空が晴れたら

Sukesuke

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改めて、僕の名前は山辺空
中学生のときのいじめがきっかけで人間らしく生きることをやめて一人で学校生活を送っている高校一年生である。

人間らしくいることをやめたといっても
魔法使いになれるわけでもないし、異世界にいけるわけでもないし、別のものに転生できるわけでもない、ただ一人で生きていくと決めただけだ。

一人で生きていくといっても僕はまだ大人ではないから生きていくためのお金は父親に養ってもらっているし、小学生のときに亡くなった母親の代わりに中学生になった妹が家の家事全般をこなしてくれている
一人で生きていくと決めたが一人で生きていくことは今の僕にはできないのが現実だ。

学校で誰かと関わることでまたいじめにあったり、嫌がらせをされたりするかもしれないので、一人でいる。一人で生きていけば誰かに迷惑をかけることもないし、自分が何かをされる理由を作らないで済む。
でも、普通の生活を送るには生きて行くには一人では無理だと思う。でも学校での僕は一人で生きていくことができる。
中学生のいじめの件があってから僕は学校で笑ったことが何回あるのだろうか
ぱっと考えてもすぐに思いつかないということは数えるくらいだろう。
その笑った内容も友達と話すことがまったくないので、先生のくだらない話ぐらいだろう

例えば他の同級生に
『お前の人生って楽しいの?』と聞かれたとする
僕は間違いなく楽しいと答えるだろう。
一人でいること=が楽しくないと思わないでほしい
そしてみんなの楽しいと僕の楽しいは同じではないということだ
僕はアニメが好きで、ネトゲも好きだ。漫画も好きだ
学校から帰ってご飯を食べて、お風呂に入って、宿題をして
自分の好きなことをする。これは楽しいではないのだろうか
だから僕は楽しいの?と聞かれた楽しいと答えることができる

それでも楽しくないことだってある
そりゃ人間なので自分の中で楽しいと思えることがあるように
楽しくないと思うことだってたくさんある。
僕の家は学校からバスで40分ぐらいのところにある
海が近くにあるところに住んでいる。
なのでたまに海に行って夕日が落ちるのをぼーーっと眺めていることもある

そして今がそうだ。
今日学校で授業中にお腹が痛くなってコミュ障の僕が授業中に
『先生、トイレにいっていいですか』と授業を中断してから
発言するのはハードルが高すぎた。
クラスメイトの子たちから
『山辺の声久しぶりに聞いた』『幽霊が喋った』という声が聞こえてきた
陰口はしっかり陰で言えよと心の中で叫びたくなったけど
お腹がそれどころではなかったのでトイレに走ったというエピソードがあり
なので学校から下校した今、近所の海で『今度からトイレは早めに行こう』と反省していたところだった。

正直もっと強くなりたいとは思っている
一人で生きていくと決めたからにはもっと強くならないと
こんなことで落ち込むぐらいではダメなんだと自分の中ではわかっているのに
強くなれないという現実にいつも打ちひしがれてこうやって近所の海で反省するのだ
自分の中で決意するのは誰だってできるし、誰かに頼ることも悪いことではないし、むしろそっちの方が楽なんではないかと思う。でも人に頼ることができる人とできない人がいる。僕は後者のできない人だ。だからいつも1人で悩んで、答えを出す方法しかできない。そして今日も自分の中で色々考えて、よし!!明日は今日よりも強くなるぞ。と決意して家に帰るのだった。帰ろうとした時に見た夕日がいつもよりちょっと綺麗に見えた。



『ねぇ。』

ふいに声をかけられた

『ここでなにしているの?』

夕日と被ってまぶしくて顔が見えないけど声で女の子だと思った

『君はいつも一人だね』

これが山辺空と桜井光の最初の出会いだった。

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