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幸せの連鎖
やっぱり、かわいすぎる
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今じゃねえだろ、とつぶやいた魁十がリビングを出て行く。
私もそれな、と思う。
魁十に続いて入ってきた大輝くんがうっとうしくて仕方ない。
「こんにちは、紗夜ちゃん」
「本当に法律に詳しいの? 魁十に取り入るための嘘じゃないでしょうね」
「あははっ。あいさつも無しにひどいなあ」
だって、こんなザックリ胸元の開いた服着てサングラスで前髪を上げたチャラい弁護士なんているとは思えないもの。
ほんと、顔だけはいいくせに全開にされると目のやり場に困る。
「正真正銘、東大院卒の司法試験合格者だよ」
「念のために合格証書見せてもらった。ガチだった」
ガチか……。
「無免許運転で現行犯逮捕されても法の力を逆手にとって無罪を勝ち取る自信があるんだって」
「めったにバイク乗らないのに教習所に通う時間と金がもったいない」
神は与えちゃいけない人に明晰な頭脳を与えてしまったんだね。
彼こそ神様の失敗作。何事があって学歴すごいのに高卒が途中入社する会社に流れ着いたのかしら。
「僕が絶対に魁十くんを合格させてあげるから、任せて」
「絶対だかんな」
「魁十くん、一発合格したら僕のお願いを聞いてくれるって約束忘れないでね」
「おうよ」
魁十も悪い。
合格しても「聞くわけねえだろ、バーカ」で済ますつもりらしいけど、無駄に頭いい大輝くんがそれを想定していないはずはない。
それも分かってるとは言ってたけど……。
「うちの近くの店でクレームブリュレが新発売されてたから買ってきたよ。紗夜ちゃん、どうぞ」
「ありがとう!」
やったあ! 駅前のケーキ屋さんのプリンもある!
にこやかな微笑みを浮かべる大輝くんからずっしりとした袋を受け取る。
プリンの重み、至福。
「プリンが大好きなんて、かわいいね」
「触んな」
隙あらばと私の頭をなでた大輝くんの手を魁十が引きはがす。
私はプリンさえあれば別に頭のひとつやふたつ気にしないのに。
だって、プリンを食べると魁十との思い出あれこれが浮かんで元気になれる。
「パンフレットもらって来たんだ。紗夜ちゃん、食べてみたいのある?」
「えーと……あ、これおいしそう!」
「こっちも紗夜ちゃん好きそうかと思った」
「たぶん好き!」
「次はこれとこれ買ってくるね」
「うん!」
楽しみ~。
魁十が勉強がんばってくれてるおかげでおいしいスイーツがたくさん食べられる。
感謝しかない。
ふと見ると、ムスッと魁十がひとりソファに座り込んでいる。
……かわいい。
自分の部屋に行くなり何なりできるのに、不機嫌を隠そうともせず居座る魁十がめっちゃかわいい。
目が合うと、立ち上がった。
「紗夜、プリン食お」
「うん! 食べ比べしたい!」
「はい、あーん」
テキパキとプリンのフタを取り、スプーンですくってニコッと笑う。
かわいすぎる……ヤバい、うちの弟がかわいすぎてプリンの味しない。パリパリのカラメルとくちどけ滑らかなクリームが絶品。
「おいしい! カイも食べて」
「紗夜が食べさせて」
クールな横目で大輝くんを見た魁十が口を開ける。
さては魁十、私が大輝くんとはしゃいでいたものだから嫉妬しちゃってるな?
やだ、かわいすぎる。
全力で乗っかっちゃう。
「あーん」
「ん! うまーい」
「でしょ、でしょ」
ペコン、とメッセージの通知音が聞こえた。
誰だろ……あ、河合さんだ。
難波さんと連絡が取れないんですが、弟さんの所にいませんか?
って、大当たりだよ、河合さん。
「紗夜、誰」
「何でもない」
「なんでスマホ隠すの」
ジェラってる魁十がかわいいから。
ごめん、河合さん。
5分から1時間だけ待って。
こんなジェラシー全開な魁十、そうそう見れないんだもん。
めっちゃくちゃかわいい……。
「なんで教えてくんないの」
「ほんと何でもないんだってば」
うわ、分かってた。分かってたよ。
やっぱり魁十は、ジト目で睨んでてもかわいくてかわいくてかわいすぎる!
私もそれな、と思う。
魁十に続いて入ってきた大輝くんがうっとうしくて仕方ない。
「こんにちは、紗夜ちゃん」
「本当に法律に詳しいの? 魁十に取り入るための嘘じゃないでしょうね」
「あははっ。あいさつも無しにひどいなあ」
だって、こんなザックリ胸元の開いた服着てサングラスで前髪を上げたチャラい弁護士なんているとは思えないもの。
ほんと、顔だけはいいくせに全開にされると目のやり場に困る。
「正真正銘、東大院卒の司法試験合格者だよ」
「念のために合格証書見せてもらった。ガチだった」
ガチか……。
「無免許運転で現行犯逮捕されても法の力を逆手にとって無罪を勝ち取る自信があるんだって」
「めったにバイク乗らないのに教習所に通う時間と金がもったいない」
神は与えちゃいけない人に明晰な頭脳を与えてしまったんだね。
彼こそ神様の失敗作。何事があって学歴すごいのに高卒が途中入社する会社に流れ着いたのかしら。
「僕が絶対に魁十くんを合格させてあげるから、任せて」
「絶対だかんな」
「魁十くん、一発合格したら僕のお願いを聞いてくれるって約束忘れないでね」
「おうよ」
魁十も悪い。
合格しても「聞くわけねえだろ、バーカ」で済ますつもりらしいけど、無駄に頭いい大輝くんがそれを想定していないはずはない。
それも分かってるとは言ってたけど……。
「うちの近くの店でクレームブリュレが新発売されてたから買ってきたよ。紗夜ちゃん、どうぞ」
「ありがとう!」
やったあ! 駅前のケーキ屋さんのプリンもある!
にこやかな微笑みを浮かべる大輝くんからずっしりとした袋を受け取る。
プリンの重み、至福。
「プリンが大好きなんて、かわいいね」
「触んな」
隙あらばと私の頭をなでた大輝くんの手を魁十が引きはがす。
私はプリンさえあれば別に頭のひとつやふたつ気にしないのに。
だって、プリンを食べると魁十との思い出あれこれが浮かんで元気になれる。
「パンフレットもらって来たんだ。紗夜ちゃん、食べてみたいのある?」
「えーと……あ、これおいしそう!」
「こっちも紗夜ちゃん好きそうかと思った」
「たぶん好き!」
「次はこれとこれ買ってくるね」
「うん!」
楽しみ~。
魁十が勉強がんばってくれてるおかげでおいしいスイーツがたくさん食べられる。
感謝しかない。
ふと見ると、ムスッと魁十がひとりソファに座り込んでいる。
……かわいい。
自分の部屋に行くなり何なりできるのに、不機嫌を隠そうともせず居座る魁十がめっちゃかわいい。
目が合うと、立ち上がった。
「紗夜、プリン食お」
「うん! 食べ比べしたい!」
「はい、あーん」
テキパキとプリンのフタを取り、スプーンですくってニコッと笑う。
かわいすぎる……ヤバい、うちの弟がかわいすぎてプリンの味しない。パリパリのカラメルとくちどけ滑らかなクリームが絶品。
「おいしい! カイも食べて」
「紗夜が食べさせて」
クールな横目で大輝くんを見た魁十が口を開ける。
さては魁十、私が大輝くんとはしゃいでいたものだから嫉妬しちゃってるな?
やだ、かわいすぎる。
全力で乗っかっちゃう。
「あーん」
「ん! うまーい」
「でしょ、でしょ」
ペコン、とメッセージの通知音が聞こえた。
誰だろ……あ、河合さんだ。
難波さんと連絡が取れないんですが、弟さんの所にいませんか?
って、大当たりだよ、河合さん。
「紗夜、誰」
「何でもない」
「なんでスマホ隠すの」
ジェラってる魁十がかわいいから。
ごめん、河合さん。
5分から1時間だけ待って。
こんなジェラシー全開な魁十、そうそう見れないんだもん。
めっちゃくちゃかわいい……。
「なんで教えてくんないの」
「ほんと何でもないんだってば」
うわ、分かってた。分かってたよ。
やっぱり魁十は、ジト目で睨んでてもかわいくてかわいくてかわいすぎる!
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