私の可愛い悪役令嬢様

雨野

文字の大きさ
上 下
97 / 164
学園

11

しおりを挟む


 なんだか全然、上手くいかないなあ。

 おかしくない?私は特別なのにい…。



 だって平民として地味に暮らしていた娘が実は貴族の娘で、ある日父親が迎えに来て貴族の仲間入りって…まるで物語みたいじゃない!
 でも男爵家ねー…公爵家とか王族が良かったけど。確か今王女様っていないはずだから、急に現れた私に国民も王子様達も夢中になっちゃうの!でもまあこれはこれでいいわ。

 うふふ、確かそんなお話もあったわよね。地位の低い女の子が、高位の人達をメロメロにしちゃうお話!


 王子様やお貴族様はー、いっつも周りが自分に対して一線引いているのが嫌なのよね。
 地位とかお金とか顔とか抜きにして、本当の自分自身を見てくれる…そんな女の子を待っているのよ!
 その役目は私にこそ相応しいよね?貴族のお嬢様みたいにケバケバでハデハデじゃないし、素朴で癒されるってパパも言ってたし!
 
 でも実際そうよね、同じ人間なのに、地位が違うから話も出来ないっておかしいわよね。
 しかも名前で呼ぶことも駄目なんて、変よね。仲良くしたいんだから名前で呼びたいのよ、間違ってないわよね。


 パパに寄宿学校の話を聞いた時は、すぐに編入を決めたわ!王子様もいるっていうし。いつも周りに群がってる令嬢とは毛色の違う私に興味を持って、そこからメロメロになっちゃうのがよくある展開よね。
 婚約者?関係無いわ。パパは私が学園に通うことを渋っていたけど…何がそんなに心配なの?
 帰ってくる頃には私は高位貴族の夫人、それか王子妃になってるのに。パパも鼻が高いでしょ?



 そしてパーティー会場で、早速見つけちゃった!

 隣国の皇子様と、次期魔王の男性!魔王妃も素敵ね~。
(※次期候補としか言ってません)
 
 なのに従者ごときが邪魔してきたわ。ふうん、中々格好良い男の子ね…もしも王子様達がダメだった場合、キープしておこうかしら?でもお金無さそうだし、ちょっとチヤホヤされるだけでいいや。
 それにあの獣憑きの少年、あの子も可愛くて素敵!でも魔族の女と女従者は邪魔。

 大体魔族だからって、何が偉いの?意味分かんない。どうせちょっと力が強いくらいでしょ、それに…何より私より可愛いのが腹立つわ。
 でも着ているドレスは素敵!どこで売ってるのかしら?

 
 色々話したかったのに…新入生に邪魔されたわ!


「何すんのよ!?」

「こちらの台詞ですわ!?」

「殿下方がお優しい方だから助かりましたわ…!」


 ああ…この子達もガチガチの貴族の風習に染まっちゃってるのね。可哀想…。
 皇子様達もいないし…もうここに用は無いわね。

 あーあ、なんで皇子様達と同じ寮じゃないんだろ。つまんないなあ。





 でもやっぱり私はヒロインなのよね!他にも格好良い高位貴族様とお近付きになれちゃったんだから!!



 例えば~アシュレイ様!なんと!彼は私と同じで元々庶民だったんですって!!
 それが才能を見出されて公爵家の養子になったって!すごいわ、顔が良くて才能があって地位もある!旦那様候補の筆頭ね!!

 なのに…彼の側にはいっつもあの魔族の女がいるのよ!なんで!?そこは私の場所よ!!
 彼の隣で笑うのは私なのに…!しかもアシュレイ様、私には無表情しか向けてくれないのに、あの女の前ではいっつも笑ってるのよ!!

 …なーんて、ふふ!私には分かるわ、あれは愛想笑いね。
 武に特化した家ほど魔族を崇拝してるって聞いたから、きっと家の事情で魔族に逆らえないのね…大丈夫、私がいつか救ってみせるわ!



 それと~、アルバート様!弟のジェイド様も素敵だけど、アルバート様の方が私のタイプなのよね。
 まージェイド様は、アルバート様がダメだった場合の保険にしておこうかしら。
 
 なのにー…アルバート様婚約者がいるって!でもどっからどう見ても私の方が良くない?
 あんな女、ちょっとスタイルが良くて美人なだけじゃない!どうせ性格最悪に決まってるわ。
 高飛車で可愛げのない婚約者に愛想が尽きた彼を、私が優しく包んであげるの。最高のシナリオね。
 仲睦まじそうにしてるけど…演技もしなきゃいけないなんて、王子様は大変ね。



 あとディーデリック様!すっごい格好良い…顔だけだったらダントツで彼よね。しかもすっごく強いって言うし、私のことを守って欲しいな!
 でも私魔国に行くのやっぱヤダなー。彼にはうちにお婿に来てもらおっと。
 でも、ディーデリック様の周りにもあの魔族の女がウロチョロしてるのよねー。目障りだけど…今は我慢しなくっちゃ!



 それにデメトリアス様。強引な俺様って良いわね~。私は追いかけるより追いかけられたいのよね~。
 でも彼、自分の従者以外寄せ付けないのよね。でも偶然、秘密の特訓見ちゃった!!私も仲間に入れてもらって、毎日一緒に過ごすうちに2人の間に愛が芽生えるのよね…完璧だわ。
 なのに、失敗しちゃった…あの女のせいで…!
 しかもそれ以降、特訓場所変えちゃったみたいなのよね。どこ探してもいないわ、はあ…。



 あと、侯爵家のヨハネス様。ちょっと地味だけどよく見ると美形!魔法もそこそこ出来るし、いいわよね。
 チョロチョロしてる妹が邪魔だけどお…妹じゃ仕方ないわ。私が侯爵夫人になったら適当な家に嫁がせればいいし。

 あと…ランス様。伯爵家なんかじゃ物足りないけどお…格好良い上に実家が服飾系の人気のベンガルド社なのよね!
 奥さんになったら毎日素敵なドレスを沢山着れるわ、最高ね!


 他にも何人かいるけど、目立ったところじゃこのくらいかしら?
 そういえば剣術のトレイシー先生、大人の魅力が素敵…!でも庶民なのよねー、残念。…ちょっとくらい遊んでくれないかしら?



 ふふふ、誰を選んでも私の未来は薔薇色ね!
 第一候補はアシュレイ様、次にディーデリック様ってところかしら。


 今はまだまだ知り合いレベルだけどお…これからよね!恋の障害になる女達も、いずれ軽く乗り越えちゃうんだから!

 さーて、今日は誰のところに行こうかな?今日もこの市販のクッキーをラッピングし直して、手作りって言って渡そっと。
 まだ受け取ってもらえてないけど、本当は受け取りたいのに周りの女どもが邪魔してるのよねー。



 うふふ、うふふふふ!


 貧乏な平民生活からおさらばして、お嬢様にはなったけど…もっともっと上を目指さないと!
 綺麗なドレスにアクセサリー、そしてお金!ついでに素敵な旦那様!!



 今日も、頑張っていくわよ!











「お前男性を地位と金と顔しか見てねえ筆頭じゃねーか!!!」byアシュリィ




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

結婚相手の幼馴染に散々馬鹿にされたので離婚してもいいですか?

ヘロディア
恋愛
とある王国の王子様と結婚した主人公。 そこには、王子様の幼馴染を名乗る女性がいた。 彼女に追い詰められていく主人公。 果たしてその生活に耐えられるのだろうか。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

王太子の子を孕まされてました

杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。 ※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。

【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。

三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。 それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。 頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。 短編恋愛になってます。

処理中です...