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第18話 王様の言葉
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揃って朝食を摂った後、鷹の目の皆が畑へと散って行く。
子供の頃から農業を手伝っていた人も居て、率先して働いてくれるのは非常に助かる。
弟達も手伝ってくれているので心配はしなくて良さそうだ。
(ああして畑作業をしていると野盗みたいな事をしていた人達とは別人に見えるから不思議だなぁ)
私とエーゲルさんとホークさんは家に戻り話し合いをする事になった。
お茶を飲んだエーゲルさんが早速とばかりに口を開いた。
「それで……陛下にお伺いを立てた結果なんだけど……」
「ど、どうなりますんで?」
エーゲルさんが深刻な表情をしてホークさんが祈るように指を組む。
「条件付きで許可、といった所かな」
取り敢えず良かった……。即連行して即処刑、みたいな乱暴な話にはならなかったみたいだ。
「条件とは何でしょうか?」
確認しないと安心は出来ないので問うと、エーゲルさんは苦笑して続きを話してくれる。
「陛下からの条件は、まずはお嬢さんと会って荒くれ者の傭兵団を管理出来るか確認したい。これが1点目」
「はい」
正直気が進む事では無いのだけど……この位は当たり前の条件だと思う。
平民に自分から会おうとする王様なんて変わった人だとは思うけど。
「次に、聖女マリアンヌ様との仲直りかな。これは……まあ、貴族的に色々と面倒でね」
「う……はい」
……かなり気が進まないお話だけど、この位は頑張るべき条件だと思う。
あとで無茶な言いがかりをされても困るし。
「最後に『可能であれば聖獣を連れてきて欲しい』だね。……いや、そんな目をしないでよ。僕は何も言って無いからね?」
「……信じますけど」
「王様も無茶を……いくらアイリス姐さんが聖女様のような方でも本物の聖獣を連れて来いだなんて……」
ホークさんが机に伏して頭を抱える。
「俺達のせいで姐さんまで巻き込んで……申し訳ねえ……」
大人の男性が肩を震わせているのを見ると何とも言えない気持ちになる。
(全く……出会った時の極悪非道感はどこへ行ってしまったのやら)
結局悪事は出来なかった訳だし、それで良かった気がする。
根がこういう性格なのでは悪事を行った自分に耐えられなくなってしまいそうだから。
「大丈夫だから……そんなに落ち込まないで……。ハク、おいで」
呼ばれたハクが机の上に飛び乗る。
私の頭の中に呆れたような声が響く。
『良いのであるか? お人好しが過ぎるのである』
『どうせ上手くいって皆がここに住む事になったら隠しても置けないでしょ……家族みたいなものだし……』
『……アリスの頃から素直で無いのは変わらんのであるな』
『お互い様だよ。ありがとね、ハク』
ハクが溜息をついてホークさんのつるつる頭に前脚を置く。
「うっ……何かプニプニする……姐さん? にしては毛深いような……いや、すみません」
それなら私じゃ無いよね?
掌に毛が生えたりはしていなからね?
どうして謝るのかな?
「人間よ、吾輩がアイリスと共に城へ行く故安心するのである」
「へ?」
ハクが前脚をどかすとホークさんがそろそろと顔を上げる。
「ん? 猫?」
「吾輩は猫では無いのである」
「猫では無いのか猫であるなのか判りにくいぜ……じゃなくて! 喋ったぁ!?」
「うむ。猫では無く聖獣であるからな」
「へ、聖獣?」
微妙に噛み合わないやり取りを見ていると笑ってしまいそうになる。
向かいに座る騎士の視線を感じて目を向けると、彼は一瞬迷ったように見えたが口を開いた。
「……教えちゃって良かったのかい?」
エーゲルさんが心配そうな顔で私を見る。
いや、多分本当に心配してくれているんだと思う。
「もしこれで悪さをするような人達だったら私の見る目が無かったんだと思います」
「良いね。その時は私も半分ばかり責任を負うよ」
笑顔で立ち上がるエーゲルさんの後を追うように私も立ち上がる。
「それじゃ、行こうか」
「はい」
「うむ」
こうして私達2人と聖獣ハクは王城へ向けて出発した。
子供の頃から農業を手伝っていた人も居て、率先して働いてくれるのは非常に助かる。
弟達も手伝ってくれているので心配はしなくて良さそうだ。
(ああして畑作業をしていると野盗みたいな事をしていた人達とは別人に見えるから不思議だなぁ)
私とエーゲルさんとホークさんは家に戻り話し合いをする事になった。
お茶を飲んだエーゲルさんが早速とばかりに口を開いた。
「それで……陛下にお伺いを立てた結果なんだけど……」
「ど、どうなりますんで?」
エーゲルさんが深刻な表情をしてホークさんが祈るように指を組む。
「条件付きで許可、といった所かな」
取り敢えず良かった……。即連行して即処刑、みたいな乱暴な話にはならなかったみたいだ。
「条件とは何でしょうか?」
確認しないと安心は出来ないので問うと、エーゲルさんは苦笑して続きを話してくれる。
「陛下からの条件は、まずはお嬢さんと会って荒くれ者の傭兵団を管理出来るか確認したい。これが1点目」
「はい」
正直気が進む事では無いのだけど……この位は当たり前の条件だと思う。
平民に自分から会おうとする王様なんて変わった人だとは思うけど。
「次に、聖女マリアンヌ様との仲直りかな。これは……まあ、貴族的に色々と面倒でね」
「う……はい」
……かなり気が進まないお話だけど、この位は頑張るべき条件だと思う。
あとで無茶な言いがかりをされても困るし。
「最後に『可能であれば聖獣を連れてきて欲しい』だね。……いや、そんな目をしないでよ。僕は何も言って無いからね?」
「……信じますけど」
「王様も無茶を……いくらアイリス姐さんが聖女様のような方でも本物の聖獣を連れて来いだなんて……」
ホークさんが机に伏して頭を抱える。
「俺達のせいで姐さんまで巻き込んで……申し訳ねえ……」
大人の男性が肩を震わせているのを見ると何とも言えない気持ちになる。
(全く……出会った時の極悪非道感はどこへ行ってしまったのやら)
結局悪事は出来なかった訳だし、それで良かった気がする。
根がこういう性格なのでは悪事を行った自分に耐えられなくなってしまいそうだから。
「大丈夫だから……そんなに落ち込まないで……。ハク、おいで」
呼ばれたハクが机の上に飛び乗る。
私の頭の中に呆れたような声が響く。
『良いのであるか? お人好しが過ぎるのである』
『どうせ上手くいって皆がここに住む事になったら隠しても置けないでしょ……家族みたいなものだし……』
『……アリスの頃から素直で無いのは変わらんのであるな』
『お互い様だよ。ありがとね、ハク』
ハクが溜息をついてホークさんのつるつる頭に前脚を置く。
「うっ……何かプニプニする……姐さん? にしては毛深いような……いや、すみません」
それなら私じゃ無いよね?
掌に毛が生えたりはしていなからね?
どうして謝るのかな?
「人間よ、吾輩がアイリスと共に城へ行く故安心するのである」
「へ?」
ハクが前脚をどかすとホークさんがそろそろと顔を上げる。
「ん? 猫?」
「吾輩は猫では無いのである」
「猫では無いのか猫であるなのか判りにくいぜ……じゃなくて! 喋ったぁ!?」
「うむ。猫では無く聖獣であるからな」
「へ、聖獣?」
微妙に噛み合わないやり取りを見ていると笑ってしまいそうになる。
向かいに座る騎士の視線を感じて目を向けると、彼は一瞬迷ったように見えたが口を開いた。
「……教えちゃって良かったのかい?」
エーゲルさんが心配そうな顔で私を見る。
いや、多分本当に心配してくれているんだと思う。
「もしこれで悪さをするような人達だったら私の見る目が無かったんだと思います」
「良いね。その時は私も半分ばかり責任を負うよ」
笑顔で立ち上がるエーゲルさんの後を追うように私も立ち上がる。
「それじゃ、行こうか」
「はい」
「うむ」
こうして私達2人と聖獣ハクは王城へ向けて出発した。
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