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第46話 次元門《ゲート》の「設定」
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二人は「カレー」を食べ終えると、グラスの水を飲み、ひと息をつく。
ユーヒは水がグラスに入っていることに今さらながらに驚いていた。
そう言えば、これまであまり気にしなかったが、シルヴェリアのエリシア大神殿のステンドグラスや、各街の家々に「ガラス」が使用されていることを思い出す。
ガラス工芸の分野はしっかりと発展しているのだろう。
「ねえ、ルイジェン。さっきの「次元門」の話だけど、亜人族世界への「次元門」はレトリアリアで、精霊族世界への「次元門」はアーレシアにあるのかな?」
「ああ、そうだよ。亜人族世界への「次元門《ゲート》」はレトリアリア王都レトリアーノ近郊のブラインドフォール大滝、妖精族世界への「次元門」はキト丘陵の先、へーデルの泉にあるよ」
やはり、そうだ。
妖精族世界への「次元門」が存在するのはミンチャの南の森と言っていた。たしか、「気休めの森」のはずだ。
今聞いた3カ所は、夕日の物語のなかでは「次元門《ゲート》」が在ったというわけではなく、「次元門」の「接続基」が在ったという方が正しい。
そもそも、魔族世界を除く五属世界は、互いに行き来できる状況ではなかった。
それぞれが個別に独立した世界であって、互いに干渉できない関係であった。
その世界同士をつなげるにはそれぞれの特異点において、術式を発動し、「次元回廊」を開通させる必要があったのだが、その特異点がつまり各地の「接続基」である。
夕日の物語の中で、主人公であるアルたちは、3つの次元回廊を開通するために世界を旅してまわるのだが、その3つが、「気休めの森の大スギ」、「レトリアーノ近郊のブラインドフォール大滝」、そして、「キト丘陵のへーデルの泉」の3カ所だった。
この世界では、その3カ所に「次元門」が存在していて、互いに行き来できるようになっているが、ルイジェンによると「次元門」を好きな場所に呼び出せる魔法は「ない」らしい。
「存在しない」のか、「使われていない」のか、はたまた、「伝えられていない」のかは、エリシアに尋ねればわかるだろう。
そうした時に、一つの疑問が沸き上がる。
実は、夕日の物語において、竜族世界との「接続基」についての詳細は記述した覚えがない。場所は「永久雪原」のどこかという漠然としたもので、構想上は、ポート・アルトのずっと西、というような想いだった。
竜族世界への「次元門」がもし、その場所にあるのなら、おそらく竜族以外の人種がその「次元門」を利用するのはかなり難しいのではないだろうかと思う。
「えっと、竜族世界との間の「次元門」はどこにあるの?」
「竜族世界との「次元門」は永久雪原だ」
やっぱり――。
「――でも、永久雪原だと、竜族以外はかなり使いづらいんじゃないの?」
「確かにあそこは大変だったよ。俺も一度だけ行ったんだけど、もう寒さがとんでもないレベルだったからなぁ。実はその時は竜族の人と一緒だったのさ。それで、その人が竜変化して、運んでもらった」
なるほど――。
「まあ、竜族がいなくても行けるんだけどな。ポート・アルトの西、永久雪原との接点にリューラという街があるんだ。そこには魔術士たちが常駐しているのさ。その魔術士たちが保温しながら付き添ってくれるんだよ」
ほうほう、リューラという街の名は初めて聞く名だ。
ルイジェンの話によると、周回航路の寄港地のひとつで、ポート・アルトの次の港ということらしい。
「――あ……」
思わずユーヒが声を漏らしてしまった。
「なんだよ?」
と、ルイジェン。
「あ、いや、もしかしてその竜族の人って――」
「ん? ああ、メルリアさまだよ」
やはりそうだったか。
メルリアはアリアーデとルシアスの子で人竜半血だ。
彼女の竜変化については可不可を規定していなかったはずだが、どうやら可能だったようだ。
こうしていろいろと聞くほどに、少しずつ世界の建付けが肉付けされていくのがとても新鮮で楽しい。
今思い返してみても、結構なところで設定が放置してあったり、場所が不明確であったりするところがかなりある。
そういうところがこの1200年ほどの間に、いろいろな変化として現れたり、そもそもそうだったのかと思い知らされたりすることが、とても興味をそそられるのだ。
やっぱり、世界中を見て回りたいなぁ――という思いが胸を突き上げてくる。
とくに、永久雪原のそのリューラという街にはぜひ行ってみたいし、各地の元「接続基」である、現「次元門」もくぐって他の世界も見てみたい。
中でも、どれかしか行けないとしたら、やはり、竜族世界だ。
いまや竜族世界は、魔族と竜族が共存している世界になっているはずで、魔族と竜族が協力して発展させた今をぜひ実際に見てみたい。
ユーヒは、自分の中で、このクインジェムに対する執着が少しずつ強くなっていくのをもう否定できなくなってきている。
ユーヒは水がグラスに入っていることに今さらながらに驚いていた。
そう言えば、これまであまり気にしなかったが、シルヴェリアのエリシア大神殿のステンドグラスや、各街の家々に「ガラス」が使用されていることを思い出す。
ガラス工芸の分野はしっかりと発展しているのだろう。
「ねえ、ルイジェン。さっきの「次元門」の話だけど、亜人族世界への「次元門」はレトリアリアで、精霊族世界への「次元門」はアーレシアにあるのかな?」
「ああ、そうだよ。亜人族世界への「次元門《ゲート》」はレトリアリア王都レトリアーノ近郊のブラインドフォール大滝、妖精族世界への「次元門」はキト丘陵の先、へーデルの泉にあるよ」
やはり、そうだ。
妖精族世界への「次元門」が存在するのはミンチャの南の森と言っていた。たしか、「気休めの森」のはずだ。
今聞いた3カ所は、夕日の物語のなかでは「次元門《ゲート》」が在ったというわけではなく、「次元門」の「接続基」が在ったという方が正しい。
そもそも、魔族世界を除く五属世界は、互いに行き来できる状況ではなかった。
それぞれが個別に独立した世界であって、互いに干渉できない関係であった。
その世界同士をつなげるにはそれぞれの特異点において、術式を発動し、「次元回廊」を開通させる必要があったのだが、その特異点がつまり各地の「接続基」である。
夕日の物語の中で、主人公であるアルたちは、3つの次元回廊を開通するために世界を旅してまわるのだが、その3つが、「気休めの森の大スギ」、「レトリアーノ近郊のブラインドフォール大滝」、そして、「キト丘陵のへーデルの泉」の3カ所だった。
この世界では、その3カ所に「次元門」が存在していて、互いに行き来できるようになっているが、ルイジェンによると「次元門」を好きな場所に呼び出せる魔法は「ない」らしい。
「存在しない」のか、「使われていない」のか、はたまた、「伝えられていない」のかは、エリシアに尋ねればわかるだろう。
そうした時に、一つの疑問が沸き上がる。
実は、夕日の物語において、竜族世界との「接続基」についての詳細は記述した覚えがない。場所は「永久雪原」のどこかという漠然としたもので、構想上は、ポート・アルトのずっと西、というような想いだった。
竜族世界への「次元門」がもし、その場所にあるのなら、おそらく竜族以外の人種がその「次元門」を利用するのはかなり難しいのではないだろうかと思う。
「えっと、竜族世界との間の「次元門」はどこにあるの?」
「竜族世界との「次元門」は永久雪原だ」
やっぱり――。
「――でも、永久雪原だと、竜族以外はかなり使いづらいんじゃないの?」
「確かにあそこは大変だったよ。俺も一度だけ行ったんだけど、もう寒さがとんでもないレベルだったからなぁ。実はその時は竜族の人と一緒だったのさ。それで、その人が竜変化して、運んでもらった」
なるほど――。
「まあ、竜族がいなくても行けるんだけどな。ポート・アルトの西、永久雪原との接点にリューラという街があるんだ。そこには魔術士たちが常駐しているのさ。その魔術士たちが保温しながら付き添ってくれるんだよ」
ほうほう、リューラという街の名は初めて聞く名だ。
ルイジェンの話によると、周回航路の寄港地のひとつで、ポート・アルトの次の港ということらしい。
「――あ……」
思わずユーヒが声を漏らしてしまった。
「なんだよ?」
と、ルイジェン。
「あ、いや、もしかしてその竜族の人って――」
「ん? ああ、メルリアさまだよ」
やはりそうだったか。
メルリアはアリアーデとルシアスの子で人竜半血だ。
彼女の竜変化については可不可を規定していなかったはずだが、どうやら可能だったようだ。
こうしていろいろと聞くほどに、少しずつ世界の建付けが肉付けされていくのがとても新鮮で楽しい。
今思い返してみても、結構なところで設定が放置してあったり、場所が不明確であったりするところがかなりある。
そういうところがこの1200年ほどの間に、いろいろな変化として現れたり、そもそもそうだったのかと思い知らされたりすることが、とても興味をそそられるのだ。
やっぱり、世界中を見て回りたいなぁ――という思いが胸を突き上げてくる。
とくに、永久雪原のそのリューラという街にはぜひ行ってみたいし、各地の元「接続基」である、現「次元門」もくぐって他の世界も見てみたい。
中でも、どれかしか行けないとしたら、やはり、竜族世界だ。
いまや竜族世界は、魔族と竜族が共存している世界になっているはずで、魔族と竜族が協力して発展させた今をぜひ実際に見てみたい。
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