56 / 99
シュウと柊
25
しおりを挟む
清水くんがまっすぐに私を見てる。……いたたまれない。走って逃げたい。
私の借金を肩代わりしてもらえたら、たしかにこのどうにもならなくなった生活を立て直せるのかもしれない。
でも……清水くんにそんなことさせられない。
「ダメだよ、清水くん。ご両親に恩返しするためにお金貯めてるんでしょう。私は大丈夫。少しずつだけど、これでも借金は減ってるの」
「俺1000万を目標に貯めてるから200万くらいならすぐ出せるよ」
「その200万もご両親に使って。清水くんがご両親のために貯めてきたお金を出してもらうことなんてできないよ」
清水くんが困った顔をしてる。ごめんね、かたくなで。でも……それは、本当にできない。清水くんのご両親への気持ちを私なんかのために邪魔したくない。
「茉悠さんのご両親だって、娘がこんな仕事してるなんて悲しむよ。親は知らないんだろ?」
「大丈夫よ、私の親はもういないから」
「……え? どういう意味? 絶縁したの?」
あ、この年で両親ともいないって、レアケースなんだったわ。
「私、1歳の時に肺炎になって高熱が出て、けいれん起こして救急車で運ばれて入院したらしいの。落ち着いてから両親が入院の準備をするために家に帰って、病院に戻る途中で事故に巻き込まれちゃって亡くなったみたいなの」
「……え……」
清水くんが呆然としてる。ごめんね、驚かせちゃって。
「だから、私のことは心配してくれなくて大丈夫だから。ご両親を大切にして」
「え、1歳の時って……」
「あ、孤児のための施設があるの。ひとりで生きてきた訳じゃないし、私ずっと自分の部屋で漫画とかアニメ見てたような子だったからきっと家族がいても大差ないと思うし」
「……孤児……?」
「うん、事情は知らないけど、親は親戚付き合いとかなかったみたいね。私親戚ひとりも知らないから。でも、周りの先生達もおばちゃん達も優しかったし、ちゃんと幸せだったから大丈夫」
心配しないで。不幸な人生を歩んできた訳じゃない。私なりに、ちゃんと幸せだったから気にしないで。
「え……天涯孤独ってやつ……?」
「そうね、正真正銘の天涯孤独ね」
「茉悠さん……天涯孤独に育って、こんなに天………………――天真爛漫に……」
今の長過ぎる間は何かしら。違う言葉を言おうとしてたんじゃないかしら。
私の借金を肩代わりしてもらえたら、たしかにこのどうにもならなくなった生活を立て直せるのかもしれない。
でも……清水くんにそんなことさせられない。
「ダメだよ、清水くん。ご両親に恩返しするためにお金貯めてるんでしょう。私は大丈夫。少しずつだけど、これでも借金は減ってるの」
「俺1000万を目標に貯めてるから200万くらいならすぐ出せるよ」
「その200万もご両親に使って。清水くんがご両親のために貯めてきたお金を出してもらうことなんてできないよ」
清水くんが困った顔をしてる。ごめんね、かたくなで。でも……それは、本当にできない。清水くんのご両親への気持ちを私なんかのために邪魔したくない。
「茉悠さんのご両親だって、娘がこんな仕事してるなんて悲しむよ。親は知らないんだろ?」
「大丈夫よ、私の親はもういないから」
「……え? どういう意味? 絶縁したの?」
あ、この年で両親ともいないって、レアケースなんだったわ。
「私、1歳の時に肺炎になって高熱が出て、けいれん起こして救急車で運ばれて入院したらしいの。落ち着いてから両親が入院の準備をするために家に帰って、病院に戻る途中で事故に巻き込まれちゃって亡くなったみたいなの」
「……え……」
清水くんが呆然としてる。ごめんね、驚かせちゃって。
「だから、私のことは心配してくれなくて大丈夫だから。ご両親を大切にして」
「え、1歳の時って……」
「あ、孤児のための施設があるの。ひとりで生きてきた訳じゃないし、私ずっと自分の部屋で漫画とかアニメ見てたような子だったからきっと家族がいても大差ないと思うし」
「……孤児……?」
「うん、事情は知らないけど、親は親戚付き合いとかなかったみたいね。私親戚ひとりも知らないから。でも、周りの先生達もおばちゃん達も優しかったし、ちゃんと幸せだったから大丈夫」
心配しないで。不幸な人生を歩んできた訳じゃない。私なりに、ちゃんと幸せだったから気にしないで。
「え……天涯孤独ってやつ……?」
「そうね、正真正銘の天涯孤独ね」
「茉悠さん……天涯孤独に育って、こんなに天………………――天真爛漫に……」
今の長過ぎる間は何かしら。違う言葉を言おうとしてたんじゃないかしら。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
JC💋フェラ
山葵あいす
恋愛
森野 稚菜(もりの わかな)は、中学2年生になる14歳の女の子だ。家では姉夫婦が一緒に暮らしており、稚菜に甘い義兄の真雄(まさお)は、いつも彼女におねだりされるままお小遣いを渡していたのだが……
【R18完結】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※サムネにAI生成画像を使用しています
イケメンエリート軍団の籠の中
便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある
IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC”
謎多き噂の飛び交う外資系一流企業
日本内外のイケメンエリートが
集まる男のみの会社
唯一の女子、受付兼秘書係が定年退職となり
女子社員募集要項がネットを賑わした
1名の採用に300人以上が殺到する
松村舞衣(24歳)
友達につき合って応募しただけなのに
何故かその超難関を突破する
凪さん、映司さん、謙人さん、
トオルさん、ジャスティン
イケメンでエリートで華麗なる超一流の人々
でも、なんか、なんだか、息苦しい~~
イケメンエリート軍団の鳥かごの中に
私、飼われてしまったみたい…
「俺がお前に極上の恋愛を教えてやる
他の奴とか? そんなの無視すればいいんだよ」
可愛い女性の作られ方
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
風邪をひいて倒れた日。
起きたらなぜか、七つ年下の部下が家に。
なんだかわからないまま看病され。
「優里。
おやすみなさい」
額に落ちた唇。
いったいどういうコトデスカー!?
篠崎優里
32歳
独身
3人編成の小さな班の班長さん
周囲から中身がおっさん、といわれる人
自分も女を捨てている
×
加久田貴尋
25歳
篠崎さんの部下
有能
仕事、できる
もしかして、ハンター……?
7つも年下のハンターに狙われ、どうなる!?
******
2014年に書いた作品を都合により、ほとんど手をつけずにアップしたものになります。
いろいろあれな部分も多いですが、目をつぶっていただけると嬉しいです。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
【R18】豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網〜策士な後輩から逃げられません!〜
湊未来
恋愛
「ねぇ、本当に陰キャの童貞だって信じてたの?経験豊富なお姉さん………」
30歳の誕生日当日、彼氏に呼び出された先は高級ホテルのレストラン。胸を高鳴らせ向かった先で見たものは、可愛らしいワンピースを着た女と腕を組み、こちらを見据える彼の姿だった。
一方的に別れを告げられ、ヤケ酒目的で向かったBAR。
「ねぇ。酔っちゃったの………
………ふふふ…貴方に酔っちゃったみたい」
一夜のアバンチュールの筈だった。
運命とは時に残酷で甘い………
羊の皮を被った年下オオカミ君×三十路崖っぷち女の恋愛攻防戦。
覗いて行きませんか?
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
・R18の話には※をつけます。
・女性が男性を襲うシーンが初回にあります。苦手な方はご注意を。
・裏テーマは『クズ男愛に目覚める』です。年上の女性に振り回されながら、愛を自覚し、更生するクズ男をゆるっく書けたらいいなぁ〜と。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる