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第3章 どうやらこんな日があってもいいようです。

異世界詐欺から始まるバイト生活

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   俺にはこの世界に来てずっと思っていたことが二つあった。

一つ目はどうしてファンタジー感溢れる町とか、魔法とかがないんだと言うこと…。

普通なら異世界の言葉とかあるはずなのに、普通に日本語で話してるし、町の中は都市と田舎の間くらいだし、学校もスーパーもコンビニもある。
あの女神が言っていたように魔法もあると聞いていたのだが…。
まったく見てない。

また、夜に町の外に出ても付喪神とか言うお化けが出てくるのだ。

これでは俺の異世界での生活のイメージが崩れるのも時間の問題である。

二つ目は異世界ならではの生き物を見ないこと…。

例えるならドラゴンとか獣人などである。

また、モンスターも今の所スライムしか見ていない。

この世界には本当に付喪神しかいないのだろうか。

何だか最近ずっと批判しかしてないような気がするが、この二つを合わせて考えられることがある。

…それは異世界転移詐欺だということだ。

異世界と言いながら元いた世界と、少ししか変わっていない世界に送り付けて憧れを抱いた者の夢を壊す詐欺だ。

もうどうせなら、魔王軍がこの世界を滅ぼして、新しく一般的に知られている異世界に作り直すべきだと思うのだが…主人公としてはその様な発言は好ましくない。

「滅べ~この偽物の異世界世界~。」

だが、願わずにはいれらないのだ。

すると、扉の前から一言。

「明山さんトイレに引きこもって何言ってるんですか。早く出てきてください。」



   店の修復も終わり無事営業できるようになったある日…。

しかし、お客もいない店内…。

実は、この時間帯になるとお客さんがドンと減るのだ。

そんな時はのんびりと休憩を楽しむ時間…。

そんな時のとある店員の楽しみは、先日俺が出会ったウサギとのふれあいである。

だが、ウサギとふれあっているのは俺ではない。

ほとんどウサギとふれあっているのは、あのウサギの飼い主となった黒である。

黒は最近ここでバイトとして入ったのだが、やはり可愛いものが好きなんだろう。

休憩時間はずっとウサギを抱き抱えている。

ウサギもすっかりなついたようだが、何かが普通のウサギと違う…そんな気がするのだ。



   その時するとドアを開けて一人の女性が入ってきた。

妙義さんである。

「すまない遅…。あれ明山何で?
今日は火曜…曜日を間違えた?
いや、何でもない。
いやー、しかしあれだな。いつもこいつはペットを連れてきているな。」

「今日は金曜日のはずだけど…。曜日を間違えたの妙義さん?」

すると妙義さんは少し恥ずかしがったような顔をしてこう言ってきた。

「なっ…。私が曜日を間違えるようなバカに見えるか?
近っ近くを通ったから少し寄ってみただけだ。」

明らかに曜日間違ったって言っていたよな…。

すると、ウサギとふれ合っていた黒が、


「私はね。こういった生き物とずっとふれ合いたかったんだけど…。そういう機会がなかったの。でも明山さんがこの子を連れて帰ってきて、私にくれたお陰で、こうしてふれ合えているのよ。本当にありがとうございます。明山さん。」

いきなり明山さんと言われたが、さん付けされう事に慣れてないので少し戸惑ってしまう。

すると、黒は口調を変えて、

「でっ、相談何ですけど…。」

…と言ってきたがこういう事は既に予想済みだったので、

「駄目だ。どうせ他の生き物も飼いたいから拾ってきて…って言うんだろ。そしてその次は駄々をこねるつもりだろ。そうはいかないぞ。」

これには黒も驚いたようで少し駄々をこね、

「そこまで私の考えを読んでいたなんて…。
でも、いいじゃない。ここの看板キャラクターになるかもしれない有能な存在を発掘できるチャンスじゃないの。
明山はいいの? このままでは客がいない時間が多くなったら、このお店が潰れちゃうわ。」

「なっ…。」

明山は何も言い返せなくなってしまった。



   数日後…。

扉を開けて入ってきた英彦は、まず驚くことから始めた。

猪や竜、馬などの十二支の動物達が店内にいたのだ。

「竜!! いや竜なんて連れてこれるわけがない。そんなわけ…。」

すると、英彦が入ってきたことに気付いた黒が話しかけてきた。

「あっ、英彦おはよう。ねぇどう?
私頑張って捜してきたのよ。これでこの中からこの店の看板ペットを発掘すれば、この店は人気が出るわよ。」

黒はとても上機嫌な様子だった。

だが、これはやりすぎだろう。

英彦は少し引きぎみになりながらも、

「へぇ…。すっ…すっ…すっ…ごいね…。そういえば明山さんに話があるんだけど、今いる?」

「実はね。さっき店に入るなり頭痛がするって言って今日は帰っちゃったのよ。心配よね。後でお見舞いにでも行ってあげたほうがいいかしら? 皆で。」

いやそれは明山さんに止めを指すことになるよ…と英彦は心の中でも思った。

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