ヌーバニア

ヌーバス

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裸L国

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82


ヴェダは女と決まっている

ヒトリオウのように幼くして不思議な力を持つ男は
祭事官に任ぜられてしまう

女は
レイリョクを伸ばすように修行する

男は
レイリョクを消すように修行する

それが
この世界に古くからあるシキタリである

男のレイリョクは邪悪なものである
という理由が
古くから受け継がれている

ヒトリオウの不思議な力は
レイリョクではないと
山の民の祈祷師は言う

山の民は古くから
孤立した民族であった

しかしヴェダ制度というシキタリはさらに古い

孤立した山の民八部族それぞれに

多少解釈を変えながら
ヴェダ制度は受け継がれている

「レイリョクでさえない不思議な力を持つ男子が誕生したとなると

世界の国々は

ヴェダ制度を受け入れない邪悪な民族として
山の民を攻撃して
自国内に組み入れようと
するかもしれない 」


山の民の族長の一人である八頭世図は思う

八頭世図はヒトリオウの父である



83


裸L島は

竜Q国の南にある大きな島だ

南の海の民が
大きな裸L島に自然に集まってできた国が

裸L国である

裸L国と呼ばれてはいるが
国としての統制はない

国王もいない

政治もない

ただ掟はある

海賊行為をしないこと

それが一番の掟だ

海賊行為をしないことにより

自由貿易で
かなり財源の潤いがある

そのような裸L国を本格的な国としてまとめようと志す者が現れた

ドルドンと
ギナリである

知のギナリ
武のドルドン

南の海の民にはそう呼ばれている



84


「本格的に国を造るぞ
ドルドン 」

遠く竜Q国の南沿岸が見える

海の民には船に名前を付ける習慣などない

だがギナリは密かに自分の船に『ベッペ』と名付けている

どこにもいないイルカを
海の民は『ベッペ』と呼んでいる
黄金のイルカ伝説があり

黄金のイルカが深海からいつか海の民を迎えにくるという

だが今
海の民はすでに迎えを待つことに疲れている

理想を追い求める者を
どこにもいないイルカ 『ベッペ』と呼ぶのである

ギナリは自分こそ理想を追い求めるベッペであると知っているのだ

「本格的に国を造るだと?
自由貿易港としての裸Lの機能はどうなるのだ? 」

深海に声があるならこのような声であろうとギナリは思う

ドルドンは皆の前では難しい話をしない

いま船の部屋はギナリとドルドンの二人だけ

ドルドンは武勇だけではなく
知将としても世界有数であろうとギナリは思う







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