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人の恋路を邪魔するやつは
プレゼント
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玄関の扉が開いた音がした。
帰ってきた!
「おかえり!」
「ただいまー」
魁十が両手に大きな紙袋を提げている。
青い紙袋とかわいい紙袋。このかわいい紙袋は……
「ケーキ屋さん寄ったの? もしかしてプリン?」
「もらいもん」
「……まさか、また大輝くんが?」
「そう。バイト終わったら店の前にいた」
あんにゃろ、あれほど魁十にまとわりつくなと釘を刺したのに。
カッターでも刺してやろうかな。
「プリン好きでしょってプリンとケーキもくれた。一緒に食お」
かわいい……。
甘い物好きの魁十が喜んでるなら、まあいいことにしといてやるか。
プリンとケーキに罪はない。
もちろん私もおいしくいただく。
「差し入れにだけは近付いていいって明日訂正しとこ。そっちの袋は?」
「服だって。身長も変わんないし体形も似たようなものだから、ってお下がりくれた。俺がいつも同じような服ばっか着てるからもっといろんなテイストの服着てほしいって言われたんだけど、俺ってそんなセンスない?」
「センスがないと言うか、たしかにザ・大学生な無難な服が多いよね」
センス以前の問題。センスを発揮する気がない服とでも言いますか。
最近だと無地のグレーのパーカー、ネイビー地に赤と茶色のチェックのシャツ、On Your Markって小さく胸に書かれた白ロンTのローテーションにジーパンかチノパン。
「うわ……」
試しに袋から適当に取った黒のレザーパンツとベージュのニットに着替えた魁十に思わず声が出た。
深く開いたVネックからほのかに見える胸筋の盛り上がりと鎖骨からの喉仏がエロい。
でも袖口にいくほど幅が広がっていて手の甲まで隠れているのとか、お尻が全部隠れちゃうダボッとしたシルエットはかわいい。
「セクシーと萌えの共存は最早ツラい」
「めっちゃ手触りいいわ、これ」
魁十が腕を差し出すから触ってみたら、薄手のニットから感じる筋肉が男っぽい。
思わずドキッとしてしまう。
「服が違うだけで魁十じゃないみたい」
「どっちに? 良い方? 悪い方?」
「めっちゃ良い方。めちゃくちゃカッコいい」
「やったあー。お礼言っといて。連絡先教えてって言われたけど拒否ったから」
「大正解」
プレゼント攻撃なんて明日文句言ってやろうと思ったけど、これはお礼を言わざるを得ない。
まだドキドキしてるもん。うちの彼氏超カッコいい。
「誕生日に服買いに行こうかなってちょっと思ってたんだよね。私の誕生日に買い物付き合ってもらったから」
「こんだけ服あったらいらない」
「だよね。何か欲しい物ある?」
「プレゼントってこと?」
「うん」
ソファに座る私の前に立ったと思ったら、背もたれに手をついて魁十の顔がグッと近付く。
ヤバ……ただでさえドキドキしてるのに、刺激が強すぎる……。
「紗夜が欲しい」
え?!
バッと魁十がニットを脱ぐ。
特に運動してるわけでもないのに、無駄な肉がない魁十の腹筋は綺麗に割れている。
……誕生日の話をしてたのに、今?
ちょ、どうしよう……心の準備が……。
魁十がこちらへと手を伸ばした。
え、私も脱がされる?!
一気に緊張が高まる私の横に置かれたグレーのパーカーを魁十が手に取った。
……着替えただけか……。
「何脱力してんの」
「……わざとやってる?」
「何を?」
わざとらしく首をかしげる。やっぱり絶対わざとだ。
だけど、そんなことはどうでもいい。魁十の笑顔がめっちゃくちゃかわいい。
帰ってきた!
「おかえり!」
「ただいまー」
魁十が両手に大きな紙袋を提げている。
青い紙袋とかわいい紙袋。このかわいい紙袋は……
「ケーキ屋さん寄ったの? もしかしてプリン?」
「もらいもん」
「……まさか、また大輝くんが?」
「そう。バイト終わったら店の前にいた」
あんにゃろ、あれほど魁十にまとわりつくなと釘を刺したのに。
カッターでも刺してやろうかな。
「プリン好きでしょってプリンとケーキもくれた。一緒に食お」
かわいい……。
甘い物好きの魁十が喜んでるなら、まあいいことにしといてやるか。
プリンとケーキに罪はない。
もちろん私もおいしくいただく。
「差し入れにだけは近付いていいって明日訂正しとこ。そっちの袋は?」
「服だって。身長も変わんないし体形も似たようなものだから、ってお下がりくれた。俺がいつも同じような服ばっか着てるからもっといろんなテイストの服着てほしいって言われたんだけど、俺ってそんなセンスない?」
「センスがないと言うか、たしかにザ・大学生な無難な服が多いよね」
センス以前の問題。センスを発揮する気がない服とでも言いますか。
最近だと無地のグレーのパーカー、ネイビー地に赤と茶色のチェックのシャツ、On Your Markって小さく胸に書かれた白ロンTのローテーションにジーパンかチノパン。
「うわ……」
試しに袋から適当に取った黒のレザーパンツとベージュのニットに着替えた魁十に思わず声が出た。
深く開いたVネックからほのかに見える胸筋の盛り上がりと鎖骨からの喉仏がエロい。
でも袖口にいくほど幅が広がっていて手の甲まで隠れているのとか、お尻が全部隠れちゃうダボッとしたシルエットはかわいい。
「セクシーと萌えの共存は最早ツラい」
「めっちゃ手触りいいわ、これ」
魁十が腕を差し出すから触ってみたら、薄手のニットから感じる筋肉が男っぽい。
思わずドキッとしてしまう。
「服が違うだけで魁十じゃないみたい」
「どっちに? 良い方? 悪い方?」
「めっちゃ良い方。めちゃくちゃカッコいい」
「やったあー。お礼言っといて。連絡先教えてって言われたけど拒否ったから」
「大正解」
プレゼント攻撃なんて明日文句言ってやろうと思ったけど、これはお礼を言わざるを得ない。
まだドキドキしてるもん。うちの彼氏超カッコいい。
「誕生日に服買いに行こうかなってちょっと思ってたんだよね。私の誕生日に買い物付き合ってもらったから」
「こんだけ服あったらいらない」
「だよね。何か欲しい物ある?」
「プレゼントってこと?」
「うん」
ソファに座る私の前に立ったと思ったら、背もたれに手をついて魁十の顔がグッと近付く。
ヤバ……ただでさえドキドキしてるのに、刺激が強すぎる……。
「紗夜が欲しい」
え?!
バッと魁十がニットを脱ぐ。
特に運動してるわけでもないのに、無駄な肉がない魁十の腹筋は綺麗に割れている。
……誕生日の話をしてたのに、今?
ちょ、どうしよう……心の準備が……。
魁十がこちらへと手を伸ばした。
え、私も脱がされる?!
一気に緊張が高まる私の横に置かれたグレーのパーカーを魁十が手に取った。
……着替えただけか……。
「何脱力してんの」
「……わざとやってる?」
「何を?」
わざとらしく首をかしげる。やっぱり絶対わざとだ。
だけど、そんなことはどうでもいい。魁十の笑顔がめっちゃくちゃかわいい。
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