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第11章 どうやら殺人鬼はスポンジマンのようです。

妙義さんには秘密があります

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 次の日の朝。
俺はいつものように目を覚ますと、カーテンを開けて外からの日差しを堪能する。
そして、ニュースなどを知るために携帯を開くと……。

「んんん?  メールか?」

1件のメールが俺の元に届いていたのだ。
その内容をゆっくりと読んでいると……。
1階から騒がしい音が聞こえてくる。

「────やっぱりか」

俺は頭を抱えながら、携帯を閉じると自分の部屋を出ていくのであった。



 予想通り、1階では既に3人が朝食を食べている所であった。

「あああーちょっと簀巻!!
それは私のプリンよ」

「あっ、ごめんな…ってか、お前が食ってるの僕用の朝食じゃねぇ?
あ~あ~これでおあいこだな」

そう言って簀巻は自身の持っていた黒のプリンを食べ始める。

「ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーーー!!!!
私のプリンって言ったばっかでしょ!?
ルイボルト教信者なら私に貢ぎなさいよ。
何よ……朝食完食させられたくらいで……」

「おいおい、そっち方がでかいだろ?
それに僕ルイボルト教信者じゃないぞ!!!」

「ヘヘーン。この国に生まれた人はどんな宗教に入ってても皆ルイボルト教信者なのよ」

「なんだよ!!! 無茶苦茶だな。偉そうにしやがって……。そもそも信者だからと言って何で貢がなきゃいけないんだよ」

このままでは言い争いが終わらないまま、静かな朝を楽しむことができなくなってしまう。

「それは私がか……」

「うるさいですよ。ゆっくり朝食も食べれないんですか? ハムハム………」

英彦は黒の説明を遮って注意を促すと、再びハムハムと朝食を食べ始めた。



 「お前ら、元気が有り余ってるなら、丁度良いな。頼みたいことがあったんだ」

俺がそう言って1階に降り立つと、それまで朝食を食べていた3人の手が止まった。

「ねぇ、そんな事言わないわよね?」
「明山は優しい奴だもんな?」
「何をさせる気ですか?」

「俺が留守の間…掃除 洗濯 などの家事全般はやって貰うからな!!!
誰もタダで泊めるとは言ってないだろぉ?」

3人の顔色が青く変わっていく様を見ながら、俺はトイレへと向かっていった。

「…………」

「…………」

「…………」

俺がトイレから帰ってくると、さっきまでの騒がしさが嘘のように静まり返っていた。
先程の脅しが効いたのだろうか。
なんだか悪い事をした気がするが、仕方がない事なのだ。
黒と簀巻はまるでこの世が終わる様な暗い表情を浮かべている。
その2人を見ながら英彦は何と声をかければ良いか分からずにただ黙っていた。

「あっ、あー。じゃあ出掛けてくる」

先程の発言に少し後悔しながらも、俺は玄関のドアをゆっくりと開く。

「どっ、どこかに行くんですか?」と、やっと口を開いた英彦は言う。

「ちょっと呼ばれた」

そう一言だけ呟くと、俺は3人を置いて家を出ていった。



 ここは家から少しだけ離れた公園。
メールの送り主はここを待ち合わせ場所に指定してきたのだ。
もちろん、公園を利用しようとする者は1人もいない。
静かな町にたった1人取り残された気分を味わいながら、俺はそいつが来るのを待っていた。
照りつける日差しを浴びながら、汗を流し必死に時が過ぎるのを待つ。

「ミーミーミーミーミーミーミーミーミー!!!」

そんな中でもセミの鳴き声は何重にも聞こえてくる。
暑い日差しとうるさいセミの鳴き声が混ざり合うと拷問を受けている気分になる。

「アアアアアア……。うるせぇぇぇぇ!!!」

叫んでもなお止まない鳴き声にイライラしながらも、俺は待ち続けていた。



 しばらくして、セミが驚くほどのエンジン音が鳴り響き激しい轟音と共に現れたのは、白色のリムジン。
あの縦長い車がなぜあそこまで早く飛ばして走ってきたのだろう。
そもそも、異世界なのに高級車のリムジンってあっていいのか…という疑問は一度おいておいて……。
それよりも先に俺の頭を過った感想は、

「お前って金持ちなんだな」

リムジンは俺の目の前に停車すると、窓がゆっくりと開きはじめる。そして、中から顔を見せたのは……。

「ちょっと行きたい所があるのだ。すまない、ボディーガードとして同行して欲しいんだ」

新しい一面を持っていた妙義であった。
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