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乾いた村
第8話 歌は、豊かにします
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[神業・魔歌の熟練度が上がりました]
[言語の通じない相手への感情伝達が可能になりました]
[神技・具現の熟練度が大幅に上がりました]
「おお……?」
頭の中で声が聴こえて、ようやく我に返る。
熟練度が上がったり便利そうな効果が付いたりしたようだけど、歌ってみないとよく判らない。
(エメラダの件については……今は考えたくないから放っておこう。)
「ロイさんが歌った途端に雨が降るとは……」
「ね? おじいちゃん! お兄ちゃん凄いね! お話に出てくる魔法使いみたい!」
「ありがとう。魔法使いなら、良い魔法を使わないとね」
村長さんを見る。
「あの枯れてしまった川の水源はどの辺ですか?」
「え、ええ。あの山の上に大きな湖があります。地下の水が足りなくなったのか、水が湧かなくなってしまったのです」
なるほど。
「解りました。あの木が見えない辺りが湖ですね。ありがとうございます」
地面を踏むと軽く沈み込む。
これだけ水気があれば作物を育てるには十分な筈だ。
(とまれ)
[神技・具現の効果を解除します]
村に降っていた雨が止む。
(よし、次!)
「~~♪」
僕はもう一度[聖女になった少女]の劇中歌を歌う。
[神技・具現を使用します]
村の周囲は元のように晴れて行き
代わりに湖のある山が雨雲に包まれた。
(暫く山全体に降らせて、その後で湖付近にだけ降らせれば何とかなるかな?)
僕は歌うのを止める。
一度発生した具現は歌うのを止めても直ぐには消えない。
広間の霜と魔竜で確認済みだ。
「山に雨雲が……」
村長さんと村人達は口を開けたまま山を見ている。
(まだまだ!)
「~~♪」
[神業・魔歌を使用します]
[神技・具現を使用します]
次に歌うのは[豊饒の実りと豊穣の恵み]だ。
これは収穫祭で歌われる歌で、僕も毎年歌っていた。
「~~♪」
濡れて黒っぽくなっていた田畑にポツポツと緑が見え始める。
(おお、『もしかしたら出来るかな?』くらいの期待だったけど、本当に出来た!)
それなら……
「~~~~♪」
一層歌う声に力を込める。
「~~!」
「…………ふぅ。」
歌い終わった時には
様々な野菜達が溢れ
倒れそうなほど実った麦が並ぶ
色鮮やかな景色に変わっていた。
これで食料の心配も解消できたかな?
「えと、この位で足りるでしょうか?」
言いながら振り返ると
揃って腰を抜かせた村人達が見えた。
(しまった……調子に乗り過ぎたかも……)
[言語の通じない相手への感情伝達が可能になりました]
[神技・具現の熟練度が大幅に上がりました]
「おお……?」
頭の中で声が聴こえて、ようやく我に返る。
熟練度が上がったり便利そうな効果が付いたりしたようだけど、歌ってみないとよく判らない。
(エメラダの件については……今は考えたくないから放っておこう。)
「ロイさんが歌った途端に雨が降るとは……」
「ね? おじいちゃん! お兄ちゃん凄いね! お話に出てくる魔法使いみたい!」
「ありがとう。魔法使いなら、良い魔法を使わないとね」
村長さんを見る。
「あの枯れてしまった川の水源はどの辺ですか?」
「え、ええ。あの山の上に大きな湖があります。地下の水が足りなくなったのか、水が湧かなくなってしまったのです」
なるほど。
「解りました。あの木が見えない辺りが湖ですね。ありがとうございます」
地面を踏むと軽く沈み込む。
これだけ水気があれば作物を育てるには十分な筈だ。
(とまれ)
[神技・具現の効果を解除します]
村に降っていた雨が止む。
(よし、次!)
「~~♪」
僕はもう一度[聖女になった少女]の劇中歌を歌う。
[神技・具現を使用します]
村の周囲は元のように晴れて行き
代わりに湖のある山が雨雲に包まれた。
(暫く山全体に降らせて、その後で湖付近にだけ降らせれば何とかなるかな?)
僕は歌うのを止める。
一度発生した具現は歌うのを止めても直ぐには消えない。
広間の霜と魔竜で確認済みだ。
「山に雨雲が……」
村長さんと村人達は口を開けたまま山を見ている。
(まだまだ!)
「~~♪」
[神業・魔歌を使用します]
[神技・具現を使用します]
次に歌うのは[豊饒の実りと豊穣の恵み]だ。
これは収穫祭で歌われる歌で、僕も毎年歌っていた。
「~~♪」
濡れて黒っぽくなっていた田畑にポツポツと緑が見え始める。
(おお、『もしかしたら出来るかな?』くらいの期待だったけど、本当に出来た!)
それなら……
「~~~~♪」
一層歌う声に力を込める。
「~~!」
「…………ふぅ。」
歌い終わった時には
様々な野菜達が溢れ
倒れそうなほど実った麦が並ぶ
色鮮やかな景色に変わっていた。
これで食料の心配も解消できたかな?
「えと、この位で足りるでしょうか?」
言いながら振り返ると
揃って腰を抜かせた村人達が見えた。
(しまった……調子に乗り過ぎたかも……)
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