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たのしい誕生日
もどかしい、空気感
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オシャレ……。
生演奏を聞けるレストランなんて初めて来た。あの大きい床置きするバイオリンみたいなやつ、何て名前だったっけ。
ホテルのレストランなんて、わざわざ食事をしに来たことなどない。
家族旅行で宿泊先のレストランに行ったくらい。
「音楽興味ない?」
「興味のあるなしよりも、雰囲気に圧倒されちゃって」
「紗夜ちゃんの誕生日だから張りきっちゃった」
大輝くん……嬉しい。
「お誕生日おめでとう。乾杯」
「あ……ありがとう……」
庶民的な焼き鳥屋で遭遇したかと思えば、イベントにはこんなオシャレな店。
振り幅がすごい。これができる男か……。
そして、圧倒的にこっちが似合う。
普段は割とリーズナブルなデートだけど、決めるところは決めちゃう。
カッコ良。
「まだ22歳かあ。若いね」
「ぞろ目の年を迎えるのは11歳ぶりだなって今朝しみじみ思った」
「あはは! 次は33歳だね」
「大輝くんよりだいぶ年上だなあ」
「その頃には僕もちゃんと年取ってるから大丈夫」
そうだよね。
誰だって年を取るんだもん。
「紗夜ちゃんの33歳の誕生日も、こうやってお祝いしたいな」
カッコいい~……。
ワイングラスを手に微笑みながらそのセリフは悶絶させにきてる。
「33歳には子供もいるといいな」
「え……若いのに結婚したいタイプ?」
タイプ?
結婚ってタイプなものだっけ。
「うん。早く子供が欲しいと思ってる」
「僕、ひとりっ子のせいか子供ってイメージ湧かないんだよね」
「うち、家族みんな仲良くて、特に私と弟がじゃれてたりするとパパもママもすごく幸せそう~な顔するの。何か言ってくるでもなく、私たちが遊んでるのをあったかく見守ってる感じ。そういう空気感が大好きだった」
あまりにもパパとママが幸せそうだから、自分が子供の頃から私もいつか子供産んであんな風にハッピーオーラに包まれたいって、楽しみでしょうがない。
「空気感かー。その場にいないと分からないね」
「なんかね、とにかく笑ってるの。私と弟がケンカしてても微笑ましい~って感じで見てるから、なんかケンカしてるのがバカらしくなっちゃったりして」
「うーん。やっぱり分からないや」
もどかしい……私にもっと語彙力があれば……。
分かってほしい。すっごく幸せな時間だった。またあの空気感の中に浸りたい。
もうパパは帰って来ないけど、今度は私があんな空気の家庭を築きたい。
生演奏を聞けるレストランなんて初めて来た。あの大きい床置きするバイオリンみたいなやつ、何て名前だったっけ。
ホテルのレストランなんて、わざわざ食事をしに来たことなどない。
家族旅行で宿泊先のレストランに行ったくらい。
「音楽興味ない?」
「興味のあるなしよりも、雰囲気に圧倒されちゃって」
「紗夜ちゃんの誕生日だから張りきっちゃった」
大輝くん……嬉しい。
「お誕生日おめでとう。乾杯」
「あ……ありがとう……」
庶民的な焼き鳥屋で遭遇したかと思えば、イベントにはこんなオシャレな店。
振り幅がすごい。これができる男か……。
そして、圧倒的にこっちが似合う。
普段は割とリーズナブルなデートだけど、決めるところは決めちゃう。
カッコ良。
「まだ22歳かあ。若いね」
「ぞろ目の年を迎えるのは11歳ぶりだなって今朝しみじみ思った」
「あはは! 次は33歳だね」
「大輝くんよりだいぶ年上だなあ」
「その頃には僕もちゃんと年取ってるから大丈夫」
そうだよね。
誰だって年を取るんだもん。
「紗夜ちゃんの33歳の誕生日も、こうやってお祝いしたいな」
カッコいい~……。
ワイングラスを手に微笑みながらそのセリフは悶絶させにきてる。
「33歳には子供もいるといいな」
「え……若いのに結婚したいタイプ?」
タイプ?
結婚ってタイプなものだっけ。
「うん。早く子供が欲しいと思ってる」
「僕、ひとりっ子のせいか子供ってイメージ湧かないんだよね」
「うち、家族みんな仲良くて、特に私と弟がじゃれてたりするとパパもママもすごく幸せそう~な顔するの。何か言ってくるでもなく、私たちが遊んでるのをあったかく見守ってる感じ。そういう空気感が大好きだった」
あまりにもパパとママが幸せそうだから、自分が子供の頃から私もいつか子供産んであんな風にハッピーオーラに包まれたいって、楽しみでしょうがない。
「空気感かー。その場にいないと分からないね」
「なんかね、とにかく笑ってるの。私と弟がケンカしてても微笑ましい~って感じで見てるから、なんかケンカしてるのがバカらしくなっちゃったりして」
「うーん。やっぱり分からないや」
もどかしい……私にもっと語彙力があれば……。
分かってほしい。すっごく幸せな時間だった。またあの空気感の中に浸りたい。
もうパパは帰って来ないけど、今度は私があんな空気の家庭を築きたい。
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