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世紀末フェアリーズワンダホー
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おもしれー。
フェアワン、超おもしれー。この世界観好きだわー。
俺、呂久村深月が今ハマっているアニメこそ、俺の中で今世紀初大ヒットしている「世紀末フェアリーズワンダホー」である。
ゾンビ化したザコどもを超デカい肉体派の武術士が秘孔をついて世直しをしていくのがメインストーリーだが、主人公は吟遊詩人と幼なじみの精霊使いによるバディである。
時はすっかり荒廃した世紀末。
暗い暗い瓦礫の中を、どういう訳か優雅に薄緑色のローブをたなびかせる小柄な吟遊詩人と、その倍ほども背の高い派手な赤い衣装の巨乳美女精霊使いが歩いてくるオープニングが印象的だ。
内容の8割がこのふたりによるイチャイチャ。あとの2割で武術士が華麗な技を披露し巨大な敵を倒していく。
ラブコメと世紀末ファンタジーのバランスの良さがいい!
ファンタジーっていいよな。夢があるよな。
こんな薄暗い瓦礫の中からピンポイントで手ぇ突っ込んでダイヤモンドの原石見つけられるんだぜ。
魔法の力で100万光年先まで見渡せるくらい光り輝くダイヤモンドの結婚指輪になるんだぜ。
ふたりの指輪を合わせたら夢の世界への扉が開いてモーニングサンダーワールドに転生するんだぜ。
お、次回からはモーニングサンダーワールド編に入るのか。来週も楽しみだな!
え、てか予告見る限り、夢の世界のくせに世紀末よりも凄惨な世の中っぽいんだけど。
全く、フェアワンは展開が読めねえな! おもしろい!
さて、寝よ。明日も学校だってのに、ド深夜まで起きててしまった。どうしてもリアタイで見たいんだよな、フェアワンだけは。
気が付くと俺は、デカすぎる馬に乗って疾走している。宇宙から来た白い犬に乗ってる宇宙から来たチャイナ娘みたいになってんだけど。この俺が身にまとっている薄緑色のローブは……ああ、夢か。
手綱を引きながらふと見ると、案の定馬に乗ってる俺と身長の変わらない一条優が赤い衣装を着て猛スピードで走る俺の真横を猛スピードで飛んでいる。
「敵よ! 深月!」
「敵?」
ああ、ザコゾンビがうーあーとうなり声を上げながらヨロヨロとさまよっている。
「よし! 行くぞ!」
馬の腹を蹴ってスピードを増し、ザコに馬を体当たりさせる。
「やったわね! 深月!」
「ザコ潰したくらいで喜んでんじゃねーよ! 一条優!」
「一条優? 何言ってるの? 私は高崎明翔よ」
え?
いつの間にか、俺は馬を下りていて高校の制服を着て誰もいない教室にいる。
誰もいないかと思ったら、背中に寄り添う人の温かさを感じて心臓が早鐘を打つ。
……え……どっち?
一条優?
高崎明翔?
ゆっくりと振り返る。
一条優が笑っている。倒れそう。会いたかった、一条優。
中学の入学式で一条優が違う中学に行ったと知った時、俺はどうして小学校の間に告白しなかったんだろう、勇気を出して話しかけなかったんだろうって、手遅れな後悔をした。
「俺、お前がずっと好きだった。言えて良かったよ、一条優」
一条優の笑顔が豹変した。
「私は高崎明翔だって言ってるでしょ!」
高崎明翔が教室を走り出てしまう。
「待って! 高崎明翔!」
俺は高崎明翔を追いかけて教室を出た。
ハッと目を開ける。閉め忘れたカーテンからの初夏の朝日で部屋は明るい。
……夢……なんっちゅー夢を……。
高崎明翔は一条優ではありえないって頭で分かっても、俺の脳みそはどうにも納得できねえみたいだな。
なんだよ、夢かー……。いつか本当に言いたい。一条優、本人に。
フェアワン、超おもしれー。この世界観好きだわー。
俺、呂久村深月が今ハマっているアニメこそ、俺の中で今世紀初大ヒットしている「世紀末フェアリーズワンダホー」である。
ゾンビ化したザコどもを超デカい肉体派の武術士が秘孔をついて世直しをしていくのがメインストーリーだが、主人公は吟遊詩人と幼なじみの精霊使いによるバディである。
時はすっかり荒廃した世紀末。
暗い暗い瓦礫の中を、どういう訳か優雅に薄緑色のローブをたなびかせる小柄な吟遊詩人と、その倍ほども背の高い派手な赤い衣装の巨乳美女精霊使いが歩いてくるオープニングが印象的だ。
内容の8割がこのふたりによるイチャイチャ。あとの2割で武術士が華麗な技を披露し巨大な敵を倒していく。
ラブコメと世紀末ファンタジーのバランスの良さがいい!
ファンタジーっていいよな。夢があるよな。
こんな薄暗い瓦礫の中からピンポイントで手ぇ突っ込んでダイヤモンドの原石見つけられるんだぜ。
魔法の力で100万光年先まで見渡せるくらい光り輝くダイヤモンドの結婚指輪になるんだぜ。
ふたりの指輪を合わせたら夢の世界への扉が開いてモーニングサンダーワールドに転生するんだぜ。
お、次回からはモーニングサンダーワールド編に入るのか。来週も楽しみだな!
え、てか予告見る限り、夢の世界のくせに世紀末よりも凄惨な世の中っぽいんだけど。
全く、フェアワンは展開が読めねえな! おもしろい!
さて、寝よ。明日も学校だってのに、ド深夜まで起きててしまった。どうしてもリアタイで見たいんだよな、フェアワンだけは。
気が付くと俺は、デカすぎる馬に乗って疾走している。宇宙から来た白い犬に乗ってる宇宙から来たチャイナ娘みたいになってんだけど。この俺が身にまとっている薄緑色のローブは……ああ、夢か。
手綱を引きながらふと見ると、案の定馬に乗ってる俺と身長の変わらない一条優が赤い衣装を着て猛スピードで走る俺の真横を猛スピードで飛んでいる。
「敵よ! 深月!」
「敵?」
ああ、ザコゾンビがうーあーとうなり声を上げながらヨロヨロとさまよっている。
「よし! 行くぞ!」
馬の腹を蹴ってスピードを増し、ザコに馬を体当たりさせる。
「やったわね! 深月!」
「ザコ潰したくらいで喜んでんじゃねーよ! 一条優!」
「一条優? 何言ってるの? 私は高崎明翔よ」
え?
いつの間にか、俺は馬を下りていて高校の制服を着て誰もいない教室にいる。
誰もいないかと思ったら、背中に寄り添う人の温かさを感じて心臓が早鐘を打つ。
……え……どっち?
一条優?
高崎明翔?
ゆっくりと振り返る。
一条優が笑っている。倒れそう。会いたかった、一条優。
中学の入学式で一条優が違う中学に行ったと知った時、俺はどうして小学校の間に告白しなかったんだろう、勇気を出して話しかけなかったんだろうって、手遅れな後悔をした。
「俺、お前がずっと好きだった。言えて良かったよ、一条優」
一条優の笑顔が豹変した。
「私は高崎明翔だって言ってるでしょ!」
高崎明翔が教室を走り出てしまう。
「待って! 高崎明翔!」
俺は高崎明翔を追いかけて教室を出た。
ハッと目を開ける。閉め忘れたカーテンからの初夏の朝日で部屋は明るい。
……夢……なんっちゅー夢を……。
高崎明翔は一条優ではありえないって頭で分かっても、俺の脳みそはどうにも納得できねえみたいだな。
なんだよ、夢かー……。いつか本当に言いたい。一条優、本人に。
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