99 / 164
学園
13
しおりを挟むそういえば。この学校って生徒会とか無いのかな?昔…昔か?ここ通ってた時は、学校生活のことなんて最低限しか気にしてなかったわ。
気になったので、寮の談話室に集まったメンバーに聞いてみた。ディードとデメトリアスとティモは不在だ。
「生徒会?学校の運営や改善は先生方の仕事よ。」
ですよね。
「風紀、委員会?学校のそういうのは先生と警備の仕事だよ。」
ですよね!
という訳で、この寄宿学校でそういう展開は期待出来ないようだ。がっくし。
「あ。説明忘れてたけど、この学校は鳳凰会っていう集まりがあるよ。」
「詳しく。」
何それ超面白そう。それがあれ?学園を支配する集団的なアレ?わくわく。
「鳳凰会っつーのは、この学園の…社交の場?専用のサロンで…まあお茶したり…。
そこに入る資格は公爵家以上だから、オレとアルも入ってる。あとは成績優秀者とか、メンバーの紹介で入れる。リリーも入ってるぞ。
アシュリィとディーデリックとデメトリアス殿下も参加資格あるな。」
……それだけ…か…。つまんね。
でもアル達とのんびりお茶できるのはいいかも。
「他のメンバーは?」
そう聞いたら…何故か全員黙ってしまった。何かあんの…?
「僕と…ジェイドでしょ。公爵家は現在レイと2年のアギラール公爵家の双子。
それと各学年成績最優秀者。これは成績によっては毎年入れ替わるね。
それで僕の紹介でリリー。ここにアシュリィとディーデリックとデメトリアスも参加。残念ながら従者は入れないから、三人衆とティモは駄目。
で…少し問題があって…。」
ほうほうほう???ずずいと身を乗り出してアルの話を聞く。
「今年の5年の成績優秀者がスプリングフィールド侯爵家の令嬢なんだが…鳳凰会は、その…彼女に乗っ取られた…。」
「……なんで?」
私と三人衆は頭にハテナを浮かべるばかり。なんだかやつれてるアルとリリーとアシュレイの代わりに、ジェイドが説明してくれた。
「えーと…問題のパメラ・スプリングフィールド嬢。
彼女は去年から鳳凰会に入ったんだけど…美しさ至上主義で、入った途端に自分の取り…友人達も大量に入会させたんだ。
それだけでも…「鳳凰会の気品と威厳が損なわれる」って言ってアギラールの双子は一切サロンに来ない。
更にその取り巻…友人ってのが皆似たような容姿の令嬢ばっかりで。「それなりに美しい方のみ、この鳳凰会への参加を許可致しますわ」と言ってリリーナラリス嬢も追い出そうとして…。」
おおう…なんでリリー駄目なの?と言ったらララが「多分自分より美しい方は駄目なのでは?」と言った。納得。
「もちろんそんな権限彼女には無いけど…彼女を窘める者がいなくて。」
「アルは?ジェイドは??」
何しとんねんお前ら。王子だろコラ。
「いやー、僕はそんなに鳳凰会に参加したい訳じゃないし、面倒だし。こっちから近付かなければ、サロンで威張ってるだけだし。」
「僕も、正直言って彼女は違反をしている訳じゃ無いから…真正面からぶつかるのは得策じゃない。
リリーナラリス嬢を追い出そうとしてるのだって言葉だけだし。」
なるほど。面倒くさがってるアルと慎重に行動するジェイド。で、アシュレイは?
「オレは…関わりたくないから逃げた。取り巻きも値踏みする目でこっち見てくるし。」
ついに取り巻きっつっちゃったよ。しかしそんな令嬢、興味湧くわ!
リリーに危害を加えないなら放っておいてもいいんだけど。
「で、スプリガン嬢ってどんな人?縦ロール??」
「スプリングフィールドよ。
どんなって…性格は高飛車?外見は…メイクが濃すぎて、元のお顔が分からないのよね…。でも扇で顔を隠すのが好きみたい。」
「へー。そのスプリンクラー嬢って、「オホホホホ!!」とか言っちゃう人?」
「スプリングフィールドね。
よく分かったねー、その通り。「オホホホ」「オッホホホ!」「オーホッホッホッホ!!」の三段活用を使い分けてるよ!」
「スピリッツ嬢ってリリー以外にはどうなの?」
「スプリングフィールドだよ。
アシュレイはさっき自分で言っていたようにさっさと逃げた。僕は…流石に王子だし、出て行けとは言われてないよ。まあ彼女が追い出したいのは女性だけみたいだけど…。
問題は兄上だね…。」
「え。もしかしてスプラッシュ嬢ってアル狙い?」
「スプリングフィールドって言ってんだろ!
まあそうだな。リリーのこと蹴落として、アルの婚約者の座を狙ってるみたいなんだよな…。」
へー!!やっぱ潰しとこう。
「何か今物騒なこと考えましたね?」
チ。バレたか。
しかし鳳凰会ねえ。確かに参加する必要ないよね。こうやって別の場所で集まればいいんだしい。残念ながらこの場に「学園の伝統がうんたら」言う奴はいないようだ。
……ん?んん?
「ねえ、春場所令嬢も…同じアスル寮だよね?私、見かけたこと無いと思うんだけど。」
「ついにかすりもしなくなったな。向こうがお前を避けてるだけだ。」
「なんで?」
「うーん…それは本人に聞いてみないとね。」
なんでなんで??
しかし誰も明確な答えはくれなかった。まあ顔合わせしたらそん時また考えよっと。
その後もいつも通りのんびり過ごしていたら、ディードが戻ってきた。デメトリアスは?
「ああ、途中から不機嫌になってな…一応最後までやったが、もう部屋に戻った。」
「不機嫌…?」
「あ、オレの時もだ。やっぱり邪魔されたくないのかな…?」
へー…。最初はともかく最近は打ち解けてきたと思ったんだけどな…?
0
お気に入りに追加
3,550
あなたにおすすめの小説
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
亡くなった王太子妃
沙耶
恋愛
王妃の茶会で毒を盛られてしまった王太子妃。
侍女の証言、王太子妃の親友、溺愛していた妹。
王太子妃を愛していた王太子が、全てを気付いた時にはもう遅かった。
なぜなら彼女は死んでしまったのだから。
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる