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弟と私

非がある証明

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朝倉さんとなっちゃんの驚きように涙も止まる。

「詳しく聞きたいから週末飲みに行こう。オーケー?」
「今日でいいじゃないですか!」
「彼氏ちゃんとデートなの。一緒に話聞きたいから抜け駆けして聞いちゃわないでね」
「えー。朝倉さんってそういうとこありますよね」
「好きなものは最後タイプ」
「それに人を巻き込むスタイル」

ブーブー言いながらも嫌いではないなっちゃん。
良いコンビだと思う。

「完全なる事実無根を吹聴されるのは大きな問題よね。総務課長に報告します」
「面倒おかけして申し訳ありません」
「ううん、今コンプライアンス強化してるし、些細なことでも報告してね」
「はい」

総務部総務課の大輝くんの直の上司、総務課長は朝倉さんの呼び出しに快く応じ、会議室まで来てくれた。

「難波くんが?! 遠山さん、難波くんと付き合ってたの?!」

予想外のリアクション……。
またしても嫌な予感。

「そんな……難波くんは私と結婚してくれるものだとばかり思ってた……」

やっぱりか!
結婚する気ないようなことを言ってたくせに、年上の女性まで騙してたんだ……最低。

「分かりました。個人的制裁も含めて、厳罰に処します」
「よろしくお願いします」

総務課長さん、めちゃくちゃ怒ってる……。

「処罰が下るっていうのは、相手に非がある証明だよ」

これで、別れやすくなるかもしれない。
少し心が軽くなる。

「今思えば女子社員が辞めていくのって、難波さんのせいだったのかもしれませんね」
「うん、ありそう」
「この会社って女子をあまり採用しない方針なのかと思ってました」
「そんなことないよ。私が入社した当時はもっと女子社員いたもの」

……私だって、朝倉さんやなっちゃんがいなければ辞めちゃって大輝くんと距離を取ろうとしたかもしれない。

負けんな、って魁十の言葉が甦る。

ここは、10代の頃は上手く人間関係を築けなかった私がせっかく手に入れた私の居場所。
大輝くんに負けて手放すなんて嫌だ。
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