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44話 ガーデンボール

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 お母様から魔法を使うことで体力切れになることに対して、魔法の使い方を上手にすることで体力消費を減らせることを学びました。

 しかし、根本的に体力がないこともやはり問題だろうと思い、私は騎士団の稽古を見に行って、私でもできることがないか参考にしに行きました。

 【橙】のワンダーオーブの攻略キャラクターでありミゲルの父でもあるガエルが部下たちに対した。

 漫画やアニメならよく見る描写って現実で見ると現実味がないのですね。

 最近では騎士団に遊びに来ることがあまりありませんでしたので、騎士たちは私を見かけて姫様が来たぞと大喜びになっています。

 練習を続けて下さい。

 私の所に騎士たちが集まり、それに気付いたガエルが、彼らをかき分けて私の目の前までやってきました。

「姫様じゃないですか? 今日は何の用で?」

「そのこないだ魔力切れを起こして倒れてしまい、体力をつけようかと思って騎士団を参考に」

「…………お言葉ですが姫様。騎士団の訓練を参考にされてしまったら、姫様がぶっ倒れてしまいます」

 確かにそれもそうよね。何を考えていたのでしょう私。ガエルの真似なんて当然できませんし、彼らの訓練ははっきり言ってスパルタ。

 昭和の企業で俺は鍛えられたんだってどや顔してきた上司が泣いて逃げ出しそうな環境です。

 ここで参考にできることはない。となると、他を当たるしかありませんね。

「お待ちください姫様」

「何でしょうか?」

「あまり姫様にオススメすることではありませんが、同年代の子供と庭園で遊ぶだけでも、体力作りになるのではないでしょうか?」

「…………いいですね。ありがとうございます騎士団長様」

 早速キッズたちを呼びましょうか。

 ミゲルとアレクシスとビルジニは呼ぶとして、一応リビオと来るかわかりませんが、ジョアサンもお呼びしましょうか。

 …………ブランクは私しかいない時しか呼べませんよね。身元の分からない人間を皆様の前にお呼びできませんわ。

 早速部屋に戻って、各自に手紙を送りました。返事はいつになることやら。

 いえ、定期的に遊びに来てくれですし、今日中に私の元に来れる子供なんていないのはわかっているのですけどね。

 とりあえず最初の集まりは明後日にしてみました。

 できるだけ大勢が宜しいと思いましたし、みんなが自由気ままに来るよりは、日にちくらい指定した方が良いわよね。



 そして当日。アレクシスは私用で領地に戻っていた為、ミゲル、ビルジニ、リビオ、ジョアサンが集まりました。

 ジョアサンはみんなと初対面である為、挨拶をしてもらい、とりあえず皆様とも普通に会話をしています。

 しかし、彼は未だに私と会話をする際、周囲を一度気にする素振りを見せ、少しだけ私を警戒しているようでした。

 今日来てくれたのは、何故かわかりませんがとにかく、なるべく親睦を深められるようにしましょう。

「それで姫様? 僕たちは何をするのですか?」

 この世界に鬼ごっこがあるのかわからないし、かくれんぼみたいなものならあるかしら?

 でも、それって体力づくりって感じはしませんし、木登りは体力切れよりも純粋に何もできなくて終わりそう。

 ですので、セシルに聞いてみたところ、なんとドッジボールのような遊びが存在していたのです。

「ガーデンボールです」

 ガーデンボール。ルールはドッジボールのようなものです。一定範囲内に置かれた無数のボールを拾い、相手に投げつける遊び。

 ぶつかったらその時点で退場。頭部はノーカウント。

 最後まで残ったら勝ちになり、それを複数回繰り返し、より多く生き延びた回数を競う遊びです。

「始めるわよ!」

 私とビルジニは動きやすいワンピースでしたが、男子たちとセシルから指摘されてズボンを履くことになりました。

 みんな幼児ですし、別にいいのに。

 庭園はガーデンボールをやる為に壊れやすいものをすべてに魔法で結界を張ってもらいました。

 ゲーム開始から早速私の目の前に現れたのはリビオ。彼はあまり運動をしないイメージですし楽勝よね。

 私が拾ったボールを投げようとすると、彼がボールを投げてきました。しまった。もうすでに拾っている。

 初戦、私はゲーム開始直後に退場になりました。

 二戦目ではそういうことも警戒しつつ、ジョアサンを後ろから奇襲しようとするものの、あっさりバレて撃退。

 三戦目はミゲルを狙いましたが、あっさりカウンターを食らって退場。

 これはもうあれよ。

 プライドを捨てて逃げ回りましょう一度も回避できていない自分を思い出し、まずはそちらを専念して、隙をみてカウンター。

 そう思い最初に見つけたビルジニが投げてくるのを待ち、ビルジニも私の動くタイミングを見計らっています。

 武士の立ち合いみたいね。

 そして痺れを切らしたビルジニが投球モーションに入り、私はその動きを見極めようとうまく観察しようとしましたが、彼女はボールを投げずにそのまま腕を振り下ろしました。

 回避するつもりだった私は一瞬、動きが止まり、その隙に彼女にボールを当てられてしまいました。フェイント!?

 結局、その日は誰にも勝てずにすべての試合で一番最初に退場してしまいました。
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