29 / 86
告白バーベキュー
新たな出会い
しおりを挟む
不意に魁十の顔が離れて行く。
クールに笑う魁十がカッコいい。
「何マジんなってんの。弟はないんじゃなかったの」
「マジって言うか、ビックリしちゃって。カイ、めったに冗談言わないから」
「うん。俺、冗談は言わない」
「だよねー」
あはは、と笑ってチューハイを飲み干す。
「わっ」
ピヒャーって音と共に顔に冷たい水がかかって、めちゃくちゃ驚いた。
魁十が小ぶりな青い水鉄砲を手に睨んでいる。
「だよねーじゃねえんだよ」
「つっめたあ」
「バイトのみんなでバーベキュー来た時は水鉄砲バトルまでがお約束なの。水着着てくるヤツもいるくらい」
「本格的」
魁十がまくっていた袖を下ろして私の顔にぶちまけた水を拭う。
「俺、男だから弟なんだよ」
「うん。女の子だったら妹だね。でもカイならそのまんまで十分かわいい」
「そりゃどーも」
魁十が立ち上がるのに続く。
バーベキュー場が有名な山だけど、今度は家族で登りに来たいな。やっぱり山はいい。
バーベキュー場のブースに戻ると、なっちゃんと朝倉さんがスマホに夢中。
山に来てまでスマホから離れられないとは、現代人はさもしいなあ。
「山ですよ! スマホなんてしまって空気吸いましょうよ!」
「急にどうしたの。待って、今いい感じなの」
「何が?」
「写真が本物なら結構イケメンな人と繋がれて、メッセージで直接やり取りすることになって」
真剣にスマホに文字を打ち込むなっちゃんに代わって、朝倉さんが教えてくれる。
「私が紹介したマッチングアプリで好みの男性が見つかったんだって。遠山さんもどう? 今なら紹介した方もされた方も5000ポイントもらえるキャンペーン中だよ」
「マッチングアプリ?」
「遠山さんは魁十くんがいるからいいじゃないですか! 魁十くん以上のイケメンなんて探すだけ無駄無駄」
え?
なっちゃん、マッチングアプリ登録して男の人とやり取りしてる?
「なっちゃん、難波さんのこと諦めたの?!」
「諦めたって言うか……」
なっちゃんが渋い顔を上げる。
「難波さんって関わりが一切なかったじゃないですか。それが最近ちょっと仲良くなれたら、思ってたのと違うと言うか、理想と現実と言うか」
「もう難波さんを好きじゃないってこと?」
「……そうですね。前を向いて、私だけを愛してくれる人を見つけたくて、新たな出会いを模索中」
ニコッと笑って、またスマホに目を落とす。
ええ……なっちゃん……えええええええ。
「だったら早く言ってよ! なっちゃんが難波さんのこと好きじゃないなら、私なんにも遠慮する理由なんてないのに!」
断っちゃったじゃん!
好きだって、付き合ってほしいって言われたのにぃ!
「遠山さん、難波さんのこと好きだったの?!」
「そうだよ! でもなっちゃんが難波さん好きだから私はいいやって思って」
「ちょっと、二人とも声が大きい……」
朝倉さんは声が小さい。
はたと、隣のブースの人たちの注目を浴びていることに気が付いた。
クールに笑う魁十がカッコいい。
「何マジんなってんの。弟はないんじゃなかったの」
「マジって言うか、ビックリしちゃって。カイ、めったに冗談言わないから」
「うん。俺、冗談は言わない」
「だよねー」
あはは、と笑ってチューハイを飲み干す。
「わっ」
ピヒャーって音と共に顔に冷たい水がかかって、めちゃくちゃ驚いた。
魁十が小ぶりな青い水鉄砲を手に睨んでいる。
「だよねーじゃねえんだよ」
「つっめたあ」
「バイトのみんなでバーベキュー来た時は水鉄砲バトルまでがお約束なの。水着着てくるヤツもいるくらい」
「本格的」
魁十がまくっていた袖を下ろして私の顔にぶちまけた水を拭う。
「俺、男だから弟なんだよ」
「うん。女の子だったら妹だね。でもカイならそのまんまで十分かわいい」
「そりゃどーも」
魁十が立ち上がるのに続く。
バーベキュー場が有名な山だけど、今度は家族で登りに来たいな。やっぱり山はいい。
バーベキュー場のブースに戻ると、なっちゃんと朝倉さんがスマホに夢中。
山に来てまでスマホから離れられないとは、現代人はさもしいなあ。
「山ですよ! スマホなんてしまって空気吸いましょうよ!」
「急にどうしたの。待って、今いい感じなの」
「何が?」
「写真が本物なら結構イケメンな人と繋がれて、メッセージで直接やり取りすることになって」
真剣にスマホに文字を打ち込むなっちゃんに代わって、朝倉さんが教えてくれる。
「私が紹介したマッチングアプリで好みの男性が見つかったんだって。遠山さんもどう? 今なら紹介した方もされた方も5000ポイントもらえるキャンペーン中だよ」
「マッチングアプリ?」
「遠山さんは魁十くんがいるからいいじゃないですか! 魁十くん以上のイケメンなんて探すだけ無駄無駄」
え?
なっちゃん、マッチングアプリ登録して男の人とやり取りしてる?
「なっちゃん、難波さんのこと諦めたの?!」
「諦めたって言うか……」
なっちゃんが渋い顔を上げる。
「難波さんって関わりが一切なかったじゃないですか。それが最近ちょっと仲良くなれたら、思ってたのと違うと言うか、理想と現実と言うか」
「もう難波さんを好きじゃないってこと?」
「……そうですね。前を向いて、私だけを愛してくれる人を見つけたくて、新たな出会いを模索中」
ニコッと笑って、またスマホに目を落とす。
ええ……なっちゃん……えええええええ。
「だったら早く言ってよ! なっちゃんが難波さんのこと好きじゃないなら、私なんにも遠慮する理由なんてないのに!」
断っちゃったじゃん!
好きだって、付き合ってほしいって言われたのにぃ!
「遠山さん、難波さんのこと好きだったの?!」
「そうだよ! でもなっちゃんが難波さん好きだから私はいいやって思って」
「ちょっと、二人とも声が大きい……」
朝倉さんは声が小さい。
はたと、隣のブースの人たちの注目を浴びていることに気が付いた。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
JC💋フェラ
山葵あいす
恋愛
森野 稚菜(もりの わかな)は、中学2年生になる14歳の女の子だ。家では姉夫婦が一緒に暮らしており、稚菜に甘い義兄の真雄(まさお)は、いつも彼女におねだりされるままお小遣いを渡していたのだが……
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
バックパックガールズ ~孤独なオタク少女は学園一の美少女たちの心を癒し、登山部で甘々な百合ハーレムの姫となる~
宮城こはく
恋愛
空木ましろはオタク趣味をひたすら隠して生きる、孤独なインドア女子高生だった。
友達が欲しいけど、友達の作り方が分からない。
スポーツ万能で頭が良くて、友達が多い……そんな憧れの美少女・梓川ほたか先輩のようになりたいけど、自分なんかになれるはずがない。
そんなましろは、ひょんなことから女子登山部を訪問することになるのだが、なんと登山部の部長は憧れのほたか先輩だった!
部員減少で消滅の危機に瀕しているため、ほたか先輩からは熱烈な歓迎を受ける。
それはもう過剰なまでに!
そして登山部は、なぜか美少女ぞろい!
スーパーアスリートで聖母のようにやさしいお姉さん・ほたか先輩。
恥ずかしがり屋の目隠しボクっ娘・千景さん。
そしてワイルドで怖いのに照れ屋な金髪少女・剱さんの甘々な色香に惑わされていく。
「私には百合の趣味はないはず! 落ち着けましろ!」
……そんな風に誘惑にあらがいつつも、特殊スキル『オタク絵師』によって少女たちを魅了し、持ち前の『観察眼』によって絆を深めていく。
少女たちは次々にましろを溺愛するようになり、ましろはいつの間にか百合ハーレムの姫になっていくのだった。
イチャイチャで甘々な百合ハーレムの真ん中で、ましろのゆる~い青春の物語が幕を開けるのですっ!
※「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアップ+」でも公開中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる