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第9章 どうやらエルタは八虐の不義のようです。

拳の勝負

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 ここは廃城の内部。
そこでは今もまだ激しい戦いが繰り広げられていた。
明山と駒ヶ 対 エルタ(英彦の体にいる)である。

「見ろ。あの輝きをこれが五百円モードだ。
魔法が効かないし、技がパワーアップしているんだ。いいな~一家に一台位欲しい性能だなぁ~。
おっと、失礼。
それでは前回のあらすじから…とは言わず、最初から話していくとしよう」

そんな冗談を言いながらも駒ヶは、襲いかかってくる人型の大群を切り裂いていた。



 「──なぁ、エルタ。こんなこと敵に言うのは駄目かもしれないが。あの解説仮面、黙らせてきていいか?」

俺は今、敵に休戦を頼むほど、あの下手な解説を止めさせてやりたい気持ちでいっぱいだった。
しかし、そんなことをしている暇はない。
五百円モードもいつまで効果が続くか分からないのである。
五百円モード中に倒さなければ俺の敗北なのだ。
そんな事はエルタは理解しているはず。
断る事などない。
俺は今もあらすじを言っている解説仮面を黙らせる準備をしていた。



 しかし、エルタは外野からの回想には全く興味を持っていないようだ。
エルタは俺を向こうに行かせてはくれない。

「いや、あれは人型どもに任せておけばよいだろう。
それより我々も決着を着けようではないか」

いや、任せないでくれ。

「自分の為ではなく人の為に戦うという覚悟の脆さを思い知らせてやろう」

いや、あいつに解説はいらないと思い知らせてくれ。
そんな事を心の中で叫んでも、あの解説仮面やエルタに伝わるはずもない。
俺はエルタに言われた通り、決着を着ける事に決めた。



 「いくぞ。明山!!!!!
貴様の最期の時を味わいながら、僕俺我私…このエルタの恐ろしさを思い知るがいい」

「来い。エルタ!!!!!
そして、さっさとその体から離れて地獄に帰りやがれぇぇ」

そうして、お互い気合いをいれた後、彼らは戦い始めた。
エルタは瞬間移動を使いながらさまざまな方向から俺を殴ってくるが、俺はその度に数発ずつエルタに拳をぶつける。

「「オリャァァァァァァァァ!!!」」

少し変わった殴り合いの戦いである。
どちらかが疲れを見せたときがその者の最期となるのだ。



 「ハァーハァー。クッ…ウオオオオオオ!!!」

「その油断が命取りだぞ。明山ァ!!!!
ノックアウトは貰ったァァ!!」

気がつくと俺は宙を見ていた。
エルタによってノックアウトが決まったのだろうか。
血を吐きながら宙に浮いている。
俺は体勢を立て直そうと、体を動かしたかったのだが。
運命は味方をしてはくれなかった。
目の前に現れたのは英彦の姿ではなかったのだ。



 その者は顔は影によって暗くて見ることはできなかったが、英彦ではない。
悪魔ではなく人だ。
おそらく、そいつが大悪魔エルタの正体だろう。
そいつは瞬間移動をして俺の視界に入るほどの距離まで近づいてきたのだ。

「明山ァァ!!!
俺の天敵に成りうるお前の最期は、このエルタ自身で終わらせてやる。
それが俺からのせめてもの償いだァァァァ!!」

エルタはそう叫ぶと、渾身の拳の一撃によって俺を廃城の外へと殴り飛ばした。
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