1 / 46
第一章 始まり編
プロローグ
しおりを挟む
――システムの設定を変更します。
――繰り返します、システムの設定を変更します。
――カウント日数を13に変更……。
――カウント日数到達を確認しました、システムをリセットします、担当者は次元超越の衝撃に備えてください。
突如二人の男の話し合いを遮るように謎のアナウンスが流れる。
「どういう事だ!リセット周期は14日間の筈だ!」
「な、何が起きている!今の声は!?」
「誰かがアルビオンの設定を変更した」
「どういう事だ!アルビオンを管理しているのはブリッツじゃないのか!?」
「その筈なんだがな!」
言いながら一人の男は大きなモニターに向かう。
――システムリセットまで30秒。
「何をするつもりだ」
不安そうなもう一人の男が言う。
「さっき渡したベルナンドをしっかり持っていろ!それがあれば記憶を失わずに済む!」
――システムリセットまで10秒。
アナウンスが残り時間を告げる。
「くそっ!いいか? 本当の敵はブリッツじゃない!アルビオンの設定を変更した奴が本当の敵だ!」
――8、7
「敵?敵ってなんだよ!」
あいつにも言われた敵とはブリッツの事だと思っていた。
しかし、敵はブリッツでは無かった。
全てが振り出しに戻った気がした、そして今まさに世界がアルビオンによって振り出しに戻されようとしていた。
――6、5、4。
「もう時間が無い!リセットされたらあいつに言うんだ!」
――3、2。
「言うってな……」
――1、0…………システムリセットを開始シマス…………。
最後の言葉を交わすことなく、二人がいた空間は瞬時に光で覆われた、その光は更に大きくなり、やがて世界全体を覆ってしまった。
男の意識は光によって微睡みの中に落ちる。
薄れゆく意識の中で巨大な魔力を放つアルビオンを見て思いだす。今までに何度も見たこの光景を……
(またダメだった……)
男は繰り返していた。
同じように4日から今日にいたるまで何度も繰り返していた――。
---
澄み渡る青空の下、周りの晴れやかな景色にそぐわず、暗い顔をしながら歩く一団がいた。
彼らは大陸の南に位置する国『ノースク』の兵士達。
彼らは現在、同じく大陸の北に位置する国『アーファルス』との戦時中の状態である。
しかし、ノースクの敗戦は濃厚であり、このままでは時間の問題との声も多い。
そこで彼らは『オメガ』と呼ばれる傭兵集団に戦争の協力依頼を頼む為、オメガのアジトへと向かっている途中だった。
「隊長、本当に異端者なんかに頼むんですか?」
「それが上の判断だろう、我々はそれに従うまでだ」
そう言いつつも、隊長と呼ばれた男も納得していない様だった。
それもその筈、彼らが依頼しようとしているオメガと言う集団は、世間では『異端者』と呼ばれ忌み嫌われている存在だった。
この世界には魔法という力が存在する。
魔法は四種類、火・水・風・雷。その上位種とされる光。
しかし、オメガの面々はその五種類の魔法以外の物を使うらしい……。
らしいというのも、余りにも世間に出回っている情報が少ないのだ。ただ確実なのは、彼らが五種類しか無い筈の魔法と言う力の道理から外れているという事。
故に、オメガは異端者の集団とされていた。
ため息を付く隊長は、これから向かう全貌が見えない相手の事を考えて、やめる。
考えても仕方ない――。
足取りは重く、しかし確実にオメガが住むアジトは近づいてくる。
「はあ、一体どうなる事やら……」
再びため息を付く隊長の足取りは重いままだった。
――繰り返します、システムの設定を変更します。
――カウント日数を13に変更……。
――カウント日数到達を確認しました、システムをリセットします、担当者は次元超越の衝撃に備えてください。
突如二人の男の話し合いを遮るように謎のアナウンスが流れる。
「どういう事だ!リセット周期は14日間の筈だ!」
「な、何が起きている!今の声は!?」
「誰かがアルビオンの設定を変更した」
「どういう事だ!アルビオンを管理しているのはブリッツじゃないのか!?」
「その筈なんだがな!」
言いながら一人の男は大きなモニターに向かう。
――システムリセットまで30秒。
「何をするつもりだ」
不安そうなもう一人の男が言う。
「さっき渡したベルナンドをしっかり持っていろ!それがあれば記憶を失わずに済む!」
――システムリセットまで10秒。
アナウンスが残り時間を告げる。
「くそっ!いいか? 本当の敵はブリッツじゃない!アルビオンの設定を変更した奴が本当の敵だ!」
――8、7
「敵?敵ってなんだよ!」
あいつにも言われた敵とはブリッツの事だと思っていた。
しかし、敵はブリッツでは無かった。
全てが振り出しに戻った気がした、そして今まさに世界がアルビオンによって振り出しに戻されようとしていた。
――6、5、4。
「もう時間が無い!リセットされたらあいつに言うんだ!」
――3、2。
「言うってな……」
――1、0…………システムリセットを開始シマス…………。
最後の言葉を交わすことなく、二人がいた空間は瞬時に光で覆われた、その光は更に大きくなり、やがて世界全体を覆ってしまった。
男の意識は光によって微睡みの中に落ちる。
薄れゆく意識の中で巨大な魔力を放つアルビオンを見て思いだす。今までに何度も見たこの光景を……
(またダメだった……)
男は繰り返していた。
同じように4日から今日にいたるまで何度も繰り返していた――。
---
澄み渡る青空の下、周りの晴れやかな景色にそぐわず、暗い顔をしながら歩く一団がいた。
彼らは大陸の南に位置する国『ノースク』の兵士達。
彼らは現在、同じく大陸の北に位置する国『アーファルス』との戦時中の状態である。
しかし、ノースクの敗戦は濃厚であり、このままでは時間の問題との声も多い。
そこで彼らは『オメガ』と呼ばれる傭兵集団に戦争の協力依頼を頼む為、オメガのアジトへと向かっている途中だった。
「隊長、本当に異端者なんかに頼むんですか?」
「それが上の判断だろう、我々はそれに従うまでだ」
そう言いつつも、隊長と呼ばれた男も納得していない様だった。
それもその筈、彼らが依頼しようとしているオメガと言う集団は、世間では『異端者』と呼ばれ忌み嫌われている存在だった。
この世界には魔法という力が存在する。
魔法は四種類、火・水・風・雷。その上位種とされる光。
しかし、オメガの面々はその五種類の魔法以外の物を使うらしい……。
らしいというのも、余りにも世間に出回っている情報が少ないのだ。ただ確実なのは、彼らが五種類しか無い筈の魔法と言う力の道理から外れているという事。
故に、オメガは異端者の集団とされていた。
ため息を付く隊長は、これから向かう全貌が見えない相手の事を考えて、やめる。
考えても仕方ない――。
足取りは重く、しかし確実にオメガが住むアジトは近づいてくる。
「はあ、一体どうなる事やら……」
再びため息を付く隊長の足取りは重いままだった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。

「白い結婚の終幕:冷たい約束と偽りの愛」
ゆる
恋愛
「白い結婚――それは幸福ではなく、冷たく縛られた契約だった。」
美しい名門貴族リュミエール家の娘アスカは、公爵家の若き当主レイヴンと政略結婚することになる。しかし、それは夫婦の絆など存在しない“白い結婚”だった。
夫のレイヴンは冷たく、長く屋敷を不在にし、アスカは孤独の中で公爵家の実態を知る――それは、先代から続く莫大な負債と、怪しい商会との闇契約によって破綻寸前に追い込まれた家だったのだ。
さらに、公爵家には謎めいた愛人セシリアが入り込み、家中の権力を掌握しようと暗躍している。使用人たちの不安、アーヴィング商会の差し押さえ圧力、そして消えた夫レイヴンの意図……。次々と押し寄せる困難の中、アスカはただの「飾りの夫人」として終わる人生を拒絶し、自ら未来を切り拓こうと動き始める。
政略結婚の檻の中で、彼女は周囲の陰謀に立ち向かい、少しずつ真実を掴んでいく。そして冷たく突き放していた夫レイヴンとの関係も、思わぬ形で変化していき――。
「私はもう誰の人形にもならない。自分の意志で、この家も未来も守り抜いてみせる!」
果たしてアスカは“白い結婚”という名の冷たい鎖を断ち切り、全てをざまあと思わせる大逆転を成し遂げられるのか?
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

完結 愛のない結婚ですが、何も問題ありません旦那様!
音爽(ネソウ)
恋愛
「私と契約しないか」そう言われた幼い貧乏令嬢14歳は頷く他なかった。
愛人を秘匿してきた公爵は世間を欺くための結婚だと言う、白い結婚を望むのならばそれも由と言われた。
「優遇された契約婚になにを躊躇うことがあるでしょう」令嬢は快く承諾したのである。
ところがいざ結婚してみると令嬢は勤勉で朗らかに笑い、たちまち屋敷の者たちを魅了してしまう。
「奥様はとても素晴らしい、誰彼隔てなく優しくして下さる」
従者たちの噂を耳にした公爵は奥方に興味を持ち始め……
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる