私の可愛い悪役令嬢様

雨野

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学園

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 私達が寄宿学校に入学して約2ヶ月、季節は初夏。今日はこの学園でスポーツイベントがある。


 魔法は一切禁止で男子はサッカーかアメフト、女子はソフトボールかラクロスである。なんなんだこの2択は。
 全員参加ではなく、3~5年生の選抜だ。だが女子は…参加希望者がいなすぎてテニスだけになった。最初っからそうしろや、と言いたい。
 でもまあお嬢様方がスポーツで汗を流すってのも…ねえ。まあリリーは超張り切ってたが。有朱もテニスなんざソフトテニスしか経験無いが…やるからには勝ぁつ!!



 …と思っていたのよ私。ただねえ…相手がやる気無さすぎて…萎えた。
 ウフフオホホと華麗に動くばっかしで、まっっったく面白くねえ。でも手を抜くのも負けるのもイヤなので全力で叩き伏せた。
 ああ悲しいかな価値観の違い。隣国ではスポーツは老若男女貴賤都鄙無く盛んらしい。いいなー。


 そんな感じで女子は私&リリー圧勝に終わり、特筆すべきことは無い。なので男子の応援に行くことにした。
 余談だが。シングルでリリーはナイトリーと対戦したのだが…相手が「きゃーん!」「ひゃっ」「えーい!」みたいなイラつくプレーを連発、当然負けた。

「あーん、負けちゃった~~~!ひっどーい!」

 とか吐かすモンだから…静かにキレたリリーを宥めるのが大変だった…。私もイラついてたけど、リリー見たら落ち着いたわ。
 それでも極々本当に一部の生徒は「ナイトリーさん可哀想」ってなるんだから、大したもんよね~。さて、応援行こっと。





「おー、いたいた。おーい、アシュレイー!」

「アシュリィ!そっちはもう終わったのか?」

「うん。どう?勝ってる?」

「おう。」

 アシュレイはアメフトだ。スコアは…おー、30点差。圧勝ですな。
 本当はディードもアメフトが良かったらしいのだが、「彼にタックルされたら死ぬ」と対戦相手の涙ながらの懇願によりサッカーになった。ですよね!
 ちなみにチーム分けは簡単、この学園は全学年クラスは2つしか無い。どっちが優秀とかは無いし、今回はそのまんま縦で分かれる、つまりアシュレイ、ランス、デメトリアスは同じチーム。
 だがディード、アル、ヨハネスは相手チームになった。その3人はまとめてサッカー参加。こっちはアシュレイのみアメフト。


「アシュレイだけアメフトじゃん。サッカーじゃなくてよかったの?」

「いいよ。オレサッカー苦手だし…。」

「ふーん。」


 リリーはアルの応援に行くと言うので、私はこのままアシュレイの応援をすることにした。アイルもサッカーに出場しているので、ララはリリーにくっついてってパリスは私と一緒だ。



「お、後半始まるね。頑張れ!」

「…おう!」

 ヘルメットを渡しながらそう言うと、彼は笑って応えてくれた。しっかし背え伸びたよなー。すっかり逞しくなっちゃって、まあ。
 彼の背中を見送りながら私がしみじみしていたら…なんか近くから甲高い声が聞こえてきた…。


「きゃー!!アシュレイ様頑張ってー!!」

 アンナ・ナイトリー…お前こっち来たんか。いやまあ、他の生徒も大きな声出してるけどさあ(主に男子)…よし放っておこう。
 だが私のそんな考えとは裏腹に、彼女は私の姿を見るやいなや近寄ってきてわざわざ隣に座った。


「アシュリィ様はぁ、応援されないんですか?」

 お前に名前呼び許可した覚えは無いんだけど…


「応援はしているよ。それよりナイトリーさん、相手のファーストネームを呼ぶのは親しい方だけにしなさい。」

「なんでですか?私はそう呼びたいんですっ。」

 あ、そっすか。
 席を移動したいが…立ち上がろうとしたらアシュレイが悲しそうな顔をして…立てねえよ!!
 そんでもって…アシュレイが試合で活躍する度にこっちに「今の見た!?」「すげえだろ!」的な視線を寄越すもんだから、

「きゃー!アシュレイ様かっこいー!!」

 と隣が大騒ぎするのだ…。アシュレイ、あんたの活躍は私よーーーく見ている。だからこっち見ないで…。
 


 結局私は試合終了まで、ナイトリーの声援を特等席で聞かされることになったのだった…。
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