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第11章 どうやら殺人鬼はスポンジマンのようです。
やっぱり気になる犯人像
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あの夜から今日で10日程経過した。
しかし、何か奴の弱点や居場所を突き止めたというわけではない。
あんなグロい光景を見て、しばらくの間はあまり行動を控えていたのだ。
…と言うよりはすぐに行動を起こしたくなかった。
さまざまな機関に情報を提供しても、
「作り物だ」
…などと言われて話を聞いてはくれなかったのだ。
頼りにしていた王国警備隊や付喪連盟などにも声をかけたが、反応は変わらなかった。
そもそも殺害方法は分かっていたらしく、犯人の顔が分からない以上どうにも出来ないらしい。
ここまで言われるともう誰もあてにならない。
それよりも、自分達はあんな非道な殺人鬼と会いたくない。
自分まであんな死に方をするのはゴメンだ。
そう考えていたのである。
だが、俺たちが行動を起こさない間も、殺人は行われていた。
日々のニュースは殺人鬼の話題でもちきり、テレビなんて見てもどうせ何の進歩もない映像を流されるだけである。
「…………」
その日の朝、俺は椅子に座りながら、今朝の新聞を読んでいた。
どうせ被害者が何人に増えた…などという記事が載っているのだろう。
そう思っていたのだが、その日の朝刊の一面にはこんなことが書かれていた。
「───数市より派遣された部隊。今日は国市をパトロール?
妙義の親父さんの所の武器とか使ってるんだろうな」
あの都市がどんな使う武器なら、あの付喪神に勝てるのだろうか。
奴には剣ですら通りきらなかったのに、銃弾などが通るのか。
居場所も分からない状態で挑めるのか。
魔法などの技術がまだ健在なら良かったのだろう。
だが、この国では今や魔法技術は廃れてしまっている様なのでどうしようもない。
「魔法……魔法……?
なぁ、黒。お前って魔法使えたっけ?」
「うん。でも、それがなんなの?」
俺は隣で椅子に座りながらルイボルト教の聖典を読んでいる黒に声をかけた。
「なぁ、特定の人物の居場所が分かる魔法なんてないのか?」
「そんな便利な魔法があるわけないでしょ…………なんて言いたいけど。───あるのよ」
引っ張ろうとして引っ張りきれない発言に疑問を浮かべながらも、俺は彼女に期待するしかなかった。
「あるのか!?
じゃあ、それであの付喪神の居場所を教えてくれ」
「しょうがないわね。良い?
黒帝家の素晴らしい魔法を使うには代償がいるの。
まずは私が料理を取っても怒らずに渡すこと。
次に、この家にいる間はお小遣いを……」
こいつはなんて欲深いのだろう。
だが、この際は仕方がない。
「しょうがないな。料理は無理だが、お小遣いは大丈夫じゃないぞ」
「よし、じゃあやってみるね」
こいつはバカなのだろうか。
「にゃむにゃむにゃむにゃむにゃむ…………」
黒は右の手のひらを上に向けて、何か呪文を唱え始める。
すると、手のひらに浮かび上がったのは青い点と赤い点。
「いい?
この赤い点は探し人、この青い点は私たちの位置だよ」
よく見ると、確かに二つの点がある。
しかし、これは……。
「なぁなぁ、黒。この青い点と赤い点。重なる寸前じゃね?」
青い点と赤い点が重なって、ジッと見ないと分からないほどである。
今、この家には俺と黒しかいないはずなのだが。
「本当ね。まるですぐ近くにいるみたい。
そんなことよりもさっきの返事。
明らかにどっちも断ってなかった?」
先程の返事は黒にバレてしまったようだが、それよりも重要なのは……。
しかし、何か奴の弱点や居場所を突き止めたというわけではない。
あんなグロい光景を見て、しばらくの間はあまり行動を控えていたのだ。
…と言うよりはすぐに行動を起こしたくなかった。
さまざまな機関に情報を提供しても、
「作り物だ」
…などと言われて話を聞いてはくれなかったのだ。
頼りにしていた王国警備隊や付喪連盟などにも声をかけたが、反応は変わらなかった。
そもそも殺害方法は分かっていたらしく、犯人の顔が分からない以上どうにも出来ないらしい。
ここまで言われるともう誰もあてにならない。
それよりも、自分達はあんな非道な殺人鬼と会いたくない。
自分まであんな死に方をするのはゴメンだ。
そう考えていたのである。
だが、俺たちが行動を起こさない間も、殺人は行われていた。
日々のニュースは殺人鬼の話題でもちきり、テレビなんて見てもどうせ何の進歩もない映像を流されるだけである。
「…………」
その日の朝、俺は椅子に座りながら、今朝の新聞を読んでいた。
どうせ被害者が何人に増えた…などという記事が載っているのだろう。
そう思っていたのだが、その日の朝刊の一面にはこんなことが書かれていた。
「───数市より派遣された部隊。今日は国市をパトロール?
妙義の親父さんの所の武器とか使ってるんだろうな」
あの都市がどんな使う武器なら、あの付喪神に勝てるのだろうか。
奴には剣ですら通りきらなかったのに、銃弾などが通るのか。
居場所も分からない状態で挑めるのか。
魔法などの技術がまだ健在なら良かったのだろう。
だが、この国では今や魔法技術は廃れてしまっている様なのでどうしようもない。
「魔法……魔法……?
なぁ、黒。お前って魔法使えたっけ?」
「うん。でも、それがなんなの?」
俺は隣で椅子に座りながらルイボルト教の聖典を読んでいる黒に声をかけた。
「なぁ、特定の人物の居場所が分かる魔法なんてないのか?」
「そんな便利な魔法があるわけないでしょ…………なんて言いたいけど。───あるのよ」
引っ張ろうとして引っ張りきれない発言に疑問を浮かべながらも、俺は彼女に期待するしかなかった。
「あるのか!?
じゃあ、それであの付喪神の居場所を教えてくれ」
「しょうがないわね。良い?
黒帝家の素晴らしい魔法を使うには代償がいるの。
まずは私が料理を取っても怒らずに渡すこと。
次に、この家にいる間はお小遣いを……」
こいつはなんて欲深いのだろう。
だが、この際は仕方がない。
「しょうがないな。料理は無理だが、お小遣いは大丈夫じゃないぞ」
「よし、じゃあやってみるね」
こいつはバカなのだろうか。
「にゃむにゃむにゃむにゃむにゃむ…………」
黒は右の手のひらを上に向けて、何か呪文を唱え始める。
すると、手のひらに浮かび上がったのは青い点と赤い点。
「いい?
この赤い点は探し人、この青い点は私たちの位置だよ」
よく見ると、確かに二つの点がある。
しかし、これは……。
「なぁなぁ、黒。この青い点と赤い点。重なる寸前じゃね?」
青い点と赤い点が重なって、ジッと見ないと分からないほどである。
今、この家には俺と黒しかいないはずなのだが。
「本当ね。まるですぐ近くにいるみたい。
そんなことよりもさっきの返事。
明らかにどっちも断ってなかった?」
先程の返事は黒にバレてしまったようだが、それよりも重要なのは……。
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