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第2章 どうやらみんなは試験を受けるようです。

八虐のブ…???

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   黒マントの男は一息つくと、めんどくさそうな顔をしてから言った。

「そう熱くなるなよ。まずは自己紹介からかな? 俺は魔王軍八虐の一人である。俺の名はブ…。」

自己紹介の途中でぶっ飛ばされる黒マントの男。
黒の拳が思いっきり男の顔面を殴り飛ばしたのだ。

「おい、黒何やってんだよ。」

俺は慌てて黒を止めにはいる。

「何って討伐よ。」

しかし、黒は何も思わぬ顔で俺の質問に答えた。



   そんな黒の態度に驚きながらも、黒マントの男はフラフラになりながらも立ち上がる。

「お前は何だ。自己紹介の途中で殴って来やがって、礼儀と言うやつを知らないのか?」

少し涙目になりながら男は言った。それには俺も共感する。

「黒 いいか。世の中にはお約束という物があってな。
自己紹介の時とか必殺技を放つときは攻撃しちゃいけないんだよ。
だから、こういう時は最後まで聞いてやるべきなんだぞ。」

しかし、黒はこう返してきた。

「戦場じゃそんな事言ってる奴から死ぬんだぜボウヤ?
それに魔王軍八虐なんでしょ。
八虐って言えば魔王軍の幹部なんでしょ。
不意討ちでもしなけりゃ私たちのレベルじゃ勝てないわよ。」

それに俺も共感できる部分はある。

「はぁ…いいか?  こういう時はな…。」

「おい、もう話は済んだか?
じゃあ、もう一度自己紹介からかな。
俺は魔王軍八虐の一人である。ブ…。」

自己紹介の途中で殴り飛ばされる黒マントの男。

「てめぇ、さっきその女に注意して…。」

「聞こえないな~。あー聞こえない。なに言ってるのかな~。」

明山特製耳栓作戦である。

「てめぇら許さねぇ。地獄見せてやる。」

黒マントの男が遂に攻撃を仕掛けてきた。

「なぁ、黒。十円持ってる?」

「ええ、あるけど。」

黒は頼まれた通り、俺に五十円玉を渡した。

「これで終わりだ。黒マントの男。
喰らえ十円パンチ」

見事に黒マントの男の顔面に当たる。

「クズどもめ~。」

黒マントの男は殴り飛ばされて宙を舞いながら、固い地面の上に倒れる。

「自己紹介を短くして出直してきな。」

敵を早く倒しすぎて、ちょっと俺の事を引いている黒の視線を感じながら俺はそう言いはなった。








   八虐。
こいつは予想以上に弱かったが、ホントに魔王軍幹部なのだろうか。

それとも俺が強いのか。

「そりゃもちろん俺の方が強い。アハハハ。」

戦いは終わった。

それも、ものすごく早く。

「明山すごいわ。私たちこんなに早く八虐の一人を倒しちゃったわよ。」

黒と俺が生存フラグを立てまくっていると。

「バカ野郎。俺がいつ負けたって?」

ふと見ると黒マントの男は元気そうにしている。

「えっ…。確かに明山の攻撃は効いていたはずなのに。」

「悪いがもうお前らと遊んでいる時間はないんだ。」

黒マントの男は呪文らしきものを唱えてから、

「悪夢の再来(あくむのさいらい)」

その言葉を聞いた途端に俺達は視界が薄れていくのを感じた。

まるで呪いにでもかかったように…。

そして、彼らは黒マントの前に倒れる。

「お前ら運が良ければ、またいつか会えるだろう。
最後に戦ったのがお前らみたいなクズ野郎で良かったぜ。」

そうして、俺達二人は意識が無くなっていった。
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