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第7話 驚愕の新設定「パラメータ・ウインドウ」!
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この世界――名前は『クインジェム』という。
夕日は書かなかったはずだが、どうしてかその名前は付けられていた。
そう言えば、隣にいるルイジェンと初めて出会った時、彼が名乗りを上げた言葉の中にその名があったことを思い出す。
「クインジェムの蒼龍――って、その称号って、正式なものなのかい?」
ユーヒは若干疑いの色を含んだ目で、ルイジェンの方を見やった。
「は? べ、べつにいいだろ? それは、その場の勢いってやつだ――」
やはり、正式な「二つ名」ではなかったようだ。
二つ名と言えば、「英雄王」がすぐに思いつく。
シルヴェリア王国の王、フェルト・ウェア・ガルシア2世。彼は、対魔族との戦いにおいて、この人族世界をまとめ上げ、ひいては他の四属世界の住人達と協力し、押し寄せる魔族の脅威から『世界の柱』を守るために動いた人物だ。
その「英雄王」が納めていた国が今でもその名を残している。
――シルヴェリア王国。
その国は今もなおこの世界において冒険者ギルドの本部と国際魔法庁の本部を抱える、超重要国家であるらしい。
そればかりか、シルヴェリア王都に存在するエリシア大神殿は、この世界唯一の交信所として、現在もなお、大神官たち交信者が引き継ぎ、エリシア神との交信を続けているという。
(エリシアなら、僕が元の世界に戻れる方法を知っているかもしれない――)
ユーヒはそこに頼るしかないと今は思っている。
ただ、現在の自分の境遇は、ただの素性不明の見習冒険者で、エリシアと話すことなど夢のまた夢だ。
そのため、どうにか、エリシアと話せるよう行動しなければならないわけだが――。
「ぐぬぬぬぬぬうぬううううううう~~~!!」
ユーヒは奇声を上げながら、畑の真ん中で奮闘している。
「ううう!! おわっ――!?」
ドスン!!
「てててて……、思いっきり尻もちついちゃったよ?」
だがその甲斐あって、目的は達成できた。ユーヒの手には大きなカブが握られている。
「ははは、だせえぞ、ユーヒ!? ほらよっと!」
隣でルイジェンは、すぽんっと軽々抜いてしまう。
やはり、なんだかんだ言ってもルイジェンは銀級冒険者だ。やはり、鍛えられ方が違う。
ユーヒはと言えば、まだ見習冒険者一日目。今日から始まったばかりの冒険者生活なのだ。初めからなんでもうまくいかないのはもちろん承知している。
「まあ、あまり気にするな! 見習冒険者なんだからそんなものさ! でも、クエストをこなせばパラメータが上がって、体も強くなるし、スキルも覚える。もし魔法適正があれば――」
「な!? なんだって――!?」
「んあ? だーかーらー、パラメータが上がってだな……」
「なんだよ、その「パラメータ」って――!?」
「はあ? 何言ってるんだよ? パラメータってのは、体の強さとか素早さとかそういうものを数値化したもので――」
「ちょ、ちょっと待って! それって確認できるの?」
「あ、ああ、もちろんさ、こうやってこうだ。やってみろよ?」
そう言ってルイジェンは左手の人差し指で四角い枠を書いて見せた――。
「もちろん、自分以外の人のは見えないぜ? その人の数値とか見えたら、いろいろと面倒だからな――」
ユーヒはルイジェンのやったように倣って同じ動作をしてみる。
すると、その枠を作った辺りに半透明の窓のようなものが浮かび上がり、数値が書かれているのが見えた。
「なんだこれ――。これは、この世界の人みんなが出来るのか?」
「いや、冒険者証を持っている者だけだよ。しかも、作戦行動中だけ確認できるって限定付きさ――」
「作戦行動中?」
「まあ、依頼書の依頼を受けてから、終了報告するまでってことだな」
(なんという事だ――。僕が書いた物語にはこんな「設定」は無かった。これはとんでもない仕様だ)
いわゆる、「半透明の窓枠」つまり、ウインドウだが、そんなものが宙に浮かんで自分にだけ見えるという。確かに、言われた通り、ルイジェンのウインドウは全く見えないが、自分のものだけははっきり見える。
そのウインドウには小さな三角形がついている箇所があり――。
「もしかしてこの三角――」
ユーヒはその三角をタッチしてみる。
「やっぱり! この枠はスキル!! って、何にもないじゃないか――」
がっかりするユーヒに向かって、ルイジェンが声を掛ける。
「当たり前だろ? まだ今日始めたばかりなんだから、何もないに決まってるじゃないか。スキルってのは、そう易々と手に入るものじゃないんだよ? 俺だって――あ、いや、これは企業秘密だ。危うくばらしてしまいそうになったぜ?」
とにかく、こんな便利なものが使えるってのは大きい事実だ。どうやらこの技術が確立してからはまだ数十年しかたっていないらしい。だけど、この技術が確立されたおかげで、冒険者のMIA(ミッシング・イン・アクション)、つまり、作戦行動中行方不明が大幅に減ったそうだ。
その後、ユーヒはパラメータ画面を閉じて、作業を再開する。
そうしてその日、初めての依頼をこなしたユーヒは、冒険者ギルドに戻って依頼完了報告を終えると、明日の依頼受注が待ち遠しくて仕方なかった。
(パラメータ、上がってるといいな――)
夕日は書かなかったはずだが、どうしてかその名前は付けられていた。
そう言えば、隣にいるルイジェンと初めて出会った時、彼が名乗りを上げた言葉の中にその名があったことを思い出す。
「クインジェムの蒼龍――って、その称号って、正式なものなのかい?」
ユーヒは若干疑いの色を含んだ目で、ルイジェンの方を見やった。
「は? べ、べつにいいだろ? それは、その場の勢いってやつだ――」
やはり、正式な「二つ名」ではなかったようだ。
二つ名と言えば、「英雄王」がすぐに思いつく。
シルヴェリア王国の王、フェルト・ウェア・ガルシア2世。彼は、対魔族との戦いにおいて、この人族世界をまとめ上げ、ひいては他の四属世界の住人達と協力し、押し寄せる魔族の脅威から『世界の柱』を守るために動いた人物だ。
その「英雄王」が納めていた国が今でもその名を残している。
――シルヴェリア王国。
その国は今もなおこの世界において冒険者ギルドの本部と国際魔法庁の本部を抱える、超重要国家であるらしい。
そればかりか、シルヴェリア王都に存在するエリシア大神殿は、この世界唯一の交信所として、現在もなお、大神官たち交信者が引き継ぎ、エリシア神との交信を続けているという。
(エリシアなら、僕が元の世界に戻れる方法を知っているかもしれない――)
ユーヒはそこに頼るしかないと今は思っている。
ただ、現在の自分の境遇は、ただの素性不明の見習冒険者で、エリシアと話すことなど夢のまた夢だ。
そのため、どうにか、エリシアと話せるよう行動しなければならないわけだが――。
「ぐぬぬぬぬぬうぬううううううう~~~!!」
ユーヒは奇声を上げながら、畑の真ん中で奮闘している。
「ううう!! おわっ――!?」
ドスン!!
「てててて……、思いっきり尻もちついちゃったよ?」
だがその甲斐あって、目的は達成できた。ユーヒの手には大きなカブが握られている。
「ははは、だせえぞ、ユーヒ!? ほらよっと!」
隣でルイジェンは、すぽんっと軽々抜いてしまう。
やはり、なんだかんだ言ってもルイジェンは銀級冒険者だ。やはり、鍛えられ方が違う。
ユーヒはと言えば、まだ見習冒険者一日目。今日から始まったばかりの冒険者生活なのだ。初めからなんでもうまくいかないのはもちろん承知している。
「まあ、あまり気にするな! 見習冒険者なんだからそんなものさ! でも、クエストをこなせばパラメータが上がって、体も強くなるし、スキルも覚える。もし魔法適正があれば――」
「な!? なんだって――!?」
「んあ? だーかーらー、パラメータが上がってだな……」
「なんだよ、その「パラメータ」って――!?」
「はあ? 何言ってるんだよ? パラメータってのは、体の強さとか素早さとかそういうものを数値化したもので――」
「ちょ、ちょっと待って! それって確認できるの?」
「あ、ああ、もちろんさ、こうやってこうだ。やってみろよ?」
そう言ってルイジェンは左手の人差し指で四角い枠を書いて見せた――。
「もちろん、自分以外の人のは見えないぜ? その人の数値とか見えたら、いろいろと面倒だからな――」
ユーヒはルイジェンのやったように倣って同じ動作をしてみる。
すると、その枠を作った辺りに半透明の窓のようなものが浮かび上がり、数値が書かれているのが見えた。
「なんだこれ――。これは、この世界の人みんなが出来るのか?」
「いや、冒険者証を持っている者だけだよ。しかも、作戦行動中だけ確認できるって限定付きさ――」
「作戦行動中?」
「まあ、依頼書の依頼を受けてから、終了報告するまでってことだな」
(なんという事だ――。僕が書いた物語にはこんな「設定」は無かった。これはとんでもない仕様だ)
いわゆる、「半透明の窓枠」つまり、ウインドウだが、そんなものが宙に浮かんで自分にだけ見えるという。確かに、言われた通り、ルイジェンのウインドウは全く見えないが、自分のものだけははっきり見える。
そのウインドウには小さな三角形がついている箇所があり――。
「もしかしてこの三角――」
ユーヒはその三角をタッチしてみる。
「やっぱり! この枠はスキル!! って、何にもないじゃないか――」
がっかりするユーヒに向かって、ルイジェンが声を掛ける。
「当たり前だろ? まだ今日始めたばかりなんだから、何もないに決まってるじゃないか。スキルってのは、そう易々と手に入るものじゃないんだよ? 俺だって――あ、いや、これは企業秘密だ。危うくばらしてしまいそうになったぜ?」
とにかく、こんな便利なものが使えるってのは大きい事実だ。どうやらこの技術が確立してからはまだ数十年しかたっていないらしい。だけど、この技術が確立されたおかげで、冒険者のMIA(ミッシング・イン・アクション)、つまり、作戦行動中行方不明が大幅に減ったそうだ。
その後、ユーヒはパラメータ画面を閉じて、作業を再開する。
そうしてその日、初めての依頼をこなしたユーヒは、冒険者ギルドに戻って依頼完了報告を終えると、明日の依頼受注が待ち遠しくて仕方なかった。
(パラメータ、上がってるといいな――)
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