私の可愛い悪役令嬢様

雨野

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学園

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 皆準備はよろしくて?運命をぶち壊す夜会の始まりだ!
 知ってる顔ぶれが次々入場、私は主催者として挨拶に来る人達の対応に追われていた。私の立場もあり、アギラール公爵家とブルジャス公爵家からも夫婦で参加している。

「招待ありがとう、久しぶりだなアシュリィ嬢。」

「ご無沙汰しております、レイヴァン様。」

 そしてアレンシア公爵夫妻!子供の頃以来なアシュレイのご両親!いずれ私の義両親に…なんちて!!おひょあーーー!!!お義父様は相変わらず筋肉モリモリですね!

「今年の夏は、アシュレイとヒューが魔国にお邪魔したようだが…何か失礼はしなかっただろうか?」

「夏…。」



『バーーーカ!!アシュリィなんて大っ好きだ!アホ、タコーーー!!文句あんのかコラアァー!!』



「……んぶふ…っ!」

「「?」」

 アシュレイの、めっちゃ可愛いブチギレ告白思い出した…っ!でも親に知られるのは恥ずかしいだろう、密告はしない空気の読める私。パーティー楽しんでくださいね~と言って逃げた。
 ついでになるがヒューをとっ捕まえてご挨拶。あれ、ジュリアさんは?

「いやあ、実は…今つわりが酷くてですね。」

「あらあ、それは大変。奥さんを大事に………は?」

 目が点になった。ヒューは照れ笑い…赤ちゃんおるんやけ!!?

「やっだあ!おめでとー!!!」

「ありがとうございます。」

 赤ちゃんか~!結婚祝いは贈ったけど、今度は魔国製のベビー服贈ろっかな!?ヒューともハイテンションで別れた後…ふと思う。


 私とアシュレイに…子供は産まれるのだろうかと。私には確かに人間の血も入っている。ならば人間並に、子を成せるかもしれないけど。
 魔族に子供が出来にくい理由は解明されていない。一説によると頑丈な上寿命が長いから、人口が増えすぎないよう神が調整した…と言われている。

 ……なら…


「…ううん。子供はできなくても…私はアシュレイが好きだもん。」

 私の呟きに、同行している四天王Jr.がぴくっと反応した。はは…好きって明言したの、初めてだっけ?んな驚かんでも。

「でもなぁ…アシュレイにも、自分の赤ちゃんを抱かせてあげられないんだよなあ。それなら…」

「オレも子供は好きだけど、アシュリィがいない人生なんて嫌だ。これも…昨日した理想郷の話に通じるものがあるかもな?」

「あ、それもそうだね。子供のいる世界を知ったら、また悩むかもし…れ……な?」

「…うん。だから自分の子供を知らないオレは、お前との暮らしを選択する。誰よりも…夫婦の時間を大切にしよう。」

「………はわ…」

 なんで…めっちゃ自然に、アシュレイと手を繋いでいる?いつの間にいたの、もう私達結婚してね?と言いたい事は多いけど。


 ……好きっ!!!!




 ずっと手を繋いだまま、挨拶はほぼ終了。旦那様、ベンガルド伯爵家やシャリオン家。知り合い大集合だぞ!多いので紹介は省くけど。
 王室からは王子3兄弟参戦!王太子殿下、王太子妃殿下、ジェイド、そして我らがアルバート!ちょいっと彼をお借りしまーす。

「わあ、結構招待したのね。」

 おふぁ、今日もリリーはふつくしい…。何その谷間、ラリーがガン見しとるぞ。
 そんなラリーに優しくアイアンクローをしつつ、少し談笑。ディード、デム、ティモ、ランス、ミーナ、ヨハネス、マルガレーテ…いつメンが集まってきた。トレイシーも会場警備でいるぞ。

「んー?パメラ知らない?」

「さっき双子に両腕掴まれて、超困ってたぞ。」

「あーらら。」

 相変わらずですなあ。このパーティー、最初からぶち壊す気は無い。暫くは招待客の皆様にも楽しんでもらいたいし。なので…ちょっと遊ぼう。

「アイル。楽団に曲変えるよう伝えてくれる?」

「かしこまりました。」


 アイルが席を外し、戻ってきたら…


 ……~♪


「……ん?聴いた事ない音楽だな…?」

「こ…これは…。」

 えへへ~。魔国組以外は皆、不思議そうにキョロキョロし始めた。場にそぐわない軽快な音楽に、お客さん達もざわざわ。ふふふ…

「行くよっ!」

「「「「はーい!!」」」」

「全く…。」

 四天王Jr.とディードを連れて、隅っこの空間で手を繋いで輪になった。


「え、何それ!?おいアシュリィ、オレも入れてー!!」

「おほほほほ。ステップ覚えてからね~!」


 ♪ ♪ ♪

 私達はニコニコと、ステップを踏みながらぐるぐる回る。お分かりいただけただろうか?これは…!


「ねえちょっとー!なんで『マイムマイム』が流れてるのよー!?」

「来たなパメラ!さあ貴女も入りなさい!!」

「入るーっ!!」

「「パメラー!?」」

 予想通り、釣れたぜ!!パメ公は人の合間を縫って登場、双子を振り切って輪に入る。私とディードの間にご招待~!

 そう、答えはマイムマイムです!煌びやかな夜会には全く似合わんが、私がしたいからするの!!楽しげな私達に、アシュレイがめっちゃ悔しそうな顔してらあ。


「なんだよそれー!?混ぜて!!」

「にょほほほほ。魔国で流行ってる踊りでぇ~す。へえい!!」パァンッ!

「嘘よね…?」パンッ

「事実だ。」パンッ

「そうなんですか!?」

 踊りながら、パメラは本気でびっくりしとる。事実だよ、私が広めたもん。
 まあ流行ってるってのは大袈裟で、ちょっとしたパーティーとかで踊るだけ。私がメロディーを口ずさんで、それを譜面に起こしてもらったのだ。ちなみにラリーにも3日前から仕込んだ。

 魔国で流行ってると聞き、参加者達は納得した。どう見ても貴族の踊りではないが…文句を言って魔族に喧嘩を売りたくないのだろう、「楽しそうですね」とか無難な反応。
 アルとリリーは暫く私達を観察して…ステップを理解したのか、輪に入ってきた。すると益々アシュレイが膨れるので、手招きした。

「最初は適当でいいから、一緒に回ろう!」

「お、おう!」

 私とパリスの間に入り、たどたどしく踊る。はあ…楽しい!!


「魔国すごいわね…ちょっと行ってみたいわ…。」

「この踊りは、荒ぶる大地神を鎮める為の舞だと聞いているが?」

「(嘘吹き込まれてる!!)あ…はは…。」

 まーいーじゃん!次オクラホマミキサー行っちゃう?とまあ…こうやっておふざけしつつ。

 周囲にこれは「魔国流の宴なんだ」と思い込ませる。そのほうが色々とスムーズにいくからね。ふむ、そろそろ…




「おやおや、なんとも愉快な事をなさっていますね。」

「………ふふ。」

 来た…タンブル。余裕ぶっこいていられんのも今のうち。


 本番はこれからよ。さて、どう調理してあげようかな?

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