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第13章 どうやら犯人は八虐の不道のようです。
A heart that never gives up.
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2体のスポンジマンが救援に来てから数分後。
2人の王レベルと2体のスポンジマンとの戦いは終結していた。
2体のスポンジマンによって築かれた2人の王レベルの丘。
かろうじて息はしているが、血に染まった制服と、血に染まった看守服が戦いの状況を静かに語っている。
さすがの紅葉や山上も1体が限界だったのだろう。
一瞬のうちに犯人によって逆転されてしまったのだ。
「──これで静かになる。やっと安心した幸せな生活を送ることができるよ。
そうだな。君たちには礼を言わなければならない。ありがと、これで私のスポンジマンは更に強くなった。
それと喜んでくれ。もう君達を殺そうとは思わなくなった。
なんだか興味がなくなっちゃったんだ。
もし殺すつもりなら、君達に出会った瞬間から空気に仕込ませて殺していたんだけどね」
「てめぇ………」
山上は辛そうに犯人の顔を見上げながら呟く。
「─それにこの姿がバレても問題ない。最悪、別の人生を始めればいいからね。
何かしら、あのカフェと関係を持てばいいんだ。
客としてや配達員としてやバイトとしてね。はぁ、この姿も今日が最後かな。なんだか少しショックだよ」
犯人は地面に這いつくばった2人に背を向けて彼らに話しかけていたのだが……。
彼は急に態度を変えたかと思うと、山上の腹に蹴りを入れ始める。
「だけど、これから君達をボコボコにしなきゃ。
じゃなきゃ。このイライラが治まらない!!
私も今の君達みたいに生死をさまよったんだからね!!」
犯人は怒りを露にして、山上の腹を蹴り続ける。
全力の力を込めて、山上に蹴りを入れていく。
「ウグァアッ!?」
何度も何度も蹴りを入れられる山上は痛みに耐えながら苦しんでいる。
「おらおら、どうしたんだい?
まだまだ私の堪忍袋の緒は切れたままなんだよォォ!!!
泣けよ。早く泣くんだよォォォォ!!!」
何発も何発も山上の腹に蹴りを入れる犯人。
「…………………ッ」
すると、山上は小さな小さな声で何かを呟く。
何かの謝罪の言葉だろうか。
それとも遺言だろうか。
犯人はその彼の言葉が気になったようで、
「なんだって?
聞こえないな~。もう少し大きな声で喋れよ。やれやれ、しょうがないな」
犯人は山上が遺言のように呟く言葉を聞くために、しゃがみこんで山上の体に耳を澄ませてみる。
すると、聞こえてきたのは……。
「──俺たちの勝ちだ……って言ったんだぜ」
山上はそう言うと、犯人の胸ぐらを掴む。
その行動に何かを察した犯人。
逃げようと動く犯人であったが、山上の腕の力が強くて逃げ出すことができない。
「スポンジマン達!!
この2人を殺せ!!!!」
しかし、犯人が命令した時には既に遅かった。
紅葉は犯人の注意が山上に向いている間に、折紙の能力で刃物を作り出していた。
その刃物を紅葉は犯人に向かって投げ飛ばしてきたのだ。
次の瞬間、背中に走る痛み。
「ウギャァァァァァ!!!!」
犯人の背中に刃物が突き刺さっている。
その刃物によって刺された傷痕から大量の血が流れ落ちている。
背中には刃物傷。
正面にはポツポツと空いた傷穴。
その痛みは想像を絶するほどのものであろう。
「これは……ウグッ……こんなことが起こるはずがない。ここまで追い詰められるなんて事があるわけが…………ない」
犯人の感情はようやく焦りを感じ始める。
このままでは負けてしまうと心の底から恐怖し始めているのだ。
「ふふっ…………」
そんな犯人の姿を見て、倒れたままの山上は安心した表情を浮かべて笑っていた。
2人の王レベルと2体のスポンジマンとの戦いは終結していた。
2体のスポンジマンによって築かれた2人の王レベルの丘。
かろうじて息はしているが、血に染まった制服と、血に染まった看守服が戦いの状況を静かに語っている。
さすがの紅葉や山上も1体が限界だったのだろう。
一瞬のうちに犯人によって逆転されてしまったのだ。
「──これで静かになる。やっと安心した幸せな生活を送ることができるよ。
そうだな。君たちには礼を言わなければならない。ありがと、これで私のスポンジマンは更に強くなった。
それと喜んでくれ。もう君達を殺そうとは思わなくなった。
なんだか興味がなくなっちゃったんだ。
もし殺すつもりなら、君達に出会った瞬間から空気に仕込ませて殺していたんだけどね」
「てめぇ………」
山上は辛そうに犯人の顔を見上げながら呟く。
「─それにこの姿がバレても問題ない。最悪、別の人生を始めればいいからね。
何かしら、あのカフェと関係を持てばいいんだ。
客としてや配達員としてやバイトとしてね。はぁ、この姿も今日が最後かな。なんだか少しショックだよ」
犯人は地面に這いつくばった2人に背を向けて彼らに話しかけていたのだが……。
彼は急に態度を変えたかと思うと、山上の腹に蹴りを入れ始める。
「だけど、これから君達をボコボコにしなきゃ。
じゃなきゃ。このイライラが治まらない!!
私も今の君達みたいに生死をさまよったんだからね!!」
犯人は怒りを露にして、山上の腹を蹴り続ける。
全力の力を込めて、山上に蹴りを入れていく。
「ウグァアッ!?」
何度も何度も蹴りを入れられる山上は痛みに耐えながら苦しんでいる。
「おらおら、どうしたんだい?
まだまだ私の堪忍袋の緒は切れたままなんだよォォ!!!
泣けよ。早く泣くんだよォォォォ!!!」
何発も何発も山上の腹に蹴りを入れる犯人。
「…………………ッ」
すると、山上は小さな小さな声で何かを呟く。
何かの謝罪の言葉だろうか。
それとも遺言だろうか。
犯人はその彼の言葉が気になったようで、
「なんだって?
聞こえないな~。もう少し大きな声で喋れよ。やれやれ、しょうがないな」
犯人は山上が遺言のように呟く言葉を聞くために、しゃがみこんで山上の体に耳を澄ませてみる。
すると、聞こえてきたのは……。
「──俺たちの勝ちだ……って言ったんだぜ」
山上はそう言うと、犯人の胸ぐらを掴む。
その行動に何かを察した犯人。
逃げようと動く犯人であったが、山上の腕の力が強くて逃げ出すことができない。
「スポンジマン達!!
この2人を殺せ!!!!」
しかし、犯人が命令した時には既に遅かった。
紅葉は犯人の注意が山上に向いている間に、折紙の能力で刃物を作り出していた。
その刃物を紅葉は犯人に向かって投げ飛ばしてきたのだ。
次の瞬間、背中に走る痛み。
「ウギャァァァァァ!!!!」
犯人の背中に刃物が突き刺さっている。
その刃物によって刺された傷痕から大量の血が流れ落ちている。
背中には刃物傷。
正面にはポツポツと空いた傷穴。
その痛みは想像を絶するほどのものであろう。
「これは……ウグッ……こんなことが起こるはずがない。ここまで追い詰められるなんて事があるわけが…………ない」
犯人の感情はようやく焦りを感じ始める。
このままでは負けてしまうと心の底から恐怖し始めているのだ。
「ふふっ…………」
そんな犯人の姿を見て、倒れたままの山上は安心した表情を浮かべて笑っていた。
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