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第11章 どうやら殺人鬼はスポンジマンのようです。
殺人鬼対策本部 仮
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結局、やる気に満ち溢れた二人には追い付けず、自分の体力の衰えを実感しながらも俺は急いで家中を片付け回った。
そして、片付け開始から3時間後。
俺は外で待っていた二人に片付け終了の報告をするため、窓から二人を呼ぶ事にしたのだが。
「おーい。終わった………。なんだ? 気のせいか?
1人増えた気がするんだけど」
先程まで全員で3人だったはずのメンバーがいつの間にか4人になっているのだ。
まさか、こんな昼間から出るとは聞いたことがなかった。
「おっ、おい。お前らの後ろにいるのってもしかして幽……」
俺は恐る恐る、指を指しながら英彦達に確認をとってみたのだが、肝心の英彦達は、微笑しながら彼らの間にその者を通す。
「なんか、悪いな~。外が緊急時だからって……」
彼の名は簀巻。
簀巻は照れくさそうに2人の間に立っている。
「なんだよ。本当に生きる幽霊じゃないか」
俺は小声で愚痴を呟く。まぁ、生きる幽霊ではなく生きる屍なのだが。
おそらく、彼は泊まりという事をどこかから聞き付けて我が家に訪れたのだろうか。
しかし、折角来てもらっても俺は許可をしていないので彼には退場して貰うことにした。
「悪いけど。人数が多いからお前は他をあたってくれ。じゃあ、バイバイ~!!!」
英彦と黒を家に上がらせた後、俺はドアをゆっくりと閉じながら簀巻に言いはなった。
すると、さすがの執念の持ち主である。
彼は俺が閉めようとするドアを、必死にこじ開けようとしてきたのだ。
「邪魔するな!!!
ここは犯人捜索本部になるんだから。
部外者は退場してもら……」
「頼む~。しばらくの間泊めてくれよ。
なぁ、外にいたら殺人鬼に殺されるかもしれないんだ。頼むよぉぉ、僕を入れてくれ!!!」
そう言われても、無理なものは無理なのだ。
バイトが休業になった今、食料もいつ尽きるか分からないなのに、これ以上人を入れたら真っ先に力尽きてしまうだろう。
だが、彼も諦める事はしない。
彼もまたこのままでは住所不定で犯人疑惑が浮上して逮捕される可能性があるのである。
お互い譲れない状況の中で二人は、早く終わってほしいと願うような目でその争いを見続けていた。
そして、しばらくの間争った結果、簀巻のある一言が勝敗を分けたのである。
「なぁ頼むよ。聞いてくれ。その犯人捜索には絶対僕の能力が役に立つから!!!
捜索こそ僕の得意分野だから!!!」
「───分かった入れ!!!!」
その返答を聞いた瞬間、今までの争いはなんだったんだというような表情を浮かべた簀巻であったが、その返答が変わらない内に…っと急いで家に入ると、彼はドアの鍵を閉めた。
────────────────
「そうか。そろそろか」
暗闇に包まれた部屋で、1人の男が玉座に座っている。
彼が指を鳴らすと青白い炎がランタンにパッと灯り、その青白い光が暗闇に包まれた部屋を照らした。
「──八虐は壊滅状態。そろそろリーダーである俺が動く時が近づいてきているのかもしれない」
その後、彼は玉座から立ち上がるとゆっくりと部屋の外に向かって歩き始める。
そんな彼を見送る者はこの広い部屋には1人もいない。
彼は孤独な中で弱音やため息もせず、後悔の念も抱かずにその部屋を出ていくのであった。
そして、片付け開始から3時間後。
俺は外で待っていた二人に片付け終了の報告をするため、窓から二人を呼ぶ事にしたのだが。
「おーい。終わった………。なんだ? 気のせいか?
1人増えた気がするんだけど」
先程まで全員で3人だったはずのメンバーがいつの間にか4人になっているのだ。
まさか、こんな昼間から出るとは聞いたことがなかった。
「おっ、おい。お前らの後ろにいるのってもしかして幽……」
俺は恐る恐る、指を指しながら英彦達に確認をとってみたのだが、肝心の英彦達は、微笑しながら彼らの間にその者を通す。
「なんか、悪いな~。外が緊急時だからって……」
彼の名は簀巻。
簀巻は照れくさそうに2人の間に立っている。
「なんだよ。本当に生きる幽霊じゃないか」
俺は小声で愚痴を呟く。まぁ、生きる幽霊ではなく生きる屍なのだが。
おそらく、彼は泊まりという事をどこかから聞き付けて我が家に訪れたのだろうか。
しかし、折角来てもらっても俺は許可をしていないので彼には退場して貰うことにした。
「悪いけど。人数が多いからお前は他をあたってくれ。じゃあ、バイバイ~!!!」
英彦と黒を家に上がらせた後、俺はドアをゆっくりと閉じながら簀巻に言いはなった。
すると、さすがの執念の持ち主である。
彼は俺が閉めようとするドアを、必死にこじ開けようとしてきたのだ。
「邪魔するな!!!
ここは犯人捜索本部になるんだから。
部外者は退場してもら……」
「頼む~。しばらくの間泊めてくれよ。
なぁ、外にいたら殺人鬼に殺されるかもしれないんだ。頼むよぉぉ、僕を入れてくれ!!!」
そう言われても、無理なものは無理なのだ。
バイトが休業になった今、食料もいつ尽きるか分からないなのに、これ以上人を入れたら真っ先に力尽きてしまうだろう。
だが、彼も諦める事はしない。
彼もまたこのままでは住所不定で犯人疑惑が浮上して逮捕される可能性があるのである。
お互い譲れない状況の中で二人は、早く終わってほしいと願うような目でその争いを見続けていた。
そして、しばらくの間争った結果、簀巻のある一言が勝敗を分けたのである。
「なぁ頼むよ。聞いてくれ。その犯人捜索には絶対僕の能力が役に立つから!!!
捜索こそ僕の得意分野だから!!!」
「───分かった入れ!!!!」
その返答を聞いた瞬間、今までの争いはなんだったんだというような表情を浮かべた簀巻であったが、その返答が変わらない内に…っと急いで家に入ると、彼はドアの鍵を閉めた。
────────────────
「そうか。そろそろか」
暗闇に包まれた部屋で、1人の男が玉座に座っている。
彼が指を鳴らすと青白い炎がランタンにパッと灯り、その青白い光が暗闇に包まれた部屋を照らした。
「──八虐は壊滅状態。そろそろリーダーである俺が動く時が近づいてきているのかもしれない」
その後、彼は玉座から立ち上がるとゆっくりと部屋の外に向かって歩き始める。
そんな彼を見送る者はこの広い部屋には1人もいない。
彼は孤独な中で弱音やため息もせず、後悔の念も抱かずにその部屋を出ていくのであった。
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