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第四章 過去編Ⅱ
真二十一話「繰り返しの中の変化」
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「うわあああああああ!」
大声を上げながら目覚めたゼノ。
その声を聞き、心配で駆け付けた仲間達。
「どうした!?」
イデアルが心配そうに見つめる。
ゼノは肩で息をしているほど呼吸が乱れている。
先ほどまで身体中を駆け巡っていた痛みは無い。
「リリー!」
身体が動く事を確認し、慌ててリリーの安否を確認する。
仲間をかき分け、部屋から飛び出し、リビングへ向かう。
リリーはリビングの椅子に座っていた。
呆然と天井を仰いでいたが、ゼノを見ると正気を取戻し急いで駆け寄ってくる。
「ゼノ! 大丈夫!? 怪我は無い!?」
「ああ、そっちこそ怪我は?」
お互いの安否を確認した二人はホッと胸をなでおろす。
「とりあえず場所を移そう」
ゼノがリリーを連れ外の林へと向かう。
---
「さてと……とりあえず何から話せばいいのか」
「あの時マーロウって人……じゃないわね、アンドロイドに殺されそうになったのまでは思えているんだけど……」
今でもはっきりと痛みを覚えている。
……筈だったが、そもそも傷一つ無い事に気づく。
ゼノの様子に気づいたリリーはゆっくりと告げる。
十年前爆発に巻き込まれながらも何故ナーファだけが死んだのか。
「私が貴方に能力を分け与えたから生きているの」
リリーは本当に魔法が使えた。リリーの能力は『回数制限つきの不老不死』だった。
リリーは唯一、この世界で本当の意味で『異端者』と言える存在だった。
爆発の直前、リリーは隣のアンドロイドに抱えられていたゼノに触れる。
リリーの魔法を発動できる条件はそれだけ、しかし、ゼノのさらに隣にいるナーファには手が届かなかった。
「不老不死って……それに回数制限? どういう事なんだ……」
「不老不死って言っても完全な物じゃないの、まず不死の部分、もちろん普通の人間が死ぬような衝撃を受ければ死ぬ。でも数時間後に蘇るの。ゾンビって言った方が適切ね」
「ゾンビ……」
「そして不老の部分。これはその通りよ、生きている限り私の肉体は老化しない。その能力を貴方に分け与えたの」
能力を分け与える。
さながら魔法のような芸当だったが、現にこうしてゼノは何事も無く動いている。
ゼノはリリーの言葉を信じるしかなかった。
「でも回数制限って」
リリーはゼノの問いに顔をしかめる。
「そこがネックというか不透明な部分があるの。文字通り、この能力には限度がある。問題はその限度が後どれくらいなのかが判らないと言う部分なの」
「残り何回生き返る事が出来るのかわからないって事か?」
「そう、さらにはこの能力はただ生き返る様になるだけ。それだけで十分かもしれないけど、それだけじゃあのマーロウってアンドロイドには勝てない」
リリーは両手でゼノの肩を掴み、より一層真剣な表情で言う。
「確かに私はあの時に能力を分け与えたわ。でも気を抜かないで。何も食べなくても死ぬ、頭を潰されても死ぬ、心臓を貫かれても死ぬ。いい? 私たちは『ただの人間』なの。いくら生き返っても強くなる訳じゃない、一度負けた相手に勝てるようになるわけじゃない」
リリーはより一層暗い表情になる。
「それに……能力を渡す条件は、自分の残りの回数を半分渡す事なの」
「え……」
「元々わからない数字が、更に少なくなる。もしかすると後十回かもしれない、五回かもしれない……」
リリーが掴むゼノの肩には痛みが走るほどになっていた。
「決して『死ねる』なんて思わないで、そんな考えじゃ、いつか本当に死んでしまう」
やがてゼノの肩の痛みは引き、代わりにリリーの顔から涙が零れ落ちる。
――あの時ナーファにも手が届いていれば。
そんな後悔の念がゼノにまで伝わって来る。
ゼノには返す言葉が思いつかなかった……。
---
しかし、リリーの思いとは裏腹に再び第四日が訪れ、ゼノとリリーはマーロウから二度目の敗北を与えられる。
五回、十回と繰り返してはマーロウに殺される。
「くそっ! いくらやっても勝てない!」
ゼノは二十を越えた辺りから死んだ回数を数えるのを止めた。
幸い蘇りの回数が無くなる事は無く、リリーも同じく生きている。
「ゼノ、いくらやっても勝てるビジョンが見えないの……何か別の方法を考えましょう」
「別の方法ったってどうするんだよ!」
何回も死に続けた二人は毎回死んでしまう程の痛みを受けていた。
肉体は元に戻っても、精神は戻らない。
二人にとってマーロウは恐怖の象徴となっていた。
もう打つ手は無いのだろうか?
また今回もノースクの兵士達がアジトを訪れる。
いくら言い争っても、いくら考えても案は出ず、時間だけが過ぎて行く。
諦め掛けていた二人を他所にノースクの兵士達が依頼を申し込む。
もちろんガンデスは了承し、四日にノースク近くの村を訪れる事になる。
また始まる、きっと今回も死ぬんだろう。
まだ蘇りの回数が残っている事を祈ることしか出来ずにいたゼノは耳を疑った。
「俺は行かない」
イデアルははっきりと行かないと言った。
「は……? 行かないって言ったのか?」
リリーも驚いた表情をしている。
ナーファ、ガンデス、ベルは時が止まったかの様に動かなくなってしまう。
その様子を見たイデアルは苛つきを露わにしアジトの外へと飛び出して行く。
「待って!」
数秒フリーズしてしまったリリーは慌ててイデアルを追いかける。ゼノもはっとして更にリリーを追いかける。
---
「随分と早い修正だな」
自分に追いついてきたリリーを前によくわからない事を言い放つイデアル。
「イデアル、貴方何故行かないなんて!」
ようやくゼノも追いついてくる。
イデアルは我慢の限界とばかりに捲し立てる。
「ふざけるな! 馬鹿にするのも大概にしろ!」
「ちょっと!?」
「落ち着けよイデアル!」
「落ち着いてられるか!」
イデアルはかなり動揺している様だ。
同時に怯えてもいるらしい。
「お前達は何故生きている!? 俺達はアンドロイドだ、あの光の後に全アンドロイドが修理され、又四日目から繰り返している、時間が戻ったかのように。お前達は『人間』だと言った! あの時マーロウに殺された筈だ、何回もな!」
ゼノとリリーはイデアルが何故これ程怯えているのか理解した。
――お前達は本当に人間なのか?だとしたら何故生きている?
はっきりと口には出さないが、きっとそう感じているのだろう。
意を決して二人が能力の事を話す。
「そんな話が信じられる訳ないだろう!」
「だが、修理されていると言ったな? その時に俺達は居たか?」
「それは……」
アンドロイドである確証は無い、だが同時に人間である確証も無い。
イデアルは黙り込んでしまった。
「ちょっと待って? 修理と言ったの?」
リリーが口を挟む。
「修理って誰がやっているの? アルビオンが?」
「それは分からない、だがアルビオンでは無いのは確かだ」
「アルビオンは敵ではない……?」
ゼノが言う『敵』というのがどういうものを指すのかわからないが、リリーとゼノにとってはアルビオンは敵と判断するには十分すぎる程憎むべき相手だった。
「いや、そのアルビオンを裏で操っている奴がいる……と思う」
「思うって、確定してないのか?」
「仕方ないだろう? 正体が掴めない、正直に言うと俺からすればお前達も怪しいんだ。もしかしたらグルかもしれない」
「はあ!?」
思わず拳に力が入るゼノをリリーが止める。
「ここでそんな挑発をしても意味が無いでしょう? それにこっちにだって聞きたいことがあるの」
リリーはイデアルに何故今までと違う行動をしたのかを問いただす。
すると一つの赤い石を取り出す。
「これを持っているからだ」
「それは?」
「ベルナンドというものだ、これを持っていればアルビオンからの命令を無視する事が出来る」
ゼノは「じゃあ他の皆は?」と聞く。
「ああ、アルビオンによって操られている」
「そして何者かがアンドロイドを修理している……」
「そいつら別者で、だが敵であることには間違いないって事か」
イデアルがアジトの方へと帰り始める。
「ちょっと!」
「おい!」
急いで追いかける二人。
「正直お前達が人間だろうが、アンドロイドだろうがどっちでもいいんだ。問題は敵なのか味方なのかだ」
「何回も言ってるだろ、俺達は味方だ」
ゼノの言葉にイデアルの足が止まる。
前を向いていたイデアルはゼノの方に向き直り言う。
「だったら次にマーロウと戦う時に証明して見せてくれ」
イデアルはそれだけ言うと再び歩き出す。
大声を上げながら目覚めたゼノ。
その声を聞き、心配で駆け付けた仲間達。
「どうした!?」
イデアルが心配そうに見つめる。
ゼノは肩で息をしているほど呼吸が乱れている。
先ほどまで身体中を駆け巡っていた痛みは無い。
「リリー!」
身体が動く事を確認し、慌ててリリーの安否を確認する。
仲間をかき分け、部屋から飛び出し、リビングへ向かう。
リリーはリビングの椅子に座っていた。
呆然と天井を仰いでいたが、ゼノを見ると正気を取戻し急いで駆け寄ってくる。
「ゼノ! 大丈夫!? 怪我は無い!?」
「ああ、そっちこそ怪我は?」
お互いの安否を確認した二人はホッと胸をなでおろす。
「とりあえず場所を移そう」
ゼノがリリーを連れ外の林へと向かう。
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「さてと……とりあえず何から話せばいいのか」
「あの時マーロウって人……じゃないわね、アンドロイドに殺されそうになったのまでは思えているんだけど……」
今でもはっきりと痛みを覚えている。
……筈だったが、そもそも傷一つ無い事に気づく。
ゼノの様子に気づいたリリーはゆっくりと告げる。
十年前爆発に巻き込まれながらも何故ナーファだけが死んだのか。
「私が貴方に能力を分け与えたから生きているの」
リリーは本当に魔法が使えた。リリーの能力は『回数制限つきの不老不死』だった。
リリーは唯一、この世界で本当の意味で『異端者』と言える存在だった。
爆発の直前、リリーは隣のアンドロイドに抱えられていたゼノに触れる。
リリーの魔法を発動できる条件はそれだけ、しかし、ゼノのさらに隣にいるナーファには手が届かなかった。
「不老不死って……それに回数制限? どういう事なんだ……」
「不老不死って言っても完全な物じゃないの、まず不死の部分、もちろん普通の人間が死ぬような衝撃を受ければ死ぬ。でも数時間後に蘇るの。ゾンビって言った方が適切ね」
「ゾンビ……」
「そして不老の部分。これはその通りよ、生きている限り私の肉体は老化しない。その能力を貴方に分け与えたの」
能力を分け与える。
さながら魔法のような芸当だったが、現にこうしてゼノは何事も無く動いている。
ゼノはリリーの言葉を信じるしかなかった。
「でも回数制限って」
リリーはゼノの問いに顔をしかめる。
「そこがネックというか不透明な部分があるの。文字通り、この能力には限度がある。問題はその限度が後どれくらいなのかが判らないと言う部分なの」
「残り何回生き返る事が出来るのかわからないって事か?」
「そう、さらにはこの能力はただ生き返る様になるだけ。それだけで十分かもしれないけど、それだけじゃあのマーロウってアンドロイドには勝てない」
リリーは両手でゼノの肩を掴み、より一層真剣な表情で言う。
「確かに私はあの時に能力を分け与えたわ。でも気を抜かないで。何も食べなくても死ぬ、頭を潰されても死ぬ、心臓を貫かれても死ぬ。いい? 私たちは『ただの人間』なの。いくら生き返っても強くなる訳じゃない、一度負けた相手に勝てるようになるわけじゃない」
リリーはより一層暗い表情になる。
「それに……能力を渡す条件は、自分の残りの回数を半分渡す事なの」
「え……」
「元々わからない数字が、更に少なくなる。もしかすると後十回かもしれない、五回かもしれない……」
リリーが掴むゼノの肩には痛みが走るほどになっていた。
「決して『死ねる』なんて思わないで、そんな考えじゃ、いつか本当に死んでしまう」
やがてゼノの肩の痛みは引き、代わりにリリーの顔から涙が零れ落ちる。
――あの時ナーファにも手が届いていれば。
そんな後悔の念がゼノにまで伝わって来る。
ゼノには返す言葉が思いつかなかった……。
---
しかし、リリーの思いとは裏腹に再び第四日が訪れ、ゼノとリリーはマーロウから二度目の敗北を与えられる。
五回、十回と繰り返してはマーロウに殺される。
「くそっ! いくらやっても勝てない!」
ゼノは二十を越えた辺りから死んだ回数を数えるのを止めた。
幸い蘇りの回数が無くなる事は無く、リリーも同じく生きている。
「ゼノ、いくらやっても勝てるビジョンが見えないの……何か別の方法を考えましょう」
「別の方法ったってどうするんだよ!」
何回も死に続けた二人は毎回死んでしまう程の痛みを受けていた。
肉体は元に戻っても、精神は戻らない。
二人にとってマーロウは恐怖の象徴となっていた。
もう打つ手は無いのだろうか?
また今回もノースクの兵士達がアジトを訪れる。
いくら言い争っても、いくら考えても案は出ず、時間だけが過ぎて行く。
諦め掛けていた二人を他所にノースクの兵士達が依頼を申し込む。
もちろんガンデスは了承し、四日にノースク近くの村を訪れる事になる。
また始まる、きっと今回も死ぬんだろう。
まだ蘇りの回数が残っている事を祈ることしか出来ずにいたゼノは耳を疑った。
「俺は行かない」
イデアルははっきりと行かないと言った。
「は……? 行かないって言ったのか?」
リリーも驚いた表情をしている。
ナーファ、ガンデス、ベルは時が止まったかの様に動かなくなってしまう。
その様子を見たイデアルは苛つきを露わにしアジトの外へと飛び出して行く。
「待って!」
数秒フリーズしてしまったリリーは慌ててイデアルを追いかける。ゼノもはっとして更にリリーを追いかける。
---
「随分と早い修正だな」
自分に追いついてきたリリーを前によくわからない事を言い放つイデアル。
「イデアル、貴方何故行かないなんて!」
ようやくゼノも追いついてくる。
イデアルは我慢の限界とばかりに捲し立てる。
「ふざけるな! 馬鹿にするのも大概にしろ!」
「ちょっと!?」
「落ち着けよイデアル!」
「落ち着いてられるか!」
イデアルはかなり動揺している様だ。
同時に怯えてもいるらしい。
「お前達は何故生きている!? 俺達はアンドロイドだ、あの光の後に全アンドロイドが修理され、又四日目から繰り返している、時間が戻ったかのように。お前達は『人間』だと言った! あの時マーロウに殺された筈だ、何回もな!」
ゼノとリリーはイデアルが何故これ程怯えているのか理解した。
――お前達は本当に人間なのか?だとしたら何故生きている?
はっきりと口には出さないが、きっとそう感じているのだろう。
意を決して二人が能力の事を話す。
「そんな話が信じられる訳ないだろう!」
「だが、修理されていると言ったな? その時に俺達は居たか?」
「それは……」
アンドロイドである確証は無い、だが同時に人間である確証も無い。
イデアルは黙り込んでしまった。
「ちょっと待って? 修理と言ったの?」
リリーが口を挟む。
「修理って誰がやっているの? アルビオンが?」
「それは分からない、だがアルビオンでは無いのは確かだ」
「アルビオンは敵ではない……?」
ゼノが言う『敵』というのがどういうものを指すのかわからないが、リリーとゼノにとってはアルビオンは敵と判断するには十分すぎる程憎むべき相手だった。
「いや、そのアルビオンを裏で操っている奴がいる……と思う」
「思うって、確定してないのか?」
「仕方ないだろう? 正体が掴めない、正直に言うと俺からすればお前達も怪しいんだ。もしかしたらグルかもしれない」
「はあ!?」
思わず拳に力が入るゼノをリリーが止める。
「ここでそんな挑発をしても意味が無いでしょう? それにこっちにだって聞きたいことがあるの」
リリーはイデアルに何故今までと違う行動をしたのかを問いただす。
すると一つの赤い石を取り出す。
「これを持っているからだ」
「それは?」
「ベルナンドというものだ、これを持っていればアルビオンからの命令を無視する事が出来る」
ゼノは「じゃあ他の皆は?」と聞く。
「ああ、アルビオンによって操られている」
「そして何者かがアンドロイドを修理している……」
「そいつら別者で、だが敵であることには間違いないって事か」
イデアルがアジトの方へと帰り始める。
「ちょっと!」
「おい!」
急いで追いかける二人。
「正直お前達が人間だろうが、アンドロイドだろうがどっちでもいいんだ。問題は敵なのか味方なのかだ」
「何回も言ってるだろ、俺達は味方だ」
ゼノの言葉にイデアルの足が止まる。
前を向いていたイデアルはゼノの方に向き直り言う。
「だったら次にマーロウと戦う時に証明して見せてくれ」
イデアルはそれだけ言うと再び歩き出す。
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