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67話 ジョアサンとブランク
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教会に行った日の翌日。教室に向かっている最中でジョアサンに呼び出されました。別に構いませんが、男子生徒と二人で密会みたいに思われないかしら?
今回も悪魔祓いの件と判断した私は、空き教室に入り次第、出入り口の所でスザンヌに待機して貰いました。
「周囲が気になりますか?」
「いえ、そういう訳……ではありますが…………変な噂をされれば、困るのは貴方でしょう?」
「気にしません。少なくとも平民生徒たちは貴方が本当はお優しいことはジャンヌを通して知っています」
「ならいいわ。それで用件は何かしら?」
私がそう聞き返すと、ジョアサンは私の両肩をがっしりと掴みました。突然男子生徒に肩を掴まれて、大きな声で叫びそうになった瞬間。ジョアサンが「静かに」とささやいた。だが、前世含めて男性経験のない私の頭の中は完全にぐるぐると回りだし、大混乱。目の前にいる私が完全にてんぱっていると気付いたジョアサンもどうしていいかわからないのか固まっている。
「と、ととととにかく離して頂けますか?」
「え!? あ、ああごめん」
しかし、ジョアサンの手は未だにがっちりと私を掴んでいる。なんで? なんで離してくれないの?
私が目を白黒させながら彼を見つめていると、彼は意を決して私の顔に彼自身の顔を近づけた。何してんの!?
私の脳みそが沸騰する寸前で、私と彼の体を引き離す様に、黒装束の男が現れた。その男には見覚えがある。
「貴様! クリスティーンに何を飲ませようとした!!」
!? 飲ませようとした? なに? どういうこと?
一歩下がるジョアサンの口元から透明な液体が垂れる。涎ではなさそう。何かわかりませんが、あれを飲ませようとしたと言うことですか?
「とうとう現れましたね。姫にとりついている悪魔」
悪魔ってもしかしてブランクのこと!? 確かにそう言った系統だったら、彼の異様なスペックは納得できるけど、それはあくまでジョアサンの決めつけなだけで悪魔なんて本当にこの世界に…………いや、ここは魔法もある世界。それに悪魔もいてもおかしくはないか。
「悪魔? …………いいな、それ。俺はクリスティーンも憑りついた悪魔だ。だが、貴様程度ではどうすることもできまい!!」
私は、ブランクが何を言っているかわからず、問いただそうとしたところで、私の口は私の意思に反して閉じたままだった。そして、私の意に背いて動き出す。
『なによ貴方。誰なの? 悪魔。嘘? やだ! 助けて!!』
いえ、私こんなこと微塵もいおうと思っていませんけど!? 口や声どころか、顔の表情まで私の思った通りに動かせない。完全に操られている様子だ。しかし、よく考えてみれば、私とブランクが知り合いだった場合、ジョアサンから見れば姫が悪魔と契約しているように見えるはず。それはそれで避けたい。
でしたら意に反して憑りつかれている風に見えるこの様子の方が、違和感もありませんよね。それに私の悪役令嬢風の演技も、ジョアサンには見抜かれていましたし、こう操って貰えるならちょっと楽かも。
でも意識があるのに、手足も動かせないし声も出せないのは気持ち悪いわね。金縛りってこういう感覚なのかしら。
「姫に憑りついてどうするつもりだ!!!」
「お前に話すことはない。しいて言うなら、目的を成すために、この肉体が必要なだけだ」
彼から見た私はワンダーオーブを手に入れるための奴隷。彼から見た私は異端だったからもっとも可能性があると見込まれての人選だったはず。
私自身もブランクほどの魔術師はゲームヒロイン以外に見たことも聞いたこともないから従っているとろこもありますが、私視点では協力者でもある。
「目的?」
「なんだ? お前も手伝ってくれるのか? そうだよな。姫から俺を追い払うならお前も手伝うべきだ」
ちょっと何を言っているのブランク!?
今回も悪魔祓いの件と判断した私は、空き教室に入り次第、出入り口の所でスザンヌに待機して貰いました。
「周囲が気になりますか?」
「いえ、そういう訳……ではありますが…………変な噂をされれば、困るのは貴方でしょう?」
「気にしません。少なくとも平民生徒たちは貴方が本当はお優しいことはジャンヌを通して知っています」
「ならいいわ。それで用件は何かしら?」
私がそう聞き返すと、ジョアサンは私の両肩をがっしりと掴みました。突然男子生徒に肩を掴まれて、大きな声で叫びそうになった瞬間。ジョアサンが「静かに」とささやいた。だが、前世含めて男性経験のない私の頭の中は完全にぐるぐると回りだし、大混乱。目の前にいる私が完全にてんぱっていると気付いたジョアサンもどうしていいかわからないのか固まっている。
「と、ととととにかく離して頂けますか?」
「え!? あ、ああごめん」
しかし、ジョアサンの手は未だにがっちりと私を掴んでいる。なんで? なんで離してくれないの?
私が目を白黒させながら彼を見つめていると、彼は意を決して私の顔に彼自身の顔を近づけた。何してんの!?
私の脳みそが沸騰する寸前で、私と彼の体を引き離す様に、黒装束の男が現れた。その男には見覚えがある。
「貴様! クリスティーンに何を飲ませようとした!!」
!? 飲ませようとした? なに? どういうこと?
一歩下がるジョアサンの口元から透明な液体が垂れる。涎ではなさそう。何かわかりませんが、あれを飲ませようとしたと言うことですか?
「とうとう現れましたね。姫にとりついている悪魔」
悪魔ってもしかしてブランクのこと!? 確かにそう言った系統だったら、彼の異様なスペックは納得できるけど、それはあくまでジョアサンの決めつけなだけで悪魔なんて本当にこの世界に…………いや、ここは魔法もある世界。それに悪魔もいてもおかしくはないか。
「悪魔? …………いいな、それ。俺はクリスティーンも憑りついた悪魔だ。だが、貴様程度ではどうすることもできまい!!」
私は、ブランクが何を言っているかわからず、問いただそうとしたところで、私の口は私の意思に反して閉じたままだった。そして、私の意に背いて動き出す。
『なによ貴方。誰なの? 悪魔。嘘? やだ! 助けて!!』
いえ、私こんなこと微塵もいおうと思っていませんけど!? 口や声どころか、顔の表情まで私の思った通りに動かせない。完全に操られている様子だ。しかし、よく考えてみれば、私とブランクが知り合いだった場合、ジョアサンから見れば姫が悪魔と契約しているように見えるはず。それはそれで避けたい。
でしたら意に反して憑りつかれている風に見えるこの様子の方が、違和感もありませんよね。それに私の悪役令嬢風の演技も、ジョアサンには見抜かれていましたし、こう操って貰えるならちょっと楽かも。
でも意識があるのに、手足も動かせないし声も出せないのは気持ち悪いわね。金縛りってこういう感覚なのかしら。
「姫に憑りついてどうするつもりだ!!!」
「お前に話すことはない。しいて言うなら、目的を成すために、この肉体が必要なだけだ」
彼から見た私はワンダーオーブを手に入れるための奴隷。彼から見た私は異端だったからもっとも可能性があると見込まれての人選だったはず。
私自身もブランクほどの魔術師はゲームヒロイン以外に見たことも聞いたこともないから従っているとろこもありますが、私視点では協力者でもある。
「目的?」
「なんだ? お前も手伝ってくれるのか? そうだよな。姫から俺を追い払うならお前も手伝うべきだ」
ちょっと何を言っているのブランク!?
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