上 下
221 / 294
第15章 どうやら全面戦争が始まるようです。(開戦)

生徒会フォーエバー

しおりを挟む
 商店街に着いた山上は、側にあったゴミ箱の裏に屈んで隠れる。
しばらく、ゴミ箱の裏に隠れていたのだが、彼を追いかけてくる足音も声も聞こえてこない。
もしかして、撒いたのだろうか?

「ふ~あぶねぇ。俺は相談にのってあげれる程のアイディアなんて浮かばないのにな~」

相談事なんて頭のいい真丸にでも聞いておけばいいのだ。
彼がホッと安心してゴミ箱から出ていこうとした時、

「ゴミ箱の側に猫でもいると思ったら、やっぱりただのゴミだったか」

…と山上をゴミでも見るような目で見下してくる視線。
方言ではないため、紅葉ではない。
しゃがんだ山上が恐る恐るゴミ箱の側から見上げると、
そこにいたのは飲食店の制服を着た八剣であった。



 久しぶりに登場する八剣。
彼女は山上と同じ国市高等学校に通っている生徒会書記であり、『王レベル生徒会』のメンバーの1人です。
同じ王レベルの大楠さんとは仲良しの蛇口の付喪人であります。
ちなみに山上とは犬猿の仲です。

「よッ!!
久しぶりだな八剣」

「よッ…じゃないです。何してるんですか?」

「いや、ちょっと依頼先でいろいろとあってな。今は些細なことで仲間に追われてる」

「ふーん。で?どうだったんです任務は?」

「捜索対象の占い師かその子供は行方不明のまま、あの魔王幹部の殺人鬼との戦闘。家族の仇は取ったがその後に決定事項失敗で対象者を見逃し、仲間からはアドバイスを依頼されて逃げ回ってた」

今回の任務の結果を正確に伝える。
仲間同士での情報のホウレンソウは大事なのだ。
いや、山上にはソウはいらない。
とにかく、言い方はどうであれ山上は八剣に伝えた。
すると、彼の説明で理解したのか、八剣が彼が言うことを自分なりにまとめてみる。

「なるほど、つまり副会長は国家転覆罪で死刑ってわけですね?」

違う。

「う~ん、ほとんど間違ってて殺意しか感じないが…………。それよりお前なにしてんだ?」

山上は八剣の殺意には気づかないフリをして彼女がなぜこんな飲食店の制服を着ているのかを問いただす。
すると、八剣は自分の制服を山上に見せつけながら言う。

「何って。副会長がいない間にツピキクドリンク店を開いたんだ」

「へぇードリンク店ねぇ。そりゃ………ハァ!?
お前ら店やってるの?」

初耳である。
山上がいない間にそんなことになっていたとは、彼は何も聞かされていなかった。

「ああ、文化委員長のうちが飲食店らしく、生徒会長が宣伝したツピキクドリンクが大ヒット。お客さんの長蛇の列でお店は大儲け。ついでに私らもバイトで大儲け」

「お前ら、俺が死ぬ気で任務遂行してた時にドリンク店って………嘘だろ?」

仲間との壁。
自分だけ知らされていないとなんだか嫌われているんじゃないかと勘違いしてしまう。



 その時、彼らに近づく1人の男。
情けなくもあり頼りやすいような声で彼は山上達がたむろっている所に声をかけてきた。

「おーい八剣、そろそろ帰るぞ……って山上じゃないか!!   ひさしぶりだな」

山上にもその声は聞き覚えがある。
彼は振り向き、仲間はずれにされた事で助けを求めるように返事をした。

「その声は生徒会長の大台ケ原。なぁ…聞いてくれよ俺がいない間にこいつら………」

口が閉じる。
大台ケ原も聞かされていないと信じた山上がバカだったのだ。
大台ケ原の飲食店制服を夕焼けが優しく照らしている。

「おう?  どうした?  
命の恩人に自分だけ借りを返し、まだ借りを返せていない紅葉に何かいいアイディアを求められたが、返事ができずに逃げてきたような顔だな?」

「当たってるよ!!  バ会長なのに当たってるのがムカつくなァァ」

「おいおい、拗ねるなよ。お店のこと教えなかったのは悪かった。帰りに3人でラーメンでも食いに行こうぜ」

彼らは本当に生徒会副会長には何も誘わずに飲食店でバイトしていた。
正直、ガッカリする山上だったが

「───てか、お前らそんな呑気でいいのかよ!?   戦争だぞ戦争」

「はい、知ってますよ?
カチコミに来るんですよね?」

別に戦争については問題でもないかのように答える八剣。
これは頼もしい。
生徒会書記は働いていたとしても、きちんとこの戦争のことを考えていたのだ。
きっと、生徒会長も今後の話をするために場所を変えてラーメン屋で会議でもするつもりなのだろう。
まぁ…ラーメン屋でなくてもいいとは思うが、バ会長にしては考えている。

これなら話は早い、さっそく王レベルとしての生徒会の今後を話し合うためにも……。

「えっ、戦争始まるの!?」

バ会長はバ会長であった。



 「~で、~してきたんです」

ただいま、八剣は大台ケ原に魔王軍からの宣戦布告について説明を行っている。
その間に山上は携帯で紅葉宛のメールを打ち込んでいた。
悪いが相談ごとは他を当たってくれ…というメッセージを打ち込むと、彼女宛に送信。
これで彼女からアドバイスを求められる心配もなくなる。
ホッと一息ついた後、山上がふと2人の様子を伺ってみる。

「どうです?  分かりましたか?」

「ああ、しっかりきっかり完璧に理解したぜ」

生徒会長のふざけたような返事が気になるが、どうやら説明は終わったらしい。

「しかし、戦争か。もう向こうの要求に従った方が早くない?」

「「ッ!?」」

「だって、あちらさんは獲得候補者って奴を求めてるんだよ?  そいつを突き出せば血も流さない。平和的交渉じゃないですか?」

「それはそうだが………」

数人を見捨てれば数万人を救う。
八剣の言うことは正しい。
だが、山上はその意見に賛成することができない。
返答に悩む山上の代わりに大台ケ原が返答する。

「その話はやめてやれ八剣。お前の言うことは正しいが、決めるのはここじゃない」

「そうですが。じゃあ生徒会長はどう思っているんですか?」

八剣から大台ケ原への質問。
答えのない自分の考えを答える題材。
大台ケ原はしばらく夕焼けを見ながら考えると、そっと口を開いた。

「確かに俺だって戦いは嫌だよ。でも、人間ってのは必ず小さな事でも争う生き物だ。人との差を比べたがる。頂点……上に立ちたがる。
みんな自分の存在理由を証明したがっている。
みんな小さくても自分の価値がほしいんだ。
じゃなきゃ自分がいる意味がない。そう思う人が多い。
だが、人間は上に行く度に下にも目は行かなくなる。
そこで上だけを見るか下も見るかで印象は変わる。幸せは変わる。
上だけを見てたらいつか下に驚かされる。下克上ってやつだ」

その発言は上を求める八剣の心に深く響く。
姉が死ぬことで上に立てた彼女の心を少し動揺させたが、彼女は冷静を装い大台ケ原の説明を聞いていた。

「───つまり、“魔王軍に勝つ”という“上”にも、“鍵の獲得候補者を見捨てない”という“下”にも対処しなければならないと?」

「そう、勝利するなら全て上も下も対処する方法だ」

八剣の質問に大台ケ原はうなずき、山上が付け加えて今まで悩んでいた自分の意見を答える。

「なぁ、これは俺の意見だが……。みんなのために死ぬなんてかわいそうだ。まるで死ぬことが仕方がないことみたいに……。こういうのは答えが見つかる問題じゃないよ。トロッコ問題ってやつだ」

「いいこと言うな~。なら、俺は傲慢かもしれないが皆が幸せな結果になることを祈る。俺たちは絶対生還する」

大台ケ原の考えを聞いた八剣は少し顔を俯かせる。

「みんなで生還できるでしょうか。可能性低いですよ」

「不安になるのは分かるが、夢は大きく志も大きくだろ?
初めから全滅を考えて行動するわけにはいかない。目標はハッピーエンドだぜ」

大台ケ原は何も不安などないような笑顔で八剣に返事をする。

「まったく、何事も楽観的に考えるんだから」

そんな彼の楽観的な発言に頭を抱える山上。
そんな山上を見て頭を抱えている理由が自分だと理解していない生徒会長は、八剣と山上の肩に手を当てて肩を組む。

「よし、それじゃあ、そろそろこの話題は終わり。ラーメン食いにいこうぜ!!!」

この人は最初からまったく変わっていない。
まるで、先程の台詞が嘘のようだ。
八剣はそんな変わらない男の名前を口に出す。

「──生徒会長」

「ん?  どうした八剣」

山上は八剣から呼ばれた事で彼女の目を見る。

「今日は3人で行ってあげますが、次行くときはみんなで行きましょうね」

肩に組んでいた手を外し、その手で彼は親指を立ててサムズアップを行いながら彼女に返事をする。

「当たり前だ。次は生徒会で宴会でも開いて楽しくバカやろうな。約束だぞ?八剣、山上」

爽やかな笑顔と共に彼は言葉を発したのだが、その言葉について山上がツッコミをいれた。

「ああ、ただし店に迷惑かけない程度だがな」

このようにして、3人で横並びに夕焼けの中を歩く生徒たち。
彼らがこれからどうなるかは彼らは分からない。
ラーメン屋に向かって歩く少年たちの笑顔が消えてしまう日が来るかもしれない。
ただ、今はこの幸せを噛みしめ、ラーメンを噛みしめるのを楽しみに待つ。
彼らは約束したのだ。
今度はみんなでラーメンを食べようと……。
彼らの生還する理由はそれでも充分。
これから何が起きようと、生徒会は残り続けるだろう。
いつも通り、夕日は優しく3人の影を地面に写していた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】失くし物屋の付喪神たち 京都に集う「物」の想い

ヲダツバサ
キャラ文芸
「これは、私達だけの秘密ね」 京都の料亭を継ぐ予定の兄を支えるため、召使いのように尽くしていた少女、こがね。 兄や家族にこき使われ、言いなりになって働く毎日だった。 しかし、青年の姿をした日本刀の付喪神「美雲丸」との出会いで全てが変わり始める。 女の子の姿をした招き猫の付喪神。 京都弁で喋る深鍋の付喪神。 神秘的な女性の姿をした提灯の付喪神。 彼らと、失くし物と持ち主を合わせるための店「失くし物屋」を通して、こがねは大切なものを見つける。 ●不安や恐怖で思っている事をハッキリ言えない女の子が成長していく物語です。 ●自分の持ち物にも付喪神が宿っているのかも…と想像しながら楽しんでください。 2024.03.12 完結しました。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

麗紗ちゃんは最狂メンヘラ

吉野かぼす
ファンタジー
現代から少し先の未来。 『特色者』という異能力者が忽然と現れていた。 その中の一人、平均的な能力の特色者である女子高生弥栄琥珀は、ある日同じ高校の女の後輩、桜月麗紗をその能力で助ける。 すると琥珀はなぜか麗紗に性別の壁を超えて惚れられた。そこまでは良かった。 ……が、大問題があった! なんと麗紗はとんでもないメンヘラであった上、反則的に強力な能力を隠し持っていたのである! 一方的に愛され、出会って一週間も経たずに監禁されてしまう琥珀。 絶望的な状況の中で、琥珀はどう動くのか……! この小説は小説になろうにも投稿しています。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

〈本編完結〉ふざけんな!と最後まで読まずに投げ捨てた小説の世界に転生してしまった〜旦那様、あなたは私の夫ではありません

詩海猫
ファンタジー
こちらはリハビリ兼ねた思いつき短編として出来るだけ端折って早々に完結予定でしたが、予想外に多くの方に読んでいただき、書いてるうちにエピソードも増えてしまった為長編に変更致しましたm(_ _)m ヒロ回だけだと煮詰まってしまう事もあるので、気軽に突っ込みつつ楽しんでいただけたら嬉しいです💦 *主人公視点完結致しました。 *他者視点準備中です。 *思いがけず沢山の感想をいただき、返信が滞っております。随時させていただく予定ですが、返信のしようがないコメント/ご指摘等にはお礼のみとさせていただきます。 *・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・* 顔をあげると、目の前にラピスラズリの髪の色と瞳をした白人男性がいた。 周囲を見まわせばここは教会のようで、大勢の人間がこちらに注目している。 見たくなかったけど自分の手にはブーケがあるし、着ているものはウエディングドレスっぽい。 脳内??が多過ぎて固まって動かない私に美形が語りかける。 「マリーローズ?」 そう呼ばれた途端、一気に脳内に情報が拡散した。 目の前の男は王女の護衛騎士、基本既婚者でまとめられている護衛騎士に、なぜ彼が入っていたかと言うと以前王女が誘拐された時、救出したのが彼だったから。 だが、外国の王族との縁談の話が上がった時に独身のしかも若い騎士がついているのはまずいと言う話になり、王命で婚約者となったのが伯爵家のマリーローズである___思い出した。 日本で私は社畜だった。 暗黒な日々の中、私の唯一の楽しみだったのは、ロマンス小説。 あらかた読み尽くしたところで、友達から勧められたのがこの『ロゼの幸福』。 「ふざけんな___!!!」 と最後まで読むことなく投げ出した、私が前世の人生最後に読んだ小説の中に、私は転生してしまった。

工芸職人《クラフトマン》はセカンドライフを謳歌する

鈴木竜一
ファンタジー
旧題:工芸職人《クラフトマン》はセカンドライフを謳歌する~ブラック商会をクビになったので独立したら、なぜか超一流の常連さんたちが集まってきました~ 【お知らせ】 このたび、本作の書籍化が正式に決定いたしました。 発売は今月(6月)下旬! 詳細は近況ボードにて!  超絶ブラックな労働環境のバーネット商会に所属する工芸職人《クラフトマン》のウィルムは、過労死寸前のところで日本の社畜リーマンだった前世の記憶がよみがえる。その直後、ウィルムは商会の代表からクビを宣告され、石や木片という簡単な素材から付与効果付きの武器やアイテムを生みだせる彼のクラフトスキルを頼りにしてくれる常連の顧客(各分野における超一流たち)のすべてをバカ息子であるラストンに引き継がせると言いだした。どうせ逆らったところで無駄だと悟ったウィルムは、退職金代わりに隠し持っていた激レアアイテムを持ちだし、常連客たちへ退職報告と引き継ぎの挨拶を済ませてから、自由気ままに生きようと隣国であるメルキス王国へと旅立つ。  ウィルムはこれまでのコネクションを駆使し、田舎にある森の中で工房を開くと、そこで畑を耕したり、家畜を飼育したり、川で釣りをしたり、時には町へ行ってクラフトスキルを使って作ったアイテムを売ったりして静かに暮らそうと計画していたのだ。  一方、ウィルムの常連客たちは突然の退職が代表の私情で行われたことと、その後の不誠実な対応、さらには後任であるラストンの無能さに激怒。大貴族、Sランク冒険者パーティーのリーダー、秘境に暮らす希少獣人族集落の長、世界的に有名な鍛冶職人――などなど、有力な顧客はすべて商会との契約を打ち切り、ウィルムをサポートするため次々と森にある彼の工房へと集結する。やがて、そこには多くの人々が移住し、最強クラスの有名人たちが集う村が完成していったのだった。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」  テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。  この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。  誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。  しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。  その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。  だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。 「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」 「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」  これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語 2月28日HOTランキング9位! 3月1日HOTランキング6位! 本当にありがとうございます!

処理中です...