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「……」と壮絶なやり取りに、傍観者と化していた八重、雄彦、兵庫は言葉を失っていた。
 ――男の身体から大刀が引き抜かれる。
「が、はッ……」
 地面に崩れ落ち、そのまま絶命した。
 戦いは終わった――が、すべてに幕がおりたわけではない。
 残心、そして納刀。刀を納めた父の眼が、その場にいる子供たちに向いた。
「――たわけがッ!」
 雷声がその場に轟く。
 その後、三人が散々にしぼれたのは云うまでもない――

 詐術によって騙されていた村からの聞き取りなどから、男の行っていた悪事の全容が明らかになった。
 ある日、神主が血の痕だけを残して行方を晦(くら)ます。そして、現場には神の名を語って、「供物を収めるべし」という文が残されていた。
 さすがに、村人もいきなりそれで貴重や収穫物や家畜を捧げようなどとはしなかった。
 だが、村の子供が一度に数人、血痕と肉片だけになって見つかるにいたり、村人たちの考えも変わる。
 そうして、供物を鵺神と名乗る神へと納めるようになったのだ。
 もちろん、本物の神などいなかった。
 獣を思うがままに従えることのできる術(すべ)を持った山の民の出の男が、どういう経緯でか中国の虎を手にし、妖怪である鵺に見えるよう小細工をして詐術に及んでいたのだ……
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