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第四章 過去編Ⅱ
真十七話「集いし者達」
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「着いたぞ、ここだ」
ゼノがイデアルをアジトに案内する。
「ここがゼノのアジトって訳か」
「もう一人いるぞ」
ゼノはイデアルを連れリリーが眠る部屋へと向かう。
「こいつ……人間か!?」
久しぶりに見る人間に驚くイデアル。
(そういえば……)
「実は何年か前にノースクで人間を見かけたんだが、何か知らないか?」
イデアルがゼノに尋ねた途端、苦い顔するゼノ。
「何かまずい事でも言ったか?」
「あれな、俺だわ」
「何!?」
当時余りの恐怖で何もできず逃げ出した事を恥じながら言う。
すっかり顔が真っ赤になったゼノを哀れに思ったのかイデアルが宥める。
「とにかく、人間は俺とこの眠っているリリー、それに生きているかわからないがネシアの三人だけの筈だ」
「三人だけ……」
「結局ネシアを探しにエデンに行ったんだが、ネシアは居なかったし、オーは見捨てちまうし……」
「まあ、あの状況ではしかたないさ。あいつも逃げろって言ってただろ?」
「まあな……」
自分の無力さを改めて痛感する。
もっと強くならなければ。そうしないとオーもネシアも助けられない。
ゼノは歯を食いしばる。
「そういえば何でお前たちはエデンに来たんだ?」
イデアルからの当然の疑問にネシアを助ける為と答える。
『だがそんな奴はいなかった』とのイデアルの返答にゼノは頭を抱える。
「そうなんだよ……何処に行ったんだ」
がくっと項垂れる。
「まあ何処にいるにしろ、まずはアルビオンを破壊しない事にはまともに探しごともできないぜ?」
「どういう意味だ?」
イデアルが言うにはここまで大っぴらにアルビオンの前で事を起こしたのだから、今後は狙われてしまうだろうとの事。
「確かに、人探しをするにも安全を確保しないとな」
「だが戦力も足りないな」
現在アジトにいるのは眠ったままのリリー、そしてN型のアンドロイドが三体。
「N型じゃ役に立たないな」
「ノースクには他にC型辺りはいるんだろ?」
「居るにはいるが……」
イデアルはあまり乗り気では無い様だ。
「正直、俺にとっちゃアルビオンより危険かもしれんな……」
ゼノも訳を聞き、イデアルの事情を酌み取る。
「ならアーファルスの方に行こうか」
「まあそこしかないな」
二人はアーファルスに向かう為の身支度を始める。
---
――数日後。
「それでいいのか?」
「ああ、できるだけ軽い方がいい」
ゼノは荷物を最小限に、対してイデアルは少々多く持ちすぎている。
「軽い方がいいって……武器すら持ってないじゃねえか」
「あれを使えって?」
ゼノが指差す方向にはブリッツの顔を半壊させた剣が。
「確かにな……よかったら使うか?」
イデアルが沢山の荷物の中から一本の剣を取り出す。
「いいのか?」
「ああ、沢山あるしな」
「んじゃあ遠慮なく」
イデアルから、前の剣より少し長い剣を受け取る。
長い分重さも違い、少し違和感を感じながらもアーファルスに向けて二人は出発する。
---
「おい! あれ!」
アーファルスに着いた二人の目にはノースクと同じように戦争が起こる前の状態が再現されていた。
しかし、ノースクとは違いアーファルスには数体のアンドロイドしかいない。
さらには、その数体のアンドロイド同士が殴り合っているではないか。
「いや、よく見てみろ。片方が一方的に殴ってるだけだ」
ゼノの言う通り、どうやら一方的に殴り続けているアンドロイドは奇声を上げながらも手を止めない。
「どうする? アーファルスに行くにはあそこを通るしかないぞ?」
「仕方ない、行くぞ!」
二人は未だ奇声を上げるアンドロイドの前に立ちはだかる。
「ああ? なんだお前たちは?」
楽しみを邪魔された子供の様に、イラつきを全く隠さないどころか、明らかな敵意を持って睨みつける。
イデアルはその顔に身構える。
ゼノはどうだ?と隣のゼノの顔を見る。
「ど、どうした!?」
まさか敵を前にして怖気づいたのか?
そうでは無かった。
「ガンデス……」
そのアンドロイドの顔はゼノが知っている顔だった。
「うおおおおおおおおお!」
雄叫びを上げながら二人に突進するガンデス。
イデアルが全力で受け止めるが、勢いは止まらない。
「くそっ! 同じC型だろうが! どうなってやがる」
イデアルがガンデスの右腕を確認しながら愚痴をこぼす。
しかしガンデスの力は一切緩むことなく、寧ろ更に強まる。
イデアルをそのまま持ち上げ、一気に地面に叩きつける。
「ぐはっ」
一撃で腹部の背骨パーツにひびが入る。
「くそっ、何突っ立ってやがる! 敵に集中しろ!」
敵と言う言葉に拒否感が出る。
ゼノは目の前のガンデスと同じ見た目をしている者をどうしても敵だと思えなかった。
アンドロイドだと分かっていても、手が、足が動かない。
ほとんど十年ぶりに見るガンデスの顔をみて場違いな懐かしさえ感じる。
「はっはああああ! 死ねえええ!」
「あぶねえ!」
ガンデスの攻撃を辛うじて避けるイデアル。
「おい! いい加減にしろよゼノ! 何があったか知らねえが、こいつはおまえの知っている奴じゃねえぞ!」
でも見た目がガンデスと同じなんだ。口には出ない悲痛な叫びがゼノの身体を駆け巡る。
奴はガンデスでは無い、そう何度言い聞かせても身体が動かない。
今もイデアルが殴られている、用意した武器も何も役立てられずに一方的に。
「くそっ、どうしたってんだよ!」
イデアルには悪態を付くしかできない。
ガンデスは凶悪な顔で殴る事自体を楽しんでいる様だ。
――そうだ、ガンデスはそんな事はしない。
ようやく動き出したゼノがガンデスに飛びかかる。
「邪魔だあああ!」
「イデアルから離れろ!」
ガンデスはゼノを投げ飛ばし、ついでと言わんばかりにイデアルも同じ方向に投げ飛ばす。
「すまん、ちょっと動揺してた」
「ちょっとどころじゃねえだろ、頼むぜ全く」
普段の調子を取り戻したゼノとイデアルがガンデスを捉えるように剣を構える。
「作戦は?」
イデアルが尋ねる。
「あいつC型なんだろ? 出来れば捕えたい」
「了解、だったら話は早い。まずはあいつの動きを止めるぞ」
雄叫びと同時にゼノとイデアルがガンデスに向かっていく。
ゼノがイデアルをアジトに案内する。
「ここがゼノのアジトって訳か」
「もう一人いるぞ」
ゼノはイデアルを連れリリーが眠る部屋へと向かう。
「こいつ……人間か!?」
久しぶりに見る人間に驚くイデアル。
(そういえば……)
「実は何年か前にノースクで人間を見かけたんだが、何か知らないか?」
イデアルがゼノに尋ねた途端、苦い顔するゼノ。
「何かまずい事でも言ったか?」
「あれな、俺だわ」
「何!?」
当時余りの恐怖で何もできず逃げ出した事を恥じながら言う。
すっかり顔が真っ赤になったゼノを哀れに思ったのかイデアルが宥める。
「とにかく、人間は俺とこの眠っているリリー、それに生きているかわからないがネシアの三人だけの筈だ」
「三人だけ……」
「結局ネシアを探しにエデンに行ったんだが、ネシアは居なかったし、オーは見捨てちまうし……」
「まあ、あの状況ではしかたないさ。あいつも逃げろって言ってただろ?」
「まあな……」
自分の無力さを改めて痛感する。
もっと強くならなければ。そうしないとオーもネシアも助けられない。
ゼノは歯を食いしばる。
「そういえば何でお前たちはエデンに来たんだ?」
イデアルからの当然の疑問にネシアを助ける為と答える。
『だがそんな奴はいなかった』とのイデアルの返答にゼノは頭を抱える。
「そうなんだよ……何処に行ったんだ」
がくっと項垂れる。
「まあ何処にいるにしろ、まずはアルビオンを破壊しない事にはまともに探しごともできないぜ?」
「どういう意味だ?」
イデアルが言うにはここまで大っぴらにアルビオンの前で事を起こしたのだから、今後は狙われてしまうだろうとの事。
「確かに、人探しをするにも安全を確保しないとな」
「だが戦力も足りないな」
現在アジトにいるのは眠ったままのリリー、そしてN型のアンドロイドが三体。
「N型じゃ役に立たないな」
「ノースクには他にC型辺りはいるんだろ?」
「居るにはいるが……」
イデアルはあまり乗り気では無い様だ。
「正直、俺にとっちゃアルビオンより危険かもしれんな……」
ゼノも訳を聞き、イデアルの事情を酌み取る。
「ならアーファルスの方に行こうか」
「まあそこしかないな」
二人はアーファルスに向かう為の身支度を始める。
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――数日後。
「それでいいのか?」
「ああ、できるだけ軽い方がいい」
ゼノは荷物を最小限に、対してイデアルは少々多く持ちすぎている。
「軽い方がいいって……武器すら持ってないじゃねえか」
「あれを使えって?」
ゼノが指差す方向にはブリッツの顔を半壊させた剣が。
「確かにな……よかったら使うか?」
イデアルが沢山の荷物の中から一本の剣を取り出す。
「いいのか?」
「ああ、沢山あるしな」
「んじゃあ遠慮なく」
イデアルから、前の剣より少し長い剣を受け取る。
長い分重さも違い、少し違和感を感じながらもアーファルスに向けて二人は出発する。
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「おい! あれ!」
アーファルスに着いた二人の目にはノースクと同じように戦争が起こる前の状態が再現されていた。
しかし、ノースクとは違いアーファルスには数体のアンドロイドしかいない。
さらには、その数体のアンドロイド同士が殴り合っているではないか。
「いや、よく見てみろ。片方が一方的に殴ってるだけだ」
ゼノの言う通り、どうやら一方的に殴り続けているアンドロイドは奇声を上げながらも手を止めない。
「どうする? アーファルスに行くにはあそこを通るしかないぞ?」
「仕方ない、行くぞ!」
二人は未だ奇声を上げるアンドロイドの前に立ちはだかる。
「ああ? なんだお前たちは?」
楽しみを邪魔された子供の様に、イラつきを全く隠さないどころか、明らかな敵意を持って睨みつける。
イデアルはその顔に身構える。
ゼノはどうだ?と隣のゼノの顔を見る。
「ど、どうした!?」
まさか敵を前にして怖気づいたのか?
そうでは無かった。
「ガンデス……」
そのアンドロイドの顔はゼノが知っている顔だった。
「うおおおおおおおおお!」
雄叫びを上げながら二人に突進するガンデス。
イデアルが全力で受け止めるが、勢いは止まらない。
「くそっ! 同じC型だろうが! どうなってやがる」
イデアルがガンデスの右腕を確認しながら愚痴をこぼす。
しかしガンデスの力は一切緩むことなく、寧ろ更に強まる。
イデアルをそのまま持ち上げ、一気に地面に叩きつける。
「ぐはっ」
一撃で腹部の背骨パーツにひびが入る。
「くそっ、何突っ立ってやがる! 敵に集中しろ!」
敵と言う言葉に拒否感が出る。
ゼノは目の前のガンデスと同じ見た目をしている者をどうしても敵だと思えなかった。
アンドロイドだと分かっていても、手が、足が動かない。
ほとんど十年ぶりに見るガンデスの顔をみて場違いな懐かしさえ感じる。
「はっはああああ! 死ねえええ!」
「あぶねえ!」
ガンデスの攻撃を辛うじて避けるイデアル。
「おい! いい加減にしろよゼノ! 何があったか知らねえが、こいつはおまえの知っている奴じゃねえぞ!」
でも見た目がガンデスと同じなんだ。口には出ない悲痛な叫びがゼノの身体を駆け巡る。
奴はガンデスでは無い、そう何度言い聞かせても身体が動かない。
今もイデアルが殴られている、用意した武器も何も役立てられずに一方的に。
「くそっ、どうしたってんだよ!」
イデアルには悪態を付くしかできない。
ガンデスは凶悪な顔で殴る事自体を楽しんでいる様だ。
――そうだ、ガンデスはそんな事はしない。
ようやく動き出したゼノがガンデスに飛びかかる。
「邪魔だあああ!」
「イデアルから離れろ!」
ガンデスはゼノを投げ飛ばし、ついでと言わんばかりにイデアルも同じ方向に投げ飛ばす。
「すまん、ちょっと動揺してた」
「ちょっとどころじゃねえだろ、頼むぜ全く」
普段の調子を取り戻したゼノとイデアルがガンデスを捉えるように剣を構える。
「作戦は?」
イデアルが尋ねる。
「あいつC型なんだろ? 出来れば捕えたい」
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