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無理無理無理
修羅場
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私の顔を両手で挟んで逃げ場を失くし、大輝くんの顔が迫ってくる。
ちょっと強引……でも、それがいい。
大輝くんの背中に腕を回す。
大きくて滑らかな背中。しっかりと浮き出た背骨をなでながらキスされたと同時に気付いた。
おなかが痛いからうちに来たのに、脱いじゃダメじゃないのかな。
おなか冷えちゃう。
「大輝くん、おなか……」
「かわいい」
え。無視?
口から耳、首筋にキスされると、ゾクゾクする。
胸元にも柔らかい唇がチュッと音を立てた。
薄い長袖のシャツワンピースの小さな前ボタンがみるみる外されていく。
「ちょっ……待って」
「照れないで。付き合ってるんだから恥ずかしくないよ」
「照れるっていうか……おなか痛いって嘘だったの?」
「噓じゃないよ。紗夜ちゃんのおかげで治った」
嘘じゃん……何もしてないもん。
紺のワンピースがはだけさせられ、黒いタンクトップに大輝くんが頬を乗せる。
「柔らかい。すごく気持ちいい」
もしかして、部屋に上がり込むのが目的だったの……?
だから、デート中に魁十がバイトか確認して、おなかが痛いフリまでして……こんな騙し討ちみたいなやり方、卑怯じゃない?
汗かいたからシャワー浴びたいしムダ毛天然だし、こっちのコンディションが整ってない。
このままやられるのは納得できない。
付き合ってるんだから致すの自体は嫌だって言うつもりはないけど、準備期間が欲しい。
「大輝くん、やめて」
「演技してないで、ちょうだいって言っていいんだよ」
「ちょうだい? 何を?」
大輝くんが私の手を取り、デニムの手触り越しに硬い棒状の物を握らせる。
ズボンの上から握らされてる?!
初めて触った!
ちょっと待って! 無理!
ゾッとしちゃってパッと手を離すと、また握らされて私の手の上からグッと力を加えられる。
こんなもの握りしめたくないよー。へし折ってやろうかな。血ぃ出るのかな。
「演技じゃなくて本当に嫌なの」
「大丈夫、僕は純情な子よりエロい子の方が好き。正直になって」
「正直! 本当にやめて」
「素直にならなきゃあげないよ?」
いらないよ!
強気に私を見下ろしていた大輝くんがのしかかってくる。その重みに、男性の体の大きさをまざまざと感じさせられる。
どうしよう……。
冷静になって見ると、どっしりと乗っかられていて力で逃げるのは不可能。
もー、なんでこんなポジショニングを許してしまうかなあ、私。
また魁十に隙が多いって怒られる。
何とか、大輝くんにやる気そがれてもらって――そうだ!
「ごめんなさい、恥ずかしいんだけど……今生理でできない」
「生理? ちょっと血が出てるくらいでしょ。大丈夫、気にしないよ」
気にしようよ! 私のベッド!
「ちょっとじゃないの。今日二日目だから血の海になっちゃう」
「まじか……じゃあ、口でやって」
「口でって?」
ニコッと笑った大輝くんが私の唇をツンとつついた。
「あと」
背中側からタンクトップの中に手を入れたと思ったら、胸の締め付けがフワッと軽くなる。
背中からなぞるように大輝くんの手が滑ってくる。
胸の根本からすくい上げるように両手で包まれた。
「挟んで。これだけ大きかったらできるでしょ」
「挟……」
できるできないじゃない。やりたくない!
胸から手が離れてホッとする。
大輝くんが体を起こし、カチャカチャ音がする。
……ベルト外してる?!
シーンと静まり返った部屋に、ジーッと音がする。
……チャック下ろしてる?!
ものすごい緊張感。
世の恋人同士はこんな修羅場を何度もくぐってるの?
私には無理。無理だよ。
「紗夜ちゃんがかわいいからすごいことになってる。触って」
両手で胸元を隠していた私の左手を大輝くんの手のひらが包み、導く。
触ってって……直接触るの?!
さっきズボン越しでも十分、肉って感じしたよ?!
あの肉を直接触るの?!
無理無理無理めっちゃ無理!
絶対触りたくない絶対触りたくない!
「嫌っ……ごめん! 嫌!!」
目一杯の力で左腕を引き戻す。
同時に大輝くんの手がグッと力を増した。
ちょっと強引……でも、それがいい。
大輝くんの背中に腕を回す。
大きくて滑らかな背中。しっかりと浮き出た背骨をなでながらキスされたと同時に気付いた。
おなかが痛いからうちに来たのに、脱いじゃダメじゃないのかな。
おなか冷えちゃう。
「大輝くん、おなか……」
「かわいい」
え。無視?
口から耳、首筋にキスされると、ゾクゾクする。
胸元にも柔らかい唇がチュッと音を立てた。
薄い長袖のシャツワンピースの小さな前ボタンがみるみる外されていく。
「ちょっ……待って」
「照れないで。付き合ってるんだから恥ずかしくないよ」
「照れるっていうか……おなか痛いって嘘だったの?」
「噓じゃないよ。紗夜ちゃんのおかげで治った」
嘘じゃん……何もしてないもん。
紺のワンピースがはだけさせられ、黒いタンクトップに大輝くんが頬を乗せる。
「柔らかい。すごく気持ちいい」
もしかして、部屋に上がり込むのが目的だったの……?
だから、デート中に魁十がバイトか確認して、おなかが痛いフリまでして……こんな騙し討ちみたいなやり方、卑怯じゃない?
汗かいたからシャワー浴びたいしムダ毛天然だし、こっちのコンディションが整ってない。
このままやられるのは納得できない。
付き合ってるんだから致すの自体は嫌だって言うつもりはないけど、準備期間が欲しい。
「大輝くん、やめて」
「演技してないで、ちょうだいって言っていいんだよ」
「ちょうだい? 何を?」
大輝くんが私の手を取り、デニムの手触り越しに硬い棒状の物を握らせる。
ズボンの上から握らされてる?!
初めて触った!
ちょっと待って! 無理!
ゾッとしちゃってパッと手を離すと、また握らされて私の手の上からグッと力を加えられる。
こんなもの握りしめたくないよー。へし折ってやろうかな。血ぃ出るのかな。
「演技じゃなくて本当に嫌なの」
「大丈夫、僕は純情な子よりエロい子の方が好き。正直になって」
「正直! 本当にやめて」
「素直にならなきゃあげないよ?」
いらないよ!
強気に私を見下ろしていた大輝くんがのしかかってくる。その重みに、男性の体の大きさをまざまざと感じさせられる。
どうしよう……。
冷静になって見ると、どっしりと乗っかられていて力で逃げるのは不可能。
もー、なんでこんなポジショニングを許してしまうかなあ、私。
また魁十に隙が多いって怒られる。
何とか、大輝くんにやる気そがれてもらって――そうだ!
「ごめんなさい、恥ずかしいんだけど……今生理でできない」
「生理? ちょっと血が出てるくらいでしょ。大丈夫、気にしないよ」
気にしようよ! 私のベッド!
「ちょっとじゃないの。今日二日目だから血の海になっちゃう」
「まじか……じゃあ、口でやって」
「口でって?」
ニコッと笑った大輝くんが私の唇をツンとつついた。
「あと」
背中側からタンクトップの中に手を入れたと思ったら、胸の締め付けがフワッと軽くなる。
背中からなぞるように大輝くんの手が滑ってくる。
胸の根本からすくい上げるように両手で包まれた。
「挟んで。これだけ大きかったらできるでしょ」
「挟……」
できるできないじゃない。やりたくない!
胸から手が離れてホッとする。
大輝くんが体を起こし、カチャカチャ音がする。
……ベルト外してる?!
シーンと静まり返った部屋に、ジーッと音がする。
……チャック下ろしてる?!
ものすごい緊張感。
世の恋人同士はこんな修羅場を何度もくぐってるの?
私には無理。無理だよ。
「紗夜ちゃんがかわいいからすごいことになってる。触って」
両手で胸元を隠していた私の左手を大輝くんの手のひらが包み、導く。
触ってって……直接触るの?!
さっきズボン越しでも十分、肉って感じしたよ?!
あの肉を直接触るの?!
無理無理無理めっちゃ無理!
絶対触りたくない絶対触りたくない!
「嫌っ……ごめん! 嫌!!」
目一杯の力で左腕を引き戻す。
同時に大輝くんの手がグッと力を増した。
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