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しおりを挟む こちらの顔を見るや、胸のうちを読み取ったのか眼をわずかにみはった。そして、すぐに表情を引きしめる。
雄彦はあたらまった様子で彼女と向き合った。
……八重の長い睫毛が、不安をあらわしてかかすかに震えている。
「――もはや気づいておろうが、小笠原兄弟らしき双子が出入りする賭場を突き止めた」
真剣な声で告げたとたん、彼女はまばたきを二度、三度とした。心を落ちつけようとしているのだ。
「まことでございますか……?」
兄が間違っているとは思えない、しかしそれでも確認せずにはいられない、八重はそんな顔つきをする。
「まことだ。双子の二刀流遣いが、あの者らのほかにおるとも思えぬ」
「やっと……やっと、敵(かたき)を見つけることができました、父上」
雄彦の肯定の言葉に、妹は目元を赤くした。
だが、感極まった様子の彼女の表情にはどこか、一方でその事実を喜んでいないような気配がただよっている。
「なれど、まだ敵を討ったわけではない。ゆめゆめ、油断いたすな――」
しかし、雄彦はその言葉を口にする代わりにほかのせりふを口にした。
ひた、と八重がこちらの眼を見据える。
うっ――そのまっすぐな眼差し、奥に秘められた思いの強さに彼は気おされる……。
「兄上、お伝えしたき儀があります」
そんなこちらの反応など意に介さず、いやむしろ畳みかけるように彼女は言葉を重ねる。
「鬼卒流の遣い手の小笠原兄弟は恐るべき剣法者、こたびの戦いでは命を落とすこともありうるでしょう」
「縁起でもないことを――」
申すな、という雄彦のせりふは、妹の真剣な眼差しの前に途切れてしまった。
雄彦はあたらまった様子で彼女と向き合った。
……八重の長い睫毛が、不安をあらわしてかかすかに震えている。
「――もはや気づいておろうが、小笠原兄弟らしき双子が出入りする賭場を突き止めた」
真剣な声で告げたとたん、彼女はまばたきを二度、三度とした。心を落ちつけようとしているのだ。
「まことでございますか……?」
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「まことだ。双子の二刀流遣いが、あの者らのほかにおるとも思えぬ」
「やっと……やっと、敵(かたき)を見つけることができました、父上」
雄彦の肯定の言葉に、妹は目元を赤くした。
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しかし、雄彦はその言葉を口にする代わりにほかのせりふを口にした。
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うっ――そのまっすぐな眼差し、奥に秘められた思いの強さに彼は気おされる……。
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