71 / 96
第71話 オルキデア・ロッサの肉
しおりを挟む「ほう。なかなか様になるな。おまえの可愛いところに、風流なものがぶら下がって。ほら、」
「ああっ」
紐部分とおなじく古代紫の糸房の先を、男はおもしろがって指差す。
「うう……」
竹弥は屈辱に呻いた。
だが優美な糸先が、竹弥自身からからまり落ちている様は、滑稽でいて、なんともいえない雅やかさがあり、たしかに男が笑いながら言うように、〝絵になっている〟のだ。
「いいな。色っぽいぞ」
感心したように言うと、思い出したようにさらに男は告げた。
「せっかくだから、これも写真に撮っておくか」
竹弥は悲鳴をあげていた。
「や、やめろ! た、たのむ、止めろ!」
すでに恥ずかしい姿を写真に撮られているが、あらためてこんな生き恥さらしている姿を後に残されるのかと思うと、いっそ今ここで死にたい。
「やめろったら!」
杉屋は聞く耳もなく、写真を撮る準備にかかっている。その後ろ姿に竹弥は毒づいた。
「畜生! やめろったら!」
竹弥は無我夢中で首を横にふり、必死に懇願し、やぶれかぶれになって言いはなった。
「よ、よせ! 後生だから、頼むから! くそぉ、舌噛んで死んでやるからな!」
「それは困るな」
杉屋はすこしも困っていない様子で、辺りを見回すと、室の片隅にまとめて置いていたらしい衣服に目をむけた。竹弥の着ていたものだ。
「ふうむ」
一瞬、考えこむような顔を見せてから、背をかがめた。
息も絶え絶えになっていた竹弥は、ふたたび近づいてきた杉屋が手にしているものを見て目を剝いた。
「舌を噛まれたら困るからな。これでも咥えていろ」
「あうっ!」
男が口のなかに強引に突っ込んできたものが、自分の下着だとわかると、壮絶な憎悪と悔しさに竹弥は全身を火のごとく燃やした。
だが、戒められた身体ではそれ以上抵抗もできず、男のまえにその後も生き恥を晒しつづけるしかない。
「ああっ」
紐部分とおなじく古代紫の糸房の先を、男はおもしろがって指差す。
「うう……」
竹弥は屈辱に呻いた。
だが優美な糸先が、竹弥自身からからまり落ちている様は、滑稽でいて、なんともいえない雅やかさがあり、たしかに男が笑いながら言うように、〝絵になっている〟のだ。
「いいな。色っぽいぞ」
感心したように言うと、思い出したようにさらに男は告げた。
「せっかくだから、これも写真に撮っておくか」
竹弥は悲鳴をあげていた。
「や、やめろ! た、たのむ、止めろ!」
すでに恥ずかしい姿を写真に撮られているが、あらためてこんな生き恥さらしている姿を後に残されるのかと思うと、いっそ今ここで死にたい。
「やめろったら!」
杉屋は聞く耳もなく、写真を撮る準備にかかっている。その後ろ姿に竹弥は毒づいた。
「畜生! やめろったら!」
竹弥は無我夢中で首を横にふり、必死に懇願し、やぶれかぶれになって言いはなった。
「よ、よせ! 後生だから、頼むから! くそぉ、舌噛んで死んでやるからな!」
「それは困るな」
杉屋はすこしも困っていない様子で、辺りを見回すと、室の片隅にまとめて置いていたらしい衣服に目をむけた。竹弥の着ていたものだ。
「ふうむ」
一瞬、考えこむような顔を見せてから、背をかがめた。
息も絶え絶えになっていた竹弥は、ふたたび近づいてきた杉屋が手にしているものを見て目を剝いた。
「舌を噛まれたら困るからな。これでも咥えていろ」
「あうっ!」
男が口のなかに強引に突っ込んできたものが、自分の下着だとわかると、壮絶な憎悪と悔しさに竹弥は全身を火のごとく燃やした。
だが、戒められた身体ではそれ以上抵抗もできず、男のまえにその後も生き恥を晒しつづけるしかない。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

杜の国の王〜この子を守るためならなんだって〜
メロのん
ファンタジー
最愛の母が死んだ。悲しみに明け暮れるウカノは、もう1度母に会いたいと奇跡を可能にする魔法を発動する。しかし魔法が発動したそこにいたのは母ではなく不思議な生き物であった。
幼少期より家の中で立場の悪かったウカノはこれをきっかけに、今まで国が何度も探索に失敗した未知の森へと進む。
そこは圧倒的強者たちによる弱肉強食が繰り広げられる魔境であった。そんな場所でなんとか生きていくウカノたち。
森の中で成長していき、そしてどのように生きていくのか。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

お帰り転生―素質だけは世界最高の素人魔術師、前々世の復讐をする。
永礼 経
ファンタジー
特性「本の虫」を選んで転生し、3度目の人生を歩むことになったキール・ヴァイス。
17歳を迎えた彼は王立大学へ進学。
その書庫「王立大学書庫」で、一冊の不思議な本と出会う。
その本こそ、『真魔術式総覧』。
かつて、大魔導士ロバート・エルダー・ボウンが記した書であった。
伝説の大魔導士の手による書物を手にしたキールは、現在では失われたボウン独自の魔術式を身に付けていくとともに、
自身の生前の記憶や前々世の自分との邂逅を果たしながら、仲間たちと共に、様々な試練を乗り越えてゆく。
彼の周囲に続々と集まってくる様々な人々との関わり合いを経て、ただの素人魔術師は伝説の大魔導士への道を歩む。
魔法戦あり、恋愛要素?ありの冒険譚です。
【本作品はカクヨムさまで掲載しているものの転載です】

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
羽海汐遠
ファンタジー
最強の魔王ソフィが支配するアレルバレルの地。
彼はこの地で数千年に渡り統治を続けてきたが、圧政だと言い張る勇者マリスたちが立ち上がり、魔王城に攻め込んでくる。
残すは魔王ソフィのみとなった事で勇者たちは勝利を確信するが、肝心の魔王ソフィに全く歯が立たず、片手であっさりと勇者たちはやられてしまう。そんな中で勇者パーティの一人、賢者リルトマーカが取り出したマジックアイテムで、一度だけ奇跡を起こすと言われる『根源の玉』を使われて、魔王ソフィは異世界へと飛ばされてしまうのだった。
最強の魔王は新たな世界に降り立ち、冒険者ギルドに所属する。
そして最強の魔王は、この新たな世界でかつて諦めた願いを再び抱き始める。
彼の願いとはソフィ自身に敗北を与えられる程の強さを持つ至高の存在と出会い、そして全力で戦った上で可能であれば、その至高の相手に完膚なきまでに叩き潰された後に敵わないと思わせて欲しいという願いである。
人間を愛する優しき魔王は、その強さ故に孤独を感じる。
彼の願望である至高の存在に、果たして巡り合うことが出来るのだろうか。
『カクヨム』
2021.3『第六回カクヨムコンテスト』最終選考作品。
2024.3『MFブックス10周年記念小説コンテスト』最終選考作品。
『小説家になろう』
2024.9『累計PV1800万回』達成作品。
※出来るだけ、毎日投稿を心掛けています。
小説家になろう様 https://ncode.syosetu.com/n4450fx/
カクヨム様 https://kakuyomu.jp/works/1177354054896551796
ノベルバ様 https://novelba.com/indies/works/932709
ノベルアッププラス様 https://novelup.plus/story/998963655

ブチ切れ世界樹さんと、のんびり迷宮主さん
月猫
ファンタジー
異世界へ拉致された主人公。目が覚めた先はボロボロの世界樹の中だった?!
迷宮の主となった主人公は、ダンジョンの能力【創造】により全く新しい”モノ”を世界に作り出し、現状の打破に挑む。
新しい魔物を創ったり、予想外な成長に困惑したり。
世界樹の愚痴を聞いたり、なだめたり。
世界樹のため、世界のため、世界樹の治療と環境改善を目指し、迷宮はどんどん大きくなる。そんなお話。
始めは少々危険な場面がありますが、ダンジョンが成長してからはその様な場面は少なくなり、周りの生物の方がダンジョンに抗う感じになります。
俺TUEEEならぬ、ダンジョンTUEEEもの。チート能力ならぬ、チートダンジョンの予定。
(チート能力者が居無いとは言っていない)
初投稿です。山なし谷なし作品ですが、暖かい目でみてください。
異世界なのだから、元の世界の常識が当てはまらなくても、おかしくないのでは? をコンセプトに、スキルやら魔法やらの仕組みを表現できたらと思っています。
※「小説家になろう」にも掲載
※ストックが切れたら、更新が遅くなると思います、ご容赦下さい
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる