69 / 164
幼少期
66
しおりを挟む啖呵を切ったはいいものの、月光の雫以外で攻撃することは避けたい!!リンベルドの耐久性は人間並み、魔族じゃかすり傷でも人間には致命傷になりかねない!今の脆弱な身体から抜け出す為に喜んで攻撃を受けようとするだろうし、それよりもっと避けたいのが自傷行為!!
「ルーデン、ガイラードは彼を魔法で抑えて!!指一本動かせないよう徹底的に!絶対に殺すな!!」
「「はい!!」」
「ドロシーは回復!彼から目を離すな!!たとえ舌を噛もうとも、即座に治して!」
「はい!」
彼らにそう指示し、ひとまずの時間稼ぎだ。多分レベルはリンベルドの方が上だろうから眠らせらんないし…そもそも効果短いし。しっかし、よく初対面の子供の言う事聞いてくれるなあ。赤目と魔王クリソツの顔面効果抜群だね!お父様とアンリエッタが自分はどうする?と聞いてきたので、屋敷の探索をお願いした。
…多分、あの屋敷には使用人がいるはず。復活の魔法には生贄が必要だから。生存しているかどうかは五分五分といったところかな。その人の生命力によるから…。…クソ腹立つ使用人達だったけど、殺したい訳じゃ無かったし…操られていたからな。出来る限り救助しよう。
そして問題の月光の雫だが…リュウオウに持たせたままだった!!証拠品だからと思って団長に渡したら、なんかボロいし持ってていいぞって言うから!
斬れ味が悪いとはいえ抜身のまま持ち歩くのもなーと思い、伯爵邸に着くまではとりあえずリュウオウに渡しといたんだった…!一旦精霊界に返せばすぐここに呼べるけど…持ち物は現世に残るんだよな…!!
クックル、ガンマに通信!!
「…出ない!!じゃあデルタ!!」
〈…はい、ヒューです。〉
「出た!アシュリィですが、アシュレイは何処に!?」
〈先程ジュリアを置いて、リュウオウに乗り飛び立ちました。その…殿下とリリーナラリス嬢と、私も…。〉
…はい?なんで?
〈殿下方は目を覚まし、貴女のもとに行くと言うアシュレイに無理やりくっ付いて…私もお供しています。〉
あ、目え覚ましたんだ。良かった…多分影響は最初だけだったんだろうね。…じゃなくて、なんで!?
〈お止めしたのですが…殿下に魔法を使われては私では手に負えず…。せめてと思い同行しています。通信ですが、アシュレイと殿下とリリーナラリス嬢は今興奮状態で…それどころではなく。〉
ぐうううう…!!そうだ、ヒュー様は剣の腕では王国一とも呼ばれるほどだが魔法はからきしなんだよな。相手が殿下じゃなければ魔法を使われる前に斬り伏せることも出来るが…もう!
来るもんはしょうがない、結界の中に入らなければ安全でしょう。それより問題は!月光の雫!私達魔族にとって魔族殺しのあの剣は天敵だから、魔族が使い手に選ばれることは無い。だからランス様かミーナ様、他に過去選ばれた人のところに自動で飛んでいくはずだ!それを追いかけてもらえば…!
〈ボロい剣…?あの白銀に輝く宝剣ですか?アシュレイが所持しています。〉
…………は????
「え………あの、光ってます??」
〈ええ、アシュレイが触れた途端に輝き始めました。と言うより剣がふよふよとアシュレイに近付いて…まあそれで3名が興奮してはしゃいでいるのですが…。〉
…………へえ。
………使い手いたーーー!!!??
あれは正統な持ち主が触れていないと輝かないはず!アシュレイ選ばれよった!!っしゃああい!!運が向いてきたーーー!!
アシュレイなら剣に慣れてるし、リンベルドの器は最強のお父様じゃなくてか弱いレイチェル様だし!絶対勝つ!!
ヒュー様に、リュウオウに最速で向かうよう言ってもらい通信を切る。よし、よし!いい流れだ。使い手を探す手間が省けた。
リンベルドは今の会話を聞いていたのだろうが、特に脅威には考えていないようだ。まあ、彼は月光の雫なんて知らないし…。だがこちらに策があると考えているようで、抵抗が激しくなっている。3人の連携の前に身動きがとれずにいるが。
しかし…流れ良すぎる気が。私の数千年に及ぶ努力は一体…?
【その努力の結果だよ。さあ、自分と仲間を信じて、行きなさい。】
……?何か聞こえたような。気のせいか。
リュウオウが着くまでまだ時間がある。今のうちに私も探索に行こう。私としてはやはり地下が怪しい。早速…って、上が騒がしい?
「あっはっはっは!!やだー、変なドレス!こんなのが流行ってるのかしら…?この国の人間に生まれなくて良かったわー。」
真面目にやってアンリエッタ!!気持ちは分かるが、それ(ゴテゴテピンク)は標準じゃないから変な知識に加えないでね!
「うーん、これはアシュリィには似合わないなー。こっちの」
真面目にやれっつってんだろうがっ!!?屋敷の外じゃ部下が命懸けで戦っとるというのに何やってんだこの魔王!!彼らを信じているからなんだろうけど、もうちょい威厳見せて!
それぞれ拳骨を落として私は探索に戻る。…ここはキリエ様(次男)の部屋か。がさごそ…お、エロ本発見、男の子よの~。
「こ、こらー!アシュリィにはまだ早いよ!」
取り上げられた。…こんなんやってる場合じゃねえ!私達は片っ端からドアを開けて行くが、やはり誰もいない。ここは2人に任せて、私は地下に…その前に。
「ねえお父様。さっき私がガイラード達に指示出してた時…なんで何も言わなかったの?あれは本来お父様の役目でしょう。」
「んー?それは君が一番分かってるでしょう?…落ち着いたら、全部話してね。」
…バレてる。なんか隠してることがバレバレだ。それでもお父様にとっちゃ私は初対面なのに…よくもそこまで信用してくれるよ。
…うん。全部話すよ。お嬢様達には言えないが、魔族の皆ならいいでしょ。そして…今度こそ親子として良い関係を築きたいな。
「ここに誰か倒れてますよー!血塗れの女の子ー!」
…っと!?女の子…アイニーか!アンリエッタの声は、侯爵の書斎?…っ頭を割られてる…散らばっている破片からして、花瓶?
なんで…?侯爵が禁術を使う時、いつも子供達は…姉妹は寄宿学校にいたか。兄弟は生贄に使われて…でも若いおかげか死にはしなくて。ただこの怪我を見るに、生贄じゃないな?誰かに、殺されただけ…。アイニー…腹は立つし大嫌いだけど…せめて安らかに
「う…。」
「「「生きてる!!?」」」
すげえ生命力!!サスペンスに向かないね、急げば間に合うぞこれ!えーと…。
「完全回復」
言霊考えんの面倒になってきたわ。私オタクだったから格好つけてたの…?
…もう、日本語使うのやめよう。私はアシュリィ=ヴィスカレット=ウラオノス。神宮寺有朱じゃない。日本も大切な故郷だけど…もう、私の世界はここだから。
っと、それよりアイニーは。ほっ…呼吸も安定している。流石にこの状態の女の子を放置出来るほど非道にゃなれん。仕方ない…どこか安全な場所は、と。
「……ぇ…?」
あ、目え覚ましそう。喧しいから眠らせておこうかな…?
だがぱっちり開いた彼女の目が合う。あー、なんて説明しよう。そもそも今の体勢、私は片膝をついて立ってる方の足と腕で彼女を支えている、つまり結構密着している状態だ。
「何しているの、離れなさい!!」くらい言われそー。…と思っていたのだが、彼女はとろんとした目で徐々に顔を赤らめていき…
「……わたくしの…王子さま…?」
………………それはミーのことデスカ?????
0
お気に入りに追加
3,548
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界に来ちゃったよ!?
いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。
しかし、現在森の中。
「とにきゃく、こころこぉ?」
から始まる異世界ストーリー 。
主人公は可愛いです!
もふもふだってあります!!
語彙力は………………無いかもしれない…。
とにかく、異世界ファンタジー開幕です!
※不定期投稿です…本当に。
※誤字・脱字があればお知らせ下さい
(※印は鬱表現ありです)
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

婚約解消は君の方から
みなせ
恋愛
私、リオンは“真実の愛”を見つけてしまった。
しかし、私には産まれた時からの婚約者・ミアがいる。
私が愛するカレンに嫌がらせをするミアに、
嫌がらせをやめるよう呼び出したのに……
どうしてこうなったんだろう?
2020.2.17より、カレンの話を始めました。
小説家になろうさんにも掲載しています。

婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでのこと。
……やっぱり、ダメだったんだ。
周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中
※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。
※諸事情により3月いっぱいまで更新停止中です。すみません。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる