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54話 魔力測定
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クラスメイト達と仲良くなれるかどうかドキドキしていましたが、今はそれどころではありません。
初顔合わせから入学式を終え、教室に戻って十分の休憩時間。私の周りにはドッと押し寄せるクラスメイト達。
「ちょっ!? 皆様、同時に話されても聞き取れませんわ!」
みんな、姫である私と会話をしたいはずなのに、なぜか一番重要な私の声が届きません。何故集まった!
スザンヌが防壁を作ろうにも一方向が限度。これどうすればいいのよ。
「守護魔法、泡沫」
突然、私とスザンヌを包み込むように、泡状の結界が形成されました。泡の結界は柔らかく、外側に触れた相手をゆっくり押し出します。
その結界は一定まで膨れ上がった所で、パチンッと音を鳴らして弾けました。
「皆様、落ち着いてください。姫様が困っていますよ?」
「ミゲル」
どうやら先ほどの結界もミゲルの守護魔法のようです。固い防壁を作る以外のこともできたのですね。
今度、一人でいる時に使ってみようかしら。
周囲の生徒たちはやっと自分たちの興奮気味な様子で私に集まってきたことが、私の迷惑になっていたことに気付き、一人ずつ話しかけて貰えるようにしました。
一部の男子生徒はミゲルに対して、一人だけかっこつけやがってと文句を言ったり、逆に一部の女子生徒はミゲルをかっこいいと囁いていた。
そりゃあ、乙女ゲームの攻略対象かつ騎士の息子ですから、かっこつけるのも上手だし、当然かっこいいわよね。
…………ミゲルに彼女ができる前に【橙】のワンダーオーブを回収しないと、もしミゲルに彼女ができた後に私と二人で行動しているところを彼女さんに目撃されたら申し訳ないわね。他の皆様もそうよね。
どちらにせよ先に卒業するアレクシスからよね。【青】のワンダーオーブを最初の目標にしましょう。
そして後は彼女が作れそうな順番でミゲル、ジョアサン、リビオ。ビルジニは女の子同士だし最後でいいかしら。
その間に【紫】のワンダーオーブも考えておきましょうか。
でもまずはこの学園生活に慣れることよね。私が数人のクラスメイトと話しつつ、ちらりと幼馴染でもあるミゲルの方に視線を向ける。
いつの間にか、騎士に憧れる男子生徒や、一部の女子生徒がミゲルの方に集中していました。
女子たちはそれこそ恋をしていたのだと思います。恋か…………私もするのかな。
しばらくしてアンヌ先生が教室に戻ってきました。全員で教室の外に向かいます。どこに行くのでしょうか。
その後もしばらく廊下を歩き続けますと、野球場が二個くらいすっぽり入りそうなほど広いグランドがありました。
そこには他のクラスの生徒たちも集められています。
「はぁい。皆さんこんにちはぁ。Aクラス担任のアンヌ・ド・モローですぅ。これから皆さんには魔力量の測定をして頂きますぅ!」
先生の声は、何も使っていないのに、大きな音としてグランド全体に響き渡ります。
あれは波動魔法拡声器。…………日本人が考えたゲームの世界のせいか、ゲームに出てこない魔法の名前ですら不思議なネーミングしているわね。
「質問です! 何故グランドでやる必要があるのですか?」
一部の生徒がアンヌ先生に質問をすると、アンヌ先生はにこりと笑う。
「まれにぃ。一部の生徒は魔力が強すぎてぇ、教室を破壊しちゃうからですぅ!」
ちょっと危険すぎません?
その後の先生の説明を要約すると、どうやら魔力測定には、本人の内蔵しているすべての魔力を一度放出し、それをまた本人に戻すことで測定をするそうです。
もしかして数値でわかるのかと思い、私も質問をすると、測定機に向かって全ての魔力を放出し、放出した際に測定機についた針の動きで魔力量がわかるそうです。多分、握力測定と似たような感じですね。力が入ると針が動いてメモリを読む。多分そう!
名簿順の為、最初は私から。ちょっとドキドキするなぁ。ジェラールとエリザベートのハイブリッドだし、いきなり優秀な成績叩きだしちゃうんだろうな。測定器は両腕に腕輪をはめて、腕輪が測定器に有線で繋がっているみたいです。そこまで準備ができたら、あとは測定器を操作する側が魔力を抜き取って返却するそうです。
「宜しいですかぁ? …………城壁」
「はい! …………え? 城壁?」
この時、どうして私は考えなかったのでしょうか。王家と公爵家の血筋である自分が、稀のケースである可能性を。先生が私を見た瞬間に迷わず自分に結界を張ったことを。
測定器と先生の間には分厚い城壁が形成されました。先生は波動魔法と守護魔法が使えるみたいですね。そんなことより…………つまりそういうことね。
測定器は私の目の前で大爆発を起こす。当然、目の前にいた私は思いっきり後方に吹き飛ばされることになりますが、そこはさすがだと思いました。爆破に襲われる直前、私の真横で控えていたスザンヌが付与魔法で私を無敵化しました。
他のクラスメイト達もAクラスは守護魔法に適性を持つ生徒が在籍しているおかげで多重防壁が形成されて難を逃れました。
「えーっとぉ、クリスティーンさんはぁ…………測定不能ねぇ」
「えぇ…………」
魔力測定器はよく爆発するそうですが、時空魔法の使い手がさっさと直してしまいました。私も今度から物を壊したら時間戻そっと。
初顔合わせから入学式を終え、教室に戻って十分の休憩時間。私の周りにはドッと押し寄せるクラスメイト達。
「ちょっ!? 皆様、同時に話されても聞き取れませんわ!」
みんな、姫である私と会話をしたいはずなのに、なぜか一番重要な私の声が届きません。何故集まった!
スザンヌが防壁を作ろうにも一方向が限度。これどうすればいいのよ。
「守護魔法、泡沫」
突然、私とスザンヌを包み込むように、泡状の結界が形成されました。泡の結界は柔らかく、外側に触れた相手をゆっくり押し出します。
その結界は一定まで膨れ上がった所で、パチンッと音を鳴らして弾けました。
「皆様、落ち着いてください。姫様が困っていますよ?」
「ミゲル」
どうやら先ほどの結界もミゲルの守護魔法のようです。固い防壁を作る以外のこともできたのですね。
今度、一人でいる時に使ってみようかしら。
周囲の生徒たちはやっと自分たちの興奮気味な様子で私に集まってきたことが、私の迷惑になっていたことに気付き、一人ずつ話しかけて貰えるようにしました。
一部の男子生徒はミゲルに対して、一人だけかっこつけやがってと文句を言ったり、逆に一部の女子生徒はミゲルをかっこいいと囁いていた。
そりゃあ、乙女ゲームの攻略対象かつ騎士の息子ですから、かっこつけるのも上手だし、当然かっこいいわよね。
…………ミゲルに彼女ができる前に【橙】のワンダーオーブを回収しないと、もしミゲルに彼女ができた後に私と二人で行動しているところを彼女さんに目撃されたら申し訳ないわね。他の皆様もそうよね。
どちらにせよ先に卒業するアレクシスからよね。【青】のワンダーオーブを最初の目標にしましょう。
そして後は彼女が作れそうな順番でミゲル、ジョアサン、リビオ。ビルジニは女の子同士だし最後でいいかしら。
その間に【紫】のワンダーオーブも考えておきましょうか。
でもまずはこの学園生活に慣れることよね。私が数人のクラスメイトと話しつつ、ちらりと幼馴染でもあるミゲルの方に視線を向ける。
いつの間にか、騎士に憧れる男子生徒や、一部の女子生徒がミゲルの方に集中していました。
女子たちはそれこそ恋をしていたのだと思います。恋か…………私もするのかな。
しばらくしてアンヌ先生が教室に戻ってきました。全員で教室の外に向かいます。どこに行くのでしょうか。
その後もしばらく廊下を歩き続けますと、野球場が二個くらいすっぽり入りそうなほど広いグランドがありました。
そこには他のクラスの生徒たちも集められています。
「はぁい。皆さんこんにちはぁ。Aクラス担任のアンヌ・ド・モローですぅ。これから皆さんには魔力量の測定をして頂きますぅ!」
先生の声は、何も使っていないのに、大きな音としてグランド全体に響き渡ります。
あれは波動魔法拡声器。…………日本人が考えたゲームの世界のせいか、ゲームに出てこない魔法の名前ですら不思議なネーミングしているわね。
「質問です! 何故グランドでやる必要があるのですか?」
一部の生徒がアンヌ先生に質問をすると、アンヌ先生はにこりと笑う。
「まれにぃ。一部の生徒は魔力が強すぎてぇ、教室を破壊しちゃうからですぅ!」
ちょっと危険すぎません?
その後の先生の説明を要約すると、どうやら魔力測定には、本人の内蔵しているすべての魔力を一度放出し、それをまた本人に戻すことで測定をするそうです。
もしかして数値でわかるのかと思い、私も質問をすると、測定機に向かって全ての魔力を放出し、放出した際に測定機についた針の動きで魔力量がわかるそうです。多分、握力測定と似たような感じですね。力が入ると針が動いてメモリを読む。多分そう!
名簿順の為、最初は私から。ちょっとドキドキするなぁ。ジェラールとエリザベートのハイブリッドだし、いきなり優秀な成績叩きだしちゃうんだろうな。測定器は両腕に腕輪をはめて、腕輪が測定器に有線で繋がっているみたいです。そこまで準備ができたら、あとは測定器を操作する側が魔力を抜き取って返却するそうです。
「宜しいですかぁ? …………城壁」
「はい! …………え? 城壁?」
この時、どうして私は考えなかったのでしょうか。王家と公爵家の血筋である自分が、稀のケースである可能性を。先生が私を見た瞬間に迷わず自分に結界を張ったことを。
測定器と先生の間には分厚い城壁が形成されました。先生は波動魔法と守護魔法が使えるみたいですね。そんなことより…………つまりそういうことね。
測定器は私の目の前で大爆発を起こす。当然、目の前にいた私は思いっきり後方に吹き飛ばされることになりますが、そこはさすがだと思いました。爆破に襲われる直前、私の真横で控えていたスザンヌが付与魔法で私を無敵化しました。
他のクラスメイト達もAクラスは守護魔法に適性を持つ生徒が在籍しているおかげで多重防壁が形成されて難を逃れました。
「えーっとぉ、クリスティーンさんはぁ…………測定不能ねぇ」
「えぇ…………」
魔力測定器はよく爆発するそうですが、時空魔法の使い手がさっさと直してしまいました。私も今度から物を壊したら時間戻そっと。
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