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告白バーベキュー
姉の特権
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「大輝! おーそーいー。大輝が来ないなら帰っちゃおうかと思った」
「わりーわりー。賢人が起きねえからさ」
アウトドアベッドで寝そべってビール飲んでた女性たちがバイクの隣に立つ男性へと駆け寄る。
アロハシャツを脱いで黒いタンクトップ姿になった男性とバシッと目が合った。
「難波さん!」
「遠山さん! すごい偶然ですね。そちらはおそろいで」
微笑む難波さん.......山も似合う。
いつの間にやらほのかに日焼けしているむき出しの腕。
結構二の腕は太くてたくましい。
「後から拓也も来るんですよ」
「ええー」
「無視して構いませんから」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
あはは! と難波さんが爽やかに笑う。
カッコ良。
「大輝ー。うちら無視ー?」
「久しぶりなのにー」
胸押し付けてる押し付けてる。
難波さんの腕にハレンチな女性たちの胸がめり込む勢い。
すごいな.......あんなこと、絶対できない。
「姉ちゃん、タレ付いてる」
魁十がウエットティッシュで口元を拭き取る。
「ありがとう」
「米おかわりは?」
「いる!」
紙のお椀を魁十に渡す。
肉が美味しいと米も進む。モリモリ食べちゃってる肉は明日筋トレがんばって筋肉に変えて、ウォーキングで脂肪燃焼して痩せよう。
「はい、姉ちゃん」
「いただきます!」
「夏菜さんはおかわりどうですか?」
「これ以上ごはん食べたらお肉食べられないのでやめときます」
米なくて肉食べれるんだ?
だからなっちゃんは痩せてるのかなあ。
「お姉ちゃん、さっきからずっと食べてるじゃない。魁十くんまだ肉すら1皿目だよ」
「ずっと魁十くんにお世話されてるし。焼くの代わってあげたら? お姉ちゃん」
なぜか朝倉さんとなっちゃんまでお姉ちゃん呼び。
そう思うなら二人が代わっても良くない?
「俺ちょこちょこつまんでるからお二人より食ってますよ。姉ちゃんに任せたら面倒が増えるだけなんでやめてください」
「後始末する方が大変か」
「さすが弟くん。よく分かってるね」
焼いてもらってるお礼に魁十の紙コップにコーラを注ぐ。
「こぼれてんじゃん。俺のことは気にしなくていいから食ってろ。ほら肉」
魁十が入れてくれた肉を噛む。
ああ、どうして私はコーラ入れるくらいもまともにできないんだろう……。
「紗夜。そっち煙行くからこっちおいで」
魁十が私の肩を抱いてカチャカチャ言う椅子を自分の横へと動かすと、キャー! と悲鳴が聞こえて振り向いた。
難波さんの友達、ハレンチな二人がこちらを見ている。ひとりは両手で口元を押さえ、ひとりはこちらを指差す。
こちらってか、私とは目が合わない。魁十か。
こういうことはよくある。誰も私なんか見ていない。見たいのは魁十。
「ありがとう、魁十!」
「うぜえ。いちいちくっつくな」
こういう時は、私にもわずかにはあるプライドであえて魁十に抱きつき見せつけてやる。姉の特権。
「はい、姉ちゃん。朝倉さん、まだ酒あります?」
「いいよ、魁十くん。私たちにまで気を使わなくて」
「そうだよ。手のかかる姉ひとりでも大変なのに」
え、手のかかる姉って私のこと?
「カイ、大変だと思ってる?」
「とっくに慣れきってるよ。今さら気にすんな」
そっか。そうだよね。
魁十が小さい時は私が構ってばかりだったけど、いつの間にか魁十に頼り切っている。
「ほんっと、よくできた弟さん。ブラコンだと思ってたけど、魁十くんならかわいくてしょうがないの分かる」
「うちの弟なんて魁十くんに比べたらつまようじだよ」
「それ、カイは何になるの?」
「大木」
「うちの弟を原料にしないで!」
「姉ちゃん、口開けて」
「あーん」
口の中にポン酢の風味。
入ってきたものを噛むと、熱々でジュワッと甘みが口いっぱいに広がる。
「おいしい!」
「甘い?」
「うん! 甘くておいしい」
ニッコリと魁十が笑う。
かわいいー。何よりもごちそうさまです。
「いいなー。遠山さんだけずるい」
「もし良かったら、口開けてください。殻が熱くて素手だと危ないと思うんで」
魁十は左手に軍手をし、ホタテか何かの貝を持っている。
「いいんですか?!」
「はい、あーん」
「今、歯医者に通ってて、虫歯は見なかったことにしてください」
「分かりました」
魁十が立って行って、朝倉さんの口に貝の身をお箸で入れると、なっちゃんも立ち上がった。
「私も!」
「私も!」
「私も!」
「私ももう1回!」
難波さんのグループの女子までなっちゃんの後ろにいる。
魁十へと列ができた。
「俺アトラクションかな」
ほんとだ、アトラクションに並ぶお客さんみたい。
プププと笑っていると、肩をチョンチョンとつつかれる。
振り返ると、難波さんがいた。
「わりーわりー。賢人が起きねえからさ」
アウトドアベッドで寝そべってビール飲んでた女性たちがバイクの隣に立つ男性へと駆け寄る。
アロハシャツを脱いで黒いタンクトップ姿になった男性とバシッと目が合った。
「難波さん!」
「遠山さん! すごい偶然ですね。そちらはおそろいで」
微笑む難波さん.......山も似合う。
いつの間にやらほのかに日焼けしているむき出しの腕。
結構二の腕は太くてたくましい。
「後から拓也も来るんですよ」
「ええー」
「無視して構いませんから」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
あはは! と難波さんが爽やかに笑う。
カッコ良。
「大輝ー。うちら無視ー?」
「久しぶりなのにー」
胸押し付けてる押し付けてる。
難波さんの腕にハレンチな女性たちの胸がめり込む勢い。
すごいな.......あんなこと、絶対できない。
「姉ちゃん、タレ付いてる」
魁十がウエットティッシュで口元を拭き取る。
「ありがとう」
「米おかわりは?」
「いる!」
紙のお椀を魁十に渡す。
肉が美味しいと米も進む。モリモリ食べちゃってる肉は明日筋トレがんばって筋肉に変えて、ウォーキングで脂肪燃焼して痩せよう。
「はい、姉ちゃん」
「いただきます!」
「夏菜さんはおかわりどうですか?」
「これ以上ごはん食べたらお肉食べられないのでやめときます」
米なくて肉食べれるんだ?
だからなっちゃんは痩せてるのかなあ。
「お姉ちゃん、さっきからずっと食べてるじゃない。魁十くんまだ肉すら1皿目だよ」
「ずっと魁十くんにお世話されてるし。焼くの代わってあげたら? お姉ちゃん」
なぜか朝倉さんとなっちゃんまでお姉ちゃん呼び。
そう思うなら二人が代わっても良くない?
「俺ちょこちょこつまんでるからお二人より食ってますよ。姉ちゃんに任せたら面倒が増えるだけなんでやめてください」
「後始末する方が大変か」
「さすが弟くん。よく分かってるね」
焼いてもらってるお礼に魁十の紙コップにコーラを注ぐ。
「こぼれてんじゃん。俺のことは気にしなくていいから食ってろ。ほら肉」
魁十が入れてくれた肉を噛む。
ああ、どうして私はコーラ入れるくらいもまともにできないんだろう……。
「紗夜。そっち煙行くからこっちおいで」
魁十が私の肩を抱いてカチャカチャ言う椅子を自分の横へと動かすと、キャー! と悲鳴が聞こえて振り向いた。
難波さんの友達、ハレンチな二人がこちらを見ている。ひとりは両手で口元を押さえ、ひとりはこちらを指差す。
こちらってか、私とは目が合わない。魁十か。
こういうことはよくある。誰も私なんか見ていない。見たいのは魁十。
「ありがとう、魁十!」
「うぜえ。いちいちくっつくな」
こういう時は、私にもわずかにはあるプライドであえて魁十に抱きつき見せつけてやる。姉の特権。
「はい、姉ちゃん。朝倉さん、まだ酒あります?」
「いいよ、魁十くん。私たちにまで気を使わなくて」
「そうだよ。手のかかる姉ひとりでも大変なのに」
え、手のかかる姉って私のこと?
「カイ、大変だと思ってる?」
「とっくに慣れきってるよ。今さら気にすんな」
そっか。そうだよね。
魁十が小さい時は私が構ってばかりだったけど、いつの間にか魁十に頼り切っている。
「ほんっと、よくできた弟さん。ブラコンだと思ってたけど、魁十くんならかわいくてしょうがないの分かる」
「うちの弟なんて魁十くんに比べたらつまようじだよ」
「それ、カイは何になるの?」
「大木」
「うちの弟を原料にしないで!」
「姉ちゃん、口開けて」
「あーん」
口の中にポン酢の風味。
入ってきたものを噛むと、熱々でジュワッと甘みが口いっぱいに広がる。
「おいしい!」
「甘い?」
「うん! 甘くておいしい」
ニッコリと魁十が笑う。
かわいいー。何よりもごちそうさまです。
「いいなー。遠山さんだけずるい」
「もし良かったら、口開けてください。殻が熱くて素手だと危ないと思うんで」
魁十は左手に軍手をし、ホタテか何かの貝を持っている。
「いいんですか?!」
「はい、あーん」
「今、歯医者に通ってて、虫歯は見なかったことにしてください」
「分かりました」
魁十が立って行って、朝倉さんの口に貝の身をお箸で入れると、なっちゃんも立ち上がった。
「私も!」
「私も!」
「私も!」
「私ももう1回!」
難波さんのグループの女子までなっちゃんの後ろにいる。
魁十へと列ができた。
「俺アトラクションかな」
ほんとだ、アトラクションに並ぶお客さんみたい。
プププと笑っていると、肩をチョンチョンとつつかれる。
振り返ると、難波さんがいた。
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