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第8章 どうやらエトナとセンテネルは謀叛と悪逆のようです。

安全も勝利も名誉も報酬も

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 「蝶は好きか? それともカブトムシが好きかな? まぁ、そんな話は置いておこう。
それよりも……だ。
てめぇらを全員喰い殺してから王女を殺すか。
それとも先には王女をいただくか。てめぇらはどっちが好みだ?」

エトナは馬車に凭れかかって彼女らに話しかける。
余裕の表情を見せながら妙義達を挑発しているのだろうか。
妙義達は挑発に乗らないように、怒りを抑えて我慢するしかなかった。



 すると、一人の男がこちらへとやってくる。
その手に高価で貴重そうな宝石の鏤められた剣を手にしている男。
おそらく、付喪連盟か冒険者連盟の中では結構順位が上の方の者だろう。
どうやら、彼もエトナの正体に気づいたようだ。
只者ではないというのが彼にだって分かっている。

「へへ、こんなところに人間じゃない少女がいるのか?   悪いなお嬢さん達、俺がこいつを討伐させてもらうぜ。
信者や蟲なんかと戦っても名は上がらない。
悪いな少女。俺の報酬のためだ!!」

そう言いながらエトナに斬りかかっていった男であったが、男の体は宙を舞って地面に落ちてしまう。

「何で? あれれ?」

エトナは男の頭を掴み持ち上げた。

「おい、お前みたいな奴は餌として喰らわれる以外に使い道がねぇな」

そう言うと切り離された下半身を大勢の蟲達が食い荒らしていく。

「あれ? あれは俺の下半身? なるほど、立てないわけだ」

「どうだ? てめぇの下半身が失くなっているのを見るのは…? おっと、そう言えばまだ昼飯を食べてなかったな」

エトナは自分の姿を蟲達で隠して、食事を始めた。

「いや、やめ………あgyぃギャァァァァァァアアアアアアアアアイデイデイデ…ギャァァァァァァアアアアアアアアア…………………」

その様子にどうやら周りで戦っている護衛隊達もその光景に気がついたようだ。
すると、急に蟲達はどこかへと飛んでいってしまった。

「あーん、うまうま~い。あっ…………」

周囲の人間に彼の食事シーンが見せられる。
その光景に目を覆う者、吐き出す者…これをまともに見れるものなどいない。

「いや、脳みそって美味しいよね…? いや、心臓の方が好みなのか?」

そう言いながらもエトナは肉片を食らいつくした。

───────────

 「キャァァァ。蟲ィィィ」

「バカ野郎ー。誘い込んでくるなァァァ。黒、向こうに行け。俺の方に…俺の方に来るなァァァ!!!!」

一方その頃、俺と黒は蟲達から逃げ回っていた。

「こいつら変よ。殺虫剤が効いてないわ」

後ろに向かって殺虫剤を撒きながら黒は必死に走っている。
とにかく今は距離を取らなければならないのだ。
逃げるわけではない。距離を取るのだ。
ほんとに逃げるわけではない、距離を取るためだ。
そして、逃げまくっていると、いつの間にか俺達は森の中へと逃げていた。
逃げたわけではない。迷ったのだ。

「なぁ、黒。俺たち今、迷子に」

「…………なってない。私が迷子になんてなるわけがないわ。これはこっちに怪しい気配がしたから来てみたのよ」

どうやら黒はそれを認めようとはしない。



 結局、そう言われて俺も黒に着いていくことにした。
明らかにその場しのぎの嘘だと言うのは分かってはいたが、このまま様子を見るのも面白く感じるのだ。
しかし、本当に不安なのはこのまま本当に迷ってしまうこと…。

「静かにして。誰かいたわ」

すると、いきなり黒が立ち止まる。
その視線の先にはたくさんの倒れた人と、奇抜な仮面と服装の男が一人言を呟いていた。

「ここまで運べばまだ良いですかね?
ふぅ…まだ息があるようなので安心ですね。
さて、あいつらから回収した強い付喪神と紋章を貼らないと…。まぁ、暴走はしないだろうなぁ………して欲しかったな~。
実験結果から…暴走は時間がかかるか、または追い込まれるかくらいでしかならないしな~。
はぁ~早く仕事を終わらせて先輩の手伝いを………。をゥ!?」

どうやら向こうもこちらに気づいたようだ。

「まさか、あなた付喪人を作ることが出来るの? 」

黒は拳を握りしめ、怒りを堪えながら仮面の男を睨み付ける。
そう言えば、もしかしたら死神さんの言っていた仮面を被った男はこいつなのだろうか。
物珍しそうに俺から見られている仮面の男は姿勢を正すと、自己紹介を始めた。

「お初にお目にかかります。私が真ルイトボルト教信仰者・魔王軍幹部の八虐、謀叛の『センテネル』です」
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