101 / 164
学園
15
しおりを挟む「このボールは俺様の物だ!!邪魔をするなああ!!」
「こっちのセリフだよ!」
おー、やってるやってる。
アメフトの方はこっちチームの圧勝に終わり、アシュレイと共にサッカーの応援に来た。いやー、ナイトリーを撒くのに時間かかった…。
アルとディードは敵だから、アイルとデメトリアスとランスの応援を…と思ったのだが。王族2人がすんげー張り切ってるようだ。
「…なあ、オレサッカーのルール詳しくないんだけど…なんか無茶苦茶じゃないか?」
「確かに…。」
私もそれほど詳しくないけど。アシュレイとパリスと並んで観戦すること数分。なんか…全員めちゃくちゃな動きしてる。
「一切パスとかしようとしませんね…。」
「どいつもこいつも我こそは!ってボール追いかけてんな…。」
「ポジションとかまるで無いね…。」
なんならキーパーもフィールド走り回ってる。何があった?
「説明致しましょう!」
「「「わあっ!!?」」」
びっっくりしたあ!!いきなり後ろからマルガレーテが出てきて、心臓止まるかと思った…。
そのマルガレーテ曰く。
最初はルールに則って進んでいたらしいのだが…ほとんどの生徒が完全にルールを理解しておらず、何度も試合を止めるハメになった。
そこで審判のトレイシーが
「面倒だから、エリア内でキーパー以外が手を使うのとラフプレーは禁止。それ以外は自由!!」
というルールに変更したらしい。そこからもうこうなったとか。
「いやあ、その後大変でしたわ。
それならば、とキーパーのディーデリック様がボールを抱えて相手ゴールに直接運んだり。流石にそれは駄目だ、と言われまして。普通にペナルティエリア以外ではキーパーも手を使ってはいけない、となりました。
そしてラインの外では手を使っていいのでは?とアルバート殿下がわざと外にボールを出し、抱えて走ったり。それは先生に怒られていましたが。
その後もちょくちょくルールを調整して、ようやく試合っぽくなりましたの。」
「なんだそれ…。」
「アメフトも少しだけルールは簡略化されてたけど…こりゃ…去年よりひでえ…。」
そして今、ひたすら全員でボールを奪い合うというこの状況に落ち着いたらしい。
小学生か。いや小学生でもちゃんとルール守るわ。なんで前もって勉強しとかない?
「この国ではあまりスポーツは浸透していませんから…このイベントも特に重要なものではないのですよ。」
そういえば、練習時間も少なかったな…。
全員ひたすら走り回ってるせいか、体力切れで倒れてる生徒も少なくない。よく見たらヨハネスも横たわってるわ。
さっきからアルとデメトリアスがラフプレーギリギリのやり取りをしている。「貴様あああ!」「邪魔だってば!」「貴様には絶対負けん!」「僕だって!!」と。楽しそうだなお前ら。
そういえばリリーはどこかなー?と思って探していたら…すぐ見つかった。
「アルバート様、頑張ってくださーい!デメトリアス様もー!!
…リリーナラリス様は、婚約者だっていうのに、アルバート様の応援をしないんですか?」
「今の私達は敵同士。敵を応援出来ないわ。それにどちらも頑張れ、なんて…真剣勝負をしている者に対する侮辱だわ。」
「そんな言い方無いんじゃないですかあ?みんな頑張っているんだからみんな優勝、でいいじゃないですか。」
「それは貴女の考えよ。私に押し付けないで頂戴。」
「ふーん。
どっちも頑張れー!!」
おおう。撒いたと思ったナイトリーはここにいたのか…。さーて、どうするか。
アシュレイが出て行くとまた面倒なことになりそうなので、パリスと一緒に残して私だけリリーの元に向かう。
私に気付いたララが席を立ち、後ろに移動した。うんうん、リリーとナイトリーの間にいてくれたんだな。そして今度は私に押し付…託したな。
そして私はナイトリーは完全無視してリリーに話しかける。
「リリー、今どうなってるの?」
「あらアシュリィ。見ての通り…89対76よ。こっちが劣勢ね。」
「何その点数!?点取り合戦じゃん!!
まあいいか…デメトリアスー!頑張れ!!アルに負けんなー!!
パスしろパス!!ランスがガラ空きだぞ!アイルも走れ走れ!!」
私が応援を始めたら…リリーがくすくす笑ってた。令嬢として、あんまり大声を出すのははしたないって言われるけど…私にゃ関係ない。そーれ!
「ディード邪魔すんなー!!キーパーなんだからゴール守ってろ!
デメトリアス、根性見せろー!!」
「ふふ…デメトリアス殿下ー、頑張ってください!」
「!!ああ、もちろんだともリリーナラリス嬢。アルには絶対負けな…あ。」
「私の声援は無視かコラあ!?ボール取られてんじゃないか、しっかりしろー!!」
あんのクソ皇子、リリーの声援に応えようとしてボール取られてやがる。負けたらはっ倒す!
「わー、アシュリィ様女の子なのにそんな言葉使い駄目ですよう。」
無視しろ私。
私とリリーが一切無視して応援し続けていたら、「何それ、偉ければ他人を無視してもいいの!?ありえない!」と言ってナイトリーは消えた。
いやよくは無いけどさ。私にも感情というものがありまして…やっと静かになって安心したわ。
その後も点を取っては取られ、アルとかオウンゴールして「よっし!!」とか言っちゃう始末。アホか。
最終的に102対97という結果に終わった。はい、こっちの負けです。
でもアメフトとテニスでは勝ってるので…総合的にはうちの勝ち。ただ勝ったからといって何かある訳でもなし、ひたすら疲れただけである。
でもまあ…面白かったよ。たまにはルール無用のバトルってのも悪くない。私達はプロじゃないんだしい。
デメトリアスもこれを機に、勝ち負けにこだわらず試合を楽しむという…
「くそ…負けた!次は絶対勝つ…!!…違う!次なんて考えるから…!」
駄目だこりゃ。彼は一体何と戦ってんだ…。
皆でお疲れ様ーとかこの後どうするかー。なんて言いながら移動するのも、学生って感じでいいよね。ここが日本だったら、この後ファミレスにでも行く勢いだ。
「ええい!アルバート、次は俺様が勝つ!!」
ビシっ!!とアルを指差しそう宣言し、デメトリアスは去って行った。そんなに勝ちたいんかい。
「いやー…次って来年だけど。僕もう卒業してるんだけどなあ…。」
そんなアルの呟きは、彼に届くことは無いのでした。
※よく見たら100話超えてましたね。応援ありがとうございます!これからものんびり頑張ります!
0
お気に入りに追加
3,550
あなたにおすすめの小説
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる