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無理無理無理
急病人看護
しおりを挟むデートの帰りの電車の中、隣に座る大輝くんの様子がおかしい。
「ん……」
眉を寄せ、背中をゆるく曲げ歯を食いしばっておなかをさする。
「おなか痛いの?」
「うん」
「降りてトイレ行く?」
「いや……腹ってか、胃かな」
「大丈夫?」
「いて……」
どうしよう。大輝くんが苦しそうに身をかがめる。
病院は休みだし……。あ、そうだ。
「救急病院調べるね」
スマホを出そうとバッグに突っ込んだ手を大輝くんが握る。
「ちょっと、手貸してもらっていい?」
「う……うん」
ビックリしたあ。
思わずビクッとしてしまった。
私の手をおなかに当て、その上から大輝くんの大きなが手がかぶさる。
うわ……温かい手。まるで人柄そのもの。
「ねえ、家でちょっとだけ休ませてもらえないかな」
「病院行かなくて大丈夫?」
「様子見て、治らないみたいだったら行こうと思う」
そっか、寝れば治るくらいの症状で救急病院に行くのは適切ではない。
総務の仕事で一番大変って言ってた社員会が無事に終わって、疲れが出ただけかもしれないし。
魁十だって、さすがに急病人の看護ですら家に入れるなとは言わないだろう。
苦しそうに背を丸める大輝くんを支えつつの駅から家まで15分の道のりは長い。
「はあ……」
家に入り、大輝くんを半ば抱えるように階段を上って私のベッドに寝かせた時には、もうこっちも疲労の声が漏れてしまった。
「ごめんね、紗夜ちゃん」
「ううん、ゆっくり寝て。気になるみたいだったら、私は下に――」
床に座り込んでいた態勢からベッドに手をついて立とうとしたら、その支えていた手をそっと握られる。
どうしたんだろうと大輝くんを見ると、素晴らしいイケメンフェイスで微笑んでいる。
カッコ良……。
綺麗な並行二重の目が近付いてくる。
近くで見るとまつ毛すごい。
と思いながら目を閉じた。
唇に唇を感じ、離れたと思ったら下唇をついばむように吸い付く。
ベッタリと口を塞ぐように押し付けられ、小動物みたいにハムハムと動くのを感じる。
キスだけでもバリエーション豊富。さすが大人……。
グリグリと外側から唇を押されるから、緊張して固く閉ざしていた力を緩めるとヌルッと生暖かいものが入ってきた。
「んっ」
舌?!
何これ、どうしたらいい?
私も大輝くんの口に舌を入れるの?
逆に大輝くんに任せるべき?
パニクっている間に、私の舌に大輝くんの舌が絡みついてくる。
ディープキスってやつですか……。
ビックリしたー……。
「エロい声出てたね」
驚いただけです。
大輝くんはベッドに肘をついて体を起こし、片手で私の髪をなでる。
優しい微笑みに安心したら、大きな手に包まれた頭がボーッとしてしまう。
起き上がった大輝くんに腕を引かれ、その胸に飛び込んだ。
ギュッと抱きしめられて固い胸板を感じる。
私も力を込めて大輝くんの背中に腕を回すとポスンと慣れたシーツの音と、ベッドがギシッと鳴る。
いつもはこのベッドに入ると寝落ちするまでスマホを見てるから、自分の部屋なのに白い天井が知らない場所みたい。
大輝くんが上を脱いで、たくましい腹筋から胸筋、そして美しい顔。
期待と不安で胸がドキドキする。
目のやり場に困って、顔を背けると両手で挟んで戻され、真っすぐに大輝くんと目が合った。
「ん……」
眉を寄せ、背中をゆるく曲げ歯を食いしばっておなかをさする。
「おなか痛いの?」
「うん」
「降りてトイレ行く?」
「いや……腹ってか、胃かな」
「大丈夫?」
「いて……」
どうしよう。大輝くんが苦しそうに身をかがめる。
病院は休みだし……。あ、そうだ。
「救急病院調べるね」
スマホを出そうとバッグに突っ込んだ手を大輝くんが握る。
「ちょっと、手貸してもらっていい?」
「う……うん」
ビックリしたあ。
思わずビクッとしてしまった。
私の手をおなかに当て、その上から大輝くんの大きなが手がかぶさる。
うわ……温かい手。まるで人柄そのもの。
「ねえ、家でちょっとだけ休ませてもらえないかな」
「病院行かなくて大丈夫?」
「様子見て、治らないみたいだったら行こうと思う」
そっか、寝れば治るくらいの症状で救急病院に行くのは適切ではない。
総務の仕事で一番大変って言ってた社員会が無事に終わって、疲れが出ただけかもしれないし。
魁十だって、さすがに急病人の看護ですら家に入れるなとは言わないだろう。
苦しそうに背を丸める大輝くんを支えつつの駅から家まで15分の道のりは長い。
「はあ……」
家に入り、大輝くんを半ば抱えるように階段を上って私のベッドに寝かせた時には、もうこっちも疲労の声が漏れてしまった。
「ごめんね、紗夜ちゃん」
「ううん、ゆっくり寝て。気になるみたいだったら、私は下に――」
床に座り込んでいた態勢からベッドに手をついて立とうとしたら、その支えていた手をそっと握られる。
どうしたんだろうと大輝くんを見ると、素晴らしいイケメンフェイスで微笑んでいる。
カッコ良……。
綺麗な並行二重の目が近付いてくる。
近くで見るとまつ毛すごい。
と思いながら目を閉じた。
唇に唇を感じ、離れたと思ったら下唇をついばむように吸い付く。
ベッタリと口を塞ぐように押し付けられ、小動物みたいにハムハムと動くのを感じる。
キスだけでもバリエーション豊富。さすが大人……。
グリグリと外側から唇を押されるから、緊張して固く閉ざしていた力を緩めるとヌルッと生暖かいものが入ってきた。
「んっ」
舌?!
何これ、どうしたらいい?
私も大輝くんの口に舌を入れるの?
逆に大輝くんに任せるべき?
パニクっている間に、私の舌に大輝くんの舌が絡みついてくる。
ディープキスってやつですか……。
ビックリしたー……。
「エロい声出てたね」
驚いただけです。
大輝くんはベッドに肘をついて体を起こし、片手で私の髪をなでる。
優しい微笑みに安心したら、大きな手に包まれた頭がボーッとしてしまう。
起き上がった大輝くんに腕を引かれ、その胸に飛び込んだ。
ギュッと抱きしめられて固い胸板を感じる。
私も力を込めて大輝くんの背中に腕を回すとポスンと慣れたシーツの音と、ベッドがギシッと鳴る。
いつもはこのベッドに入ると寝落ちするまでスマホを見てるから、自分の部屋なのに白い天井が知らない場所みたい。
大輝くんが上を脱いで、たくましい腹筋から胸筋、そして美しい顔。
期待と不安で胸がドキドキする。
目のやり場に困って、顔を背けると両手で挟んで戻され、真っすぐに大輝くんと目が合った。
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