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たのしい誕生日
忘れてた彼女
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床に物なーし!
基準の写真と置き場所相違なーし!
よし、5S活動の集大成、最終チェックを易々とクリアできるでしょう!
「遠山さん、これは何に使う物ですか?」
「それは……カードを破棄する時に穴を開けるための物です」
「どれくらいの頻度で使うんですか?」
「えーと……?」
「前回使ったのはいつですか?」
「……私が入社した頃に頼まれたような気が……」
「ここに置いておく必要はありますか?」
「……移動させます」
大きいから、すっかりここにあるのが当然になっていた。たしかに、ほとんど使わない。
普段営業の部屋に来ない人がチェックすると、完璧だと思ってても粗が見つかるものだな。
初めて5S活動の意義を感じた気がする。
それにしても、チェックリストを見ながらとは言え、18歳にして堂々としたもの。ものすごいドジっ子だけど、河合さん、仕事はできる人とみた。
ふと、なっちゃんと目が合う。
「遠山さん、めっちゃへこんでない?」
「完璧だと思ってたから、ちょっと」
「え! ごめんなさい、私言い方が冷たいってよく言われるんです」
「大丈夫ですよ~。彼氏に慰めてもらえば元気100倍だもんね」
「彼氏呼んであげようか?」
「いいですよ! わざわざ!」
なっちゃんが言いふらしたものだから、営業部の人たちみんなが私と大輝くんが付き合っていることを知っている。
大輝くんと仲が良い人も多いから、毎日からかわれるのはかなり恥ずかしくてだいぶ嬉しい。
「遠山さん、社内に彼氏がいるんですか?」
「そうだよ。総務の難波くん」
「難……」
カシャーンとチェックリストが河合さんの手から落ちる。
目を見開いて、ショックを受けているのがありありと見て取れる。
あ……河合さん、やっぱり大輝くんのこと好きになってたんだ。
何て言えばいいのか分からず、とりあえずチェックリストを拾って差し出すと、バッとひったくるように取って走り去って行った。
「さ……仕事仕事」
気まずい空気がすごい。
男性たちが一斉にデスクに向かう。
「気にすることないよ。いつかは知ることだし」
「うん……」
なっちゃんのことしか考えてなかったな……河合さんの存在をすっかり忘れてた。
基準の写真と置き場所相違なーし!
よし、5S活動の集大成、最終チェックを易々とクリアできるでしょう!
「遠山さん、これは何に使う物ですか?」
「それは……カードを破棄する時に穴を開けるための物です」
「どれくらいの頻度で使うんですか?」
「えーと……?」
「前回使ったのはいつですか?」
「……私が入社した頃に頼まれたような気が……」
「ここに置いておく必要はありますか?」
「……移動させます」
大きいから、すっかりここにあるのが当然になっていた。たしかに、ほとんど使わない。
普段営業の部屋に来ない人がチェックすると、完璧だと思ってても粗が見つかるものだな。
初めて5S活動の意義を感じた気がする。
それにしても、チェックリストを見ながらとは言え、18歳にして堂々としたもの。ものすごいドジっ子だけど、河合さん、仕事はできる人とみた。
ふと、なっちゃんと目が合う。
「遠山さん、めっちゃへこんでない?」
「完璧だと思ってたから、ちょっと」
「え! ごめんなさい、私言い方が冷たいってよく言われるんです」
「大丈夫ですよ~。彼氏に慰めてもらえば元気100倍だもんね」
「彼氏呼んであげようか?」
「いいですよ! わざわざ!」
なっちゃんが言いふらしたものだから、営業部の人たちみんなが私と大輝くんが付き合っていることを知っている。
大輝くんと仲が良い人も多いから、毎日からかわれるのはかなり恥ずかしくてだいぶ嬉しい。
「遠山さん、社内に彼氏がいるんですか?」
「そうだよ。総務の難波くん」
「難……」
カシャーンとチェックリストが河合さんの手から落ちる。
目を見開いて、ショックを受けているのがありありと見て取れる。
あ……河合さん、やっぱり大輝くんのこと好きになってたんだ。
何て言えばいいのか分からず、とりあえずチェックリストを拾って差し出すと、バッとひったくるように取って走り去って行った。
「さ……仕事仕事」
気まずい空気がすごい。
男性たちが一斉にデスクに向かう。
「気にすることないよ。いつかは知ることだし」
「うん……」
なっちゃんのことしか考えてなかったな……河合さんの存在をすっかり忘れてた。
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