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第11章 どうやら殺人鬼はスポンジマンのようです。

とある男と話題の海へ行こう

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 「ねぇ、そこの美しい君たち。こんにちは~。
あの話題の海に行くんだって?
私も行くつもりだから送っていこうか?」

そう言って二人組にナンパを行ってみると……。

「あらら、私たちにナンパ?」

「ねぇ、電車出ちゃうよ。もう行かない?」

「良いじゃない。こんなイケメンで紳士的な見た目の男性、そう出会うチャンスはないかもよ~。
送ってくれるらしいし……。
それに私には彼氏いるけどあんたにはいないじゃない」

「むっ!?」

どうやら二人組の片方は乗り気になったようだ。
もう一人はしぶしぶ彼女が心配なのか着いてくるようだ。
いわゆるナンパ成功である。
私ははしゃぎそうになるのを必死に堪えて、二人を自分の車へと案内した。



 「得したね~。電車代浮いちゃった」

「確かに海はこの道だし、本当に送ってくれるだけみたいね」

後部座席の二人組がそんな会話を小声でしているのが聞こえてきたのだが、やはりあんな話し方じゃ怪しまれても当然だったか。

「えっと今、評判のあの海、私は行ったことがなくてナビをこうやって使わないといけないんだ。
今日は思いきって行ってみようと考えたんだけど……。
ちょうど君達が困っていたから両手に花ってやつで私はとても嬉しいよ」

私は運転しながら後ろの二人に話しかけた。

「すみません、わざわざ送ってもらって」

「本当に良かった~。あんな満員電車に乗って行きたくなかったもん」

どうやら彼女たちの緊張も少しほぐれてきたようだ。
そこまで喜んでくれるなら、本当に誘って良かったかもしれないな。



 「さぁ、二人ともそろそろ理市に入るよ」

車は国市を抜けて理市へと入った。
このままナビの指示に従って移動すれば、話題の海水浴スポットにたどり着くのだ。
このまま、何事もなくたどり着けばよいが……。

「ん?」

すると、外の景色に集中していた一人の女性の足に何かが当たった。
彼女はそれを拾い上げると、それは女性用のリップクリームであった。

「すみません。床にリップクリームが落ちてましたよ」

そう言って、私の横の座席にそのリップクリームを置こうとしてくれたのだが。
そのリップクリームを見て高級水着を買った女性が、「もしかして、彼女のものですか?  それとも、家族の人?」と興味本意で聞いてきたのだ。
何気ないその一言は一瞬、私の心に突き刺さった。
家族…家族…家族…………。
だが、すぐに我に返ると、

「ああ、それは前にナンパしてくれた女性の落とし物でしょうね。
いやー、気づかなかったですよ。ありがとうございます」

私は感情を抑えながら、バッとリップクリームを受け取り、助手席に置いた。

「────ハハハ、なんだろう。まるで子供が今からピクニックに行くような純粋な気分です。
あなたたちみたいな可愛い女性と会えるなんて」

「そんなお世辞が過ぎますよ」

「それよりも見てみなさいよ。もう海が見えてきたわ」

二人の女性が言うように目の前には青い水平線が広がっている。
砂浜には客が大勢おり、「こんな朝っぱらからよく来るなぁ」と感心してしまう。
車は海の近くの駐車場へと向かい、そこで停車した。

「さぁ、着きましたよ。足元に気をつけてください」

「すみません、送ってもらって」

そう言って二人は後部座席から降りると、私に頭を下げお礼をいった。
そう言って別れようとした時、私には心残りな事があると気づいた。
そんな事があるとは考えずに、彼女たちはまっすぐに海水浴へと向かっていく。
打ち明けなければ、ここで言わなければ……。

「あっ…あの……」

私は心残りをそのままにするようなタイプではないのだ。
私が彼女たちを呼びつけると、二人とも振り返って、何事かと疑問に思ってるようだ。

「ちょっとの時間でいいんです。少しお話をしたいのですが」

勇気を振り絞って女性たちに話しかけると、高級水着を持った女性が、

「ねぇ、ちょうど良いじゃない。私は向こうで待ってるから。行ってきなさいよ。彼氏を作る良いチャンスかもよ」

「えええええッ…!?  確かにその…でも…あの………」

ひそひそと話している二人を見ながら俺は彼女らの返事を待っていると……。

「あの……私でよければ」

そう言って私に近づいてきたのは、高級水着を買った女性と一緒にいた彼女。

「では、ちょっと向こうの方に歩きましょうか。良い景色が見れる場所があるらしいです」

私はその女性の手を握ると、彼女の歩幅に合わせてゆっくりと歩いていった。
さてさて、ここからが私の趣味の時間さ………。
二人っきりの…………………。
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