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学園
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しおりを挟む俺はデムと共にベイラーの寄宿学校に行く事になり…色んな人と出会った。特に魔国の姫君、アシュリィ様との出会いは…デムにとって、運命を変えるものになったと思う。
最初はいがみ合っていた2人だが、気付けば仲良くなっていて。デムが俺以外に笑う姿は初めて見た…。
もう、これで安心だ。俺が死んでも…弟には素晴らしい友達ができた。これで心置きなく、キャンシー・グラウムを殺せる。
デムはこの国に来て、明るくなった。グラウムでは常に苛ついていて、挨拶代わりに舌打ちをするような子だったから。
友達と一緒に勉強して、切磋琢磨する姿はとても眩しかった。俺はデムのこんな、普通の少年といった姿を見たかったんだ…と改めて気付かされた程に。
そのうちデムは…「なんで皆、力を求めるのだろう。彼らの強さの秘訣は…?」と悩むようになった。沢山の人と関わった事で、どんな心境の変化が起きたのかな。俺の答えは…今更言わないけどね。
デムは俺を連れて、友人の意見を聞いて回った。
アシュレイ様は「魔王陛下に勝つ為!」で。アシュリィ様は…「テュポーンと勝負する為」…どっちもスケールが大きすぎて、参考にならなかった。次行こう次。
「…?強くなりたい、レベルを上げたいのは魔族の本能だ。だから、鍛錬する理由を考えた事も無かったな。アシュリィは以前…「女性がダイエットする感覚に近い」と言っていたが。」
「えー?そうだねえ…。僕は魔法が得意だって気付いたから、それを伸ばしてるだけ。もちろん大切な人を守りたい!っていう思いもあるよ。でも今はやっぱ、リリスやアシュリィに格好いいとこ見せたいからかな~?」
「楽しいからですわ!新しい魔法を覚えた時の喜び…それが当たった時の爽・快・感!!もっともっと、ぶっ放したい!!そう無限に欲が湧いて出ますの!!」
「へ?俺?ん~…!
俺は…アシュレイやアルバート殿下と違って、才能なんてありゃしない。けど…「特別な何か」になりたいって思っていた時期があったんです。
けど今はただ、両親に褒めてもらいたいから、好きな人が応援してくれるから剣を振っ……最後の忘れてください!!!」
「「「アシュリィ様をお守りする為、あの方の自慢の従者である為です。」」」
一部物騒な意見もあったけど、聞いていて面白くはあった。デムにはイマイチ響かなかったようだけど…
「生きるためです。」
「……っ!」
トレイシー先生の回答に、デムは言葉を詰まらせていた。今までの誰よりもシンプルで、力強い答えだった。
その日の夜。散歩を終えたデムが、ソファーに座る俺の前に立った。なんだか部屋を出る前より…目付きが優しくなった気がする?
「兄さん…俺は。兄さんを守りたくて…強くなりたかったんだ。」
「………………。」
「だから…だから。
……復讐をやめる事は、できないのかっ!!?」
「…っ!」
俺は驚いて、目を見開いてデムを見上げた。あの日以来…その話をした事がなかったから、動揺を隠せなかった。
デムは目に涙を浮かべて、震える声で訴える。
「兄さんは死ぬつもりなんだろ?陛下を殺して逃げる自信は無いから…。でも俺は…兄さんに死んで欲しくない!その為に強くなったんだ!兄さんと一緒に、未来を生きる為に!」
生きる…俺が?
俺とデムは…両親に対する認識が違う。それは仕方ないし、悲しくも憤りも無い。この子は産まれてすぐに家族から引き離されたんだ、当たり前の事だ。
だけど…俺の邪魔だけはしないでくれ。そういった意味も込めて…デムの頭をぽんっと叩いた。ちゃんと伝わったようで、彼は一筋の涙を流した。
「……俺を1人ぼっちにする気か。可愛い弟を天涯孤独にするつもりか。……兄ちゃんの馬鹿…!」
…………ごめん。
死ぬ前に1つだけ、やりたい事がある。
それは、デムの本当の名前を呼ぶ事。両親が考えて名付けたのに…1度も呼ぶ事なく別れてしまった。もう…俺しか知る者がいない名前。
文字に起こすのではなく、言葉にしてあげたい。でも…俺には無理だろう。
だから俺は、アルバート殿下に託そうとした。デムがもう1人の兄のように(密かに)慕い、よく喧嘩している相手。
【殿下。これがデムの本当の名前です…貴方だけでも、呼んであげてください】
「へ?……へー…可愛いね。でもごめんね、僕には無理かな。」
誰もいない時を見計らってメモを渡したのに…返されてしまった。
「僕にとって、デメトリアスの名前はさほど重要じゃない。僕が気に入っているのは彼という「個人」だからね~。例え彼の本名が『ローランドゴリラ』であっても受け入れるよ!」
それは両親の感性を疑って欲しいかな…。
「彼がこっちの名前で呼んで欲しければ、喜んでそうするけど…最初に呼ぶのは君の仕事。お兄ちゃんなんでしょ?」
え……なんで、それを。
この時はまだ…アシュリィ様にもバレてなかった。
デムが皇子でないと知る者は多いけど。俺達が兄弟だというのは…憎い陛下すらも知っているか分からない。俺はデム以外誰にも言っていないから…。
だが殿下は驚く俺の顔を見て、不思議そうに首を傾げた。
「ん?この学校で、初めて君と顔を合わせた時に気付いたよ~。いや顔が似てる、とかじゃなくて。
デメトリアスは君を大切に思っているっぽいし、君もデムに主従以上の親愛を抱いてるし。
…2人ぼっちの兄弟なんだから。ずーっと、力を合わせて生きるんだよ。」
「………!!」
殿下は「じゃあね~」と手をヒラヒラ振って、俺に背を向け歩き出す。
この人は…どこまで見透かしているんだろうか。鎌掛けにも思えるし、純粋な考え無しの発言にも聞こえる。何も知らないくせに…!と思わなかったと言えば嘘になるが…。
彼の言葉は…俺のグラついていた心を更に掻き乱す。
家族の仇を取る為に…デムを1人にするのは、正しい事なのか?
けどこのままじゃ、誰も報われない。
父さんも母さんも、俺達が生きる事を望んでいるはず。
でも俺は、陛下を許す事なんてできない。
じゃあ、陛下を殺したら魔国で匿ってもらおう。
駄目だ、誰かを巻き込むなんて出来ない。
何より…相手がなんであれ、人を殺して…その後の人生、全て忘れて歩む自信は無い。
どうすれば…いいんだ…。
誰にも相談できず…なんでもないように振る舞って日々を過ごした。
その間にデムは、一歩ずつ未来に向かって歩き始めた。俺だけが…あの日に取り残されたままで…。
「俺は魔国に行く…もちろん兄さんも一緒にな。」
誕生日パーティーの為、グラウムに帰る前日。デムは俺にそう言った。この時点で彼はもう、決意していたんだ。
「ホンショ!?ウシュ~、ヤッタ!」
ミニアシュ様がデムの頭に上り、満面の笑みでペシペシ叩いている。デムも満更でもなさそうに、ふふんと鼻を鳴らした。
いいや…俺は行けないよ…。そう言ったのに。
「…ふん縛ってでも連れて行く!!もしも兄ちゃんが死んだら…俺も死んでやる!!!お前は俺を殺す気か!?」
「っ!!」
「アシューッ!?ナンデ、シニュ!?ヤーーーッ!!」
なんでそんな、俺を困らせるような事を言うんだ!!デムは絶叫するミニアシュ様を抱えて、布団に潜ってしまった。
出てこーい!!と布団を引っ張るも、2人がかりで抵抗されて歯が立たない。ふぐぐぅ…!
「ティモ、バカ!!アシュリィ、オコオコー!!」
「そうだもっと言ってやれ!バーカバーカ!!バカ兄貴!ハゲろ!!!」
「アホ!!タコー!!」
「この唐変木!!」
「イカ!!」
「「バーーーッカ!!!」」
子供か!!!……っふす。
俺は呆れると同時に…笑いが込み上げてきた。そして…
「………っ、……。」
涙が…両目から溢れて止まらなくなってしまった。
死にたくない…。この先もずっと…こうして馬鹿みたいな喧嘩をして、笑い合いたい。
もう…どうすればいいのか分からない。2人を布団ごと抱き締めて…俺は泣き続けた。
そして今。答えを出さなきゃいけない時がきた。
「俺は陛下を許せないが…復讐心はさほど無い。俺は、な。
な?……兄さん。」
「………………。」
デムにつられて…数人が俺を見て、顔を強張らせた。デムやアシュリィ様、アシュレイ様を押し退けて…殺したい程憎い相手の前に立つ。
「な…なんだ…。」
俺程度に怯える陛下を前に…殺意は膨れ上がる。
「復讐…?はは…こんなにも多くの者が見ている中で、私を殺すか?やってみろ、お前もデメトリアスも無事では済まないぞ!!何せ魔王陛下もご覧になって…!」
「なんで僕?僕は関係無いよ?」
「え…?」
キャンシー・グラウムの縋るような言葉を、魔王陛下はバッサリと断ち切る。
そうだろう…彼にとって俺ら人間の諍いなんて、子供の喧嘩も同義。介入するなど大人気ない。
「この場合、喧嘩両成敗…と言えないよね。だってティモくんが一方的な被害者だ。
だから仲直りする為には。ティモくんに許してもらうか、君も…同等の何かを差し出す必要があるよね?」
……魔王陛下は俺に向かって…一振りの剣を差し出した。それは、つまり。
俺がキャンシー・グラウム及び家族を殺すのを…黙認するという事か。
「な…っ!?魔王陛下ともあろうお方が、殺人を唆すおつもりか!!」
「んー…本来なら止めるけど。さっきアシュリィも言ってたでしょ?
君の持論だと、ティモくんとデメトリアスくんは、君を殺す権利がある。違う?」
キャンシー・グラウムは絶望した表情になり…恐怖に染まった顔で俺を見上げる。隣の男も、俺に鋭い視線を向ける。
「……………。」
俺は陛下からありがたく受け取り、剣を抜く。邪魔な鞘を床に放り投げれば、その音に標的は肩を跳ねさせた。
カツ… カツ… と。音を鳴らして歩き、俺の剣がキャンシー・グラウムを捉える位置まで接近した。グラウムの誰も、俺を止めようとしない。
これは…チャンスだ。堂々とこいつらを殺す、絶好の機会。今を逃せばもう、2度とない。
殺すか。見逃すか。それは今…俺の判断に委ねられている。まさに俺が、こいつの命を握っているんだ。
「や…やめろ…!頼む、やめてくれ!!」
「お願いだ、彼女を殺さないでくれ!望む物はなんでもやる、だから…!」
当然、殺す。その為だけに、今まで生きてきた。
ス… と剣を両手で上に構える。あとはこれを…振り下ろすだけ。王の威厳など微塵も残っていない、みっともなく命乞いをして醜態を晒す女の頭に、叩き込めばいい。
何も躊躇う事などない。
はず…だった…のに…!!
「………っ!」
どうして俺は泣いている。意思に反して…腕が震えて動けない…!!動け、動け動け動け動け動け…!!
父さん。母さん。おじいちゃん、おばあちゃん。おじさん…おばさん…みんな…!待ってて、俺が仇を…取っ………
ガラン…
俺の手から…剣がすり抜けて床に落ちる。腕を下ろして…両の手の平を見つめて、弱く握る。
……殺せない。奴らと同じ外道に堕ちたくない…。俺の大事な弟を…「殺人者の弟」にしたくない。
ごめんなさい……みんな…。
俺は…弟と一緒に、生きたい…!
「……兄ちゃんっ!!」
「!」
ドン! 背中に衝撃が。デムが、勢いよく抱き着いてきたんだ。
わあああああん!と子供のように泣きじゃくる。全く…。
後ろを向いて、俺よりも背の高い弟を正面から抱き締めた。彼の後ろではアシュリィ様やリリーナラリス様も涙を流し、アルバート殿下達は安堵の表情を浮かべている。
「兄ちゃん…兄ちゃん…っ!よかったぁ…うあああぁぁ…!」
よしよし…仕方のない子だ。いつまで経っても子供なんだから。ねえ、デム…いや。
「…………ィ……」
「え…?」
驚いたのか弟は、ぐっしゃぐしゃになった顔を離した。
「イ……イヴ、けほっ」
「兄ちゃん…?」
ずっと…呼んであげたかった。
「…イヴリン。俺、の…弟…。」
イヴリン。両親からの…最初で最後の、きみへの贈り物。きみの、本当の名前だ。
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