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ふたり
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「いただきまーす」
清水くんとふたりして、手を合わせる。なんか、おままごとみたいで、くすぐったい照れくさい笑いが込み上げる。
「あはははははは」
「え? どうしたの? 急に」
「なんかおもしろくなっちゃって。どうかな? ハンバーグ、できてるかな」
「うん! 美味しい!」
かわいい笑顔で嬉しそうに頬張ってる。良かった、ちゃんと中まで火が通っていそうだわ。
「来週再来週の土曜と日曜で茉悠さんの部屋を片付けるからね。解約のハガキ出しと……くから、明日契約書取ってきて。今日持って来れば良かったなあ。忘れてたよ、解約手続きのこと」
「契約書……」
「失くしてはないよね?」
「まあ、持ち出すものでもないから家の中にはあると思うわ」
「最悪、家賃は余分にかかっちゃうけど解約手続き後回しでもいいか。片付ければ絶対出てくるんだから。退去日に関わらず、今月中に部屋の中身を空っぽにするよ」
「空っぽにするの?」
「逆にどうするつもりだったの」
あのままほっといて帰らなきゃいいのかなあって思ってたわ。解約手続きなんて知らなかったし。
ごはんを食べ終えたら、お風呂の給湯ボタンを押した清水くんが
「俺洗い物しとくから、茉悠さんお風呂どうぞ」
とキッチンに向かった。
「え? 洗い物してくれるの?」
「料理はほとんど手伝えないから、後片付けくらいはね」
頼まなくても自分からやってくれるなんて……清水くんって、かなりの優良物件じゃないのかしら。
料理も手伝ってくれてたし。案外大ざっぱでレタスの大きさはマチマチだったけど、神経質よりその方が気が楽でいいわ。
鼻がムズムズしてくしゃみが出た。ティッシュを取って鼻をかみ、丸めてテーブルにポイッと置いたのを私のお皿を取りに来た清水くんが
「こら! 鼻かんだティッシュをそこら辺に置かないの! ゴミ箱に入れてよ、すぐそこにあるんだから」
と注意してきた。あ、わずかでも動くのがめんどくさくてつい。もうそこら辺にポイポイするのがクセになってるのかもしれない。
「そういう積み重ねであの部屋が出来上がった訳か。俺あんな部屋に住むなんて無理だからね。その散らかしグセだけは直してもらうからね」
「えー、めんどくさそう」
「ついでに言わせてもらうとさ、食べた食器を流しに運んで水につけとくとこまではやってくれる?」
それもめんどくさいんだけど、優しい笑顔で言われて思わず
「うん、分かった」
と、つられて笑顔になって言ってしまった。
あら、困るわね。あんな笑顔で言われたんじゃついつい何言われても「うん」って言ってしまいそうだわ。
私はめんどくさいんだけど。
清水くんとふたりして、手を合わせる。なんか、おままごとみたいで、くすぐったい照れくさい笑いが込み上げる。
「あはははははは」
「え? どうしたの? 急に」
「なんかおもしろくなっちゃって。どうかな? ハンバーグ、できてるかな」
「うん! 美味しい!」
かわいい笑顔で嬉しそうに頬張ってる。良かった、ちゃんと中まで火が通っていそうだわ。
「来週再来週の土曜と日曜で茉悠さんの部屋を片付けるからね。解約のハガキ出しと……くから、明日契約書取ってきて。今日持って来れば良かったなあ。忘れてたよ、解約手続きのこと」
「契約書……」
「失くしてはないよね?」
「まあ、持ち出すものでもないから家の中にはあると思うわ」
「最悪、家賃は余分にかかっちゃうけど解約手続き後回しでもいいか。片付ければ絶対出てくるんだから。退去日に関わらず、今月中に部屋の中身を空っぽにするよ」
「空っぽにするの?」
「逆にどうするつもりだったの」
あのままほっといて帰らなきゃいいのかなあって思ってたわ。解約手続きなんて知らなかったし。
ごはんを食べ終えたら、お風呂の給湯ボタンを押した清水くんが
「俺洗い物しとくから、茉悠さんお風呂どうぞ」
とキッチンに向かった。
「え? 洗い物してくれるの?」
「料理はほとんど手伝えないから、後片付けくらいはね」
頼まなくても自分からやってくれるなんて……清水くんって、かなりの優良物件じゃないのかしら。
料理も手伝ってくれてたし。案外大ざっぱでレタスの大きさはマチマチだったけど、神経質よりその方が気が楽でいいわ。
鼻がムズムズしてくしゃみが出た。ティッシュを取って鼻をかみ、丸めてテーブルにポイッと置いたのを私のお皿を取りに来た清水くんが
「こら! 鼻かんだティッシュをそこら辺に置かないの! ゴミ箱に入れてよ、すぐそこにあるんだから」
と注意してきた。あ、わずかでも動くのがめんどくさくてつい。もうそこら辺にポイポイするのがクセになってるのかもしれない。
「そういう積み重ねであの部屋が出来上がった訳か。俺あんな部屋に住むなんて無理だからね。その散らかしグセだけは直してもらうからね」
「えー、めんどくさそう」
「ついでに言わせてもらうとさ、食べた食器を流しに運んで水につけとくとこまではやってくれる?」
それもめんどくさいんだけど、優しい笑顔で言われて思わず
「うん、分かった」
と、つられて笑顔になって言ってしまった。
あら、困るわね。あんな笑顔で言われたんじゃついつい何言われても「うん」って言ってしまいそうだわ。
私はめんどくさいんだけど。
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