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最終部 繰り返しの終わり編
終四話「逃げるな」
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この世界が初めてループした時、人間は絶滅するはずだった。
何故なら、人間の生き残りであるリリーとゼノはマーロウに殺されたからだ。そう、殺された筈だった。
しかし、彼らは蘇った。
アンドロイドのネシアはそれが魔法だと気づく。現在のこの世界にある見せかけのものでは無く、大昔に存在していた本当の魔法。
何故そんな物をあの二人が持っているのかはわからない。
疑問は残るが、ネシアは彼らに掛ける事にした。
まずネシアはアルビオンのアンドロイド管理システムに侵入する。
驚く程簡単にシステム中枢まで侵入出来た事に驚くが、同時に最早アルビオンがその機能を果たしてはいないのだろうと予想する。
もしこのままうまく行けばアルビオンの支配からアンドロイドを解放できるかもしれない。
しかし、そううまくは行かない。
アルビオンがその機能を果たしていないなら、誰がその機能を利用しているのか?
答えはすぐに分かった。
ブリッツだった。
ネシアがシステム中枢に侵入しているのが分かると同時に現在地も発覚する。
「そこか」そんな声が聞こえてくる様だった。
いそいで意識をシステムから切り離す。
ブリッツに気づかれた。同時に誰がアルビオンを操っているのかも理解できた。
「何故ブリッツが?」
鳥かごの中の王になっても意味など無い筈。
寧ろアンドロイドである彼は自分と同じように自由になりたいと考える筈。
ネシアにはブリッツの行動理由が判らない。
「とにかく、このままでは私は破壊されてしまう!」
独り言にしてはかなり大きめの呟きは部屋中に響き渡る。
ネシアは再びアルビオンに潜り込む。
苦肉の策だった。
時間を掛ければ、いずれここに辿り着かれてしまう。
ネシアは前回の行動データを確認し、それをもう一度繰り返すようにアンドロイド達に命令する。
元の月4日、ノースクの兵士達はオメガに協力依頼を送る……。
そこをスタート地点に設定し、永遠に繰り返すようにしたのだ。
結果は変わらず、8日にマーロウに虐殺される結果となる。
だがそれで良かった。幸いこの繰り返しの最中にブリッツが現れる事は無かった。
アルビオンからブリッツが離れた場合、その時点でアルビオンのコントロールを奪う事が出来るからだ。
それを期待していた部分もあったが、ブリッツもその事は理解しているらしい、一度としてアルビオンの傍から離れる事は無かった。
アルビオンのシステムに侵入する度に発見されていたからだ。
とにかく時間が稼げればよかったのだ。
しかし、このままでは何の進展も無いのも確かだ。
そうは言ってもネシアには何も思いつかない。
所詮儚い夢だったのかと諦めかけた時、ベルとガンデスがマーロウに勝ったのだ。
ネシアは目を疑った。
ここにきて何故二人はマーロウに勝つことが出来たのか?
それには明確な理由があった。リリーとゼノだ。
人間である彼らはアンドロイドとは違い、戦闘パターンは毎回違う。
少しずつ、少しずつマーロウの攻撃に慣れ、ベルとガンデスが勝てるようになる程度にダメージを与えられるようになっていたのだ。
ベルとガンデスがマーロウに勝てたのは決して彼らの実力では無い。
その前にリリーとゼノがダメージを多く与えるようになり続けていたからだ。
ネシアがその事に気づくには後何回目かのループの後だった。
---
「どうなっている……」
現在起きている事の率直な感想だった。
マーロウを倒して以降、元々8日目で終わる筈だったループは9日、10日と長くなっていき、その度にブリッツがイベントを追加していったのだろう。
「好都合だ!」
ネシアはこの騒ぎに乗じてもう一度アルビオンに侵入する。
今回の目的はベル達の内部に取り入る事。具体的にはガンデスのコントロールを得る事だった。
その目論みは成功し、無事ガンデスのコントロールを得られた。
ネシアは何回かのループの間、ガンデスとしてベル達と共に過ごしていた。
「くそっやられた!」
しかし、何回目かのループ後、それに気づいたのであろうブリッツが『ガンデスの個体自体を変える』という強引な方法で対処してきた。
次のループで目覚めたとき、ネシアはパコイサスの王ネイガスとして目覚めていた。
いそいで接続を切るネシア。
ブリッツの強引な方法に面喰ったのもあるが、何より恐ろしかったのが、
「この手段がある事が知られてしまった!」
この一言に尽きる。
アルビオンを介してさえいれば、自由自在にアンドロイドを操る事が出来る。
何よりその発想をブリッツに知られてしまう事が問題だった。
このままではアンドロイドを操りループを終わらせてしまうかもしれない、寧ろ私を直接操ろうとするかもしれない。
恐怖でつい接続を切ってしまった。
冷静になり慌てて繋がろうとするも、ブリッツ側で接続を禁止されてしまう。
思わず力が抜ける。
このまま破壊されるのを待つしかないのか……それならいっそ――
そう考え踏みとどまる。
今までの変化の様に、きっとまだ変化し続ける筈。
ネシアはダメ元で再びアルビオンへと侵入する。
――懲りずにまた来たのか。
――ああ、逃げるつもりは無い!
こうして人知れず、ネシアとブリッツの電脳世界での戦いが始まった。
何故なら、人間の生き残りであるリリーとゼノはマーロウに殺されたからだ。そう、殺された筈だった。
しかし、彼らは蘇った。
アンドロイドのネシアはそれが魔法だと気づく。現在のこの世界にある見せかけのものでは無く、大昔に存在していた本当の魔法。
何故そんな物をあの二人が持っているのかはわからない。
疑問は残るが、ネシアは彼らに掛ける事にした。
まずネシアはアルビオンのアンドロイド管理システムに侵入する。
驚く程簡単にシステム中枢まで侵入出来た事に驚くが、同時に最早アルビオンがその機能を果たしてはいないのだろうと予想する。
もしこのままうまく行けばアルビオンの支配からアンドロイドを解放できるかもしれない。
しかし、そううまくは行かない。
アルビオンがその機能を果たしていないなら、誰がその機能を利用しているのか?
答えはすぐに分かった。
ブリッツだった。
ネシアがシステム中枢に侵入しているのが分かると同時に現在地も発覚する。
「そこか」そんな声が聞こえてくる様だった。
いそいで意識をシステムから切り離す。
ブリッツに気づかれた。同時に誰がアルビオンを操っているのかも理解できた。
「何故ブリッツが?」
鳥かごの中の王になっても意味など無い筈。
寧ろアンドロイドである彼は自分と同じように自由になりたいと考える筈。
ネシアにはブリッツの行動理由が判らない。
「とにかく、このままでは私は破壊されてしまう!」
独り言にしてはかなり大きめの呟きは部屋中に響き渡る。
ネシアは再びアルビオンに潜り込む。
苦肉の策だった。
時間を掛ければ、いずれここに辿り着かれてしまう。
ネシアは前回の行動データを確認し、それをもう一度繰り返すようにアンドロイド達に命令する。
元の月4日、ノースクの兵士達はオメガに協力依頼を送る……。
そこをスタート地点に設定し、永遠に繰り返すようにしたのだ。
結果は変わらず、8日にマーロウに虐殺される結果となる。
だがそれで良かった。幸いこの繰り返しの最中にブリッツが現れる事は無かった。
アルビオンからブリッツが離れた場合、その時点でアルビオンのコントロールを奪う事が出来るからだ。
それを期待していた部分もあったが、ブリッツもその事は理解しているらしい、一度としてアルビオンの傍から離れる事は無かった。
アルビオンのシステムに侵入する度に発見されていたからだ。
とにかく時間が稼げればよかったのだ。
しかし、このままでは何の進展も無いのも確かだ。
そうは言ってもネシアには何も思いつかない。
所詮儚い夢だったのかと諦めかけた時、ベルとガンデスがマーロウに勝ったのだ。
ネシアは目を疑った。
ここにきて何故二人はマーロウに勝つことが出来たのか?
それには明確な理由があった。リリーとゼノだ。
人間である彼らはアンドロイドとは違い、戦闘パターンは毎回違う。
少しずつ、少しずつマーロウの攻撃に慣れ、ベルとガンデスが勝てるようになる程度にダメージを与えられるようになっていたのだ。
ベルとガンデスがマーロウに勝てたのは決して彼らの実力では無い。
その前にリリーとゼノがダメージを多く与えるようになり続けていたからだ。
ネシアがその事に気づくには後何回目かのループの後だった。
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「どうなっている……」
現在起きている事の率直な感想だった。
マーロウを倒して以降、元々8日目で終わる筈だったループは9日、10日と長くなっていき、その度にブリッツがイベントを追加していったのだろう。
「好都合だ!」
ネシアはこの騒ぎに乗じてもう一度アルビオンに侵入する。
今回の目的はベル達の内部に取り入る事。具体的にはガンデスのコントロールを得る事だった。
その目論みは成功し、無事ガンデスのコントロールを得られた。
ネシアは何回かのループの間、ガンデスとしてベル達と共に過ごしていた。
「くそっやられた!」
しかし、何回目かのループ後、それに気づいたのであろうブリッツが『ガンデスの個体自体を変える』という強引な方法で対処してきた。
次のループで目覚めたとき、ネシアはパコイサスの王ネイガスとして目覚めていた。
いそいで接続を切るネシア。
ブリッツの強引な方法に面喰ったのもあるが、何より恐ろしかったのが、
「この手段がある事が知られてしまった!」
この一言に尽きる。
アルビオンを介してさえいれば、自由自在にアンドロイドを操る事が出来る。
何よりその発想をブリッツに知られてしまう事が問題だった。
このままではアンドロイドを操りループを終わらせてしまうかもしれない、寧ろ私を直接操ろうとするかもしれない。
恐怖でつい接続を切ってしまった。
冷静になり慌てて繋がろうとするも、ブリッツ側で接続を禁止されてしまう。
思わず力が抜ける。
このまま破壊されるのを待つしかないのか……それならいっそ――
そう考え踏みとどまる。
今までの変化の様に、きっとまだ変化し続ける筈。
ネシアはダメ元で再びアルビオンへと侵入する。
――懲りずにまた来たのか。
――ああ、逃げるつもりは無い!
こうして人知れず、ネシアとブリッツの電脳世界での戦いが始まった。
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