ドロボーとか最悪ー」
「買ったばっかりのパンツだったのにー」
「パンツ? 取られたのかい?」
隣で昼食を食べている女子ふたりに柳が声をかける。
パンツセンサーが冴えとるな、柳。
「そうなの。うちの近所最近多いらしくって」
「失礼だが、母子家庭だったりする?」
「え! どうして分かったの?」
「女性物の洗濯物しかないベランダは狙われやすいんだ。男物のパンツを一緒に干すといいよ。僕のコレクションから持って来てあげようか」
「え! 柳くんのパンツを?!」
「大丈夫、一度も履いてないパンツがたくさんあるから」
履けよ。パンツは履くために買えよ。
「とりあえず俺のパンツ持って帰って干しとく?」
明翔がズボンに手を掛ける。
「そうしてくれるかい、高崎くん」
「え?! キャー!」
「脱ぐな! やめろ、明翔!」
ベルトを外してチャックを下ろそうとする明翔の前に慌てて立ちはだかる。
「え? なんで深月が赤くなってんの?」
「うっせえ! いいからベルト締め直せ!」
「はーい」
首をかしげて不思議がってるけど、普通にダメだろ、人前でパンツなんか見せちゃ!
「明翔のパンツなんかどうでもいいやっ」
「佐藤くん、かわいいー」
大きなメロンパンにかぶりついた颯太に、女子が黄色い声を上げる。
どうでもよくない! 他の男ならどうでもいいけど、一条優そっくりな顔でそういうことをするんじゃない!
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが
松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。
ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。
あの日までは。
気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。
(無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!)
その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。
元日本人女性の異世界生活は如何に?
※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。
5月23日から毎日、昼12時更新します。

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。
かーにゅ
BL
「君は死にました」
「…はい?」
「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」
「…てんぷれ」
「てことで転生させます」
「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」
BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる