斬奸剣、兄妹恋路の闇(時代小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品)

牛馬走

文字の大きさ
上 下
66 / 106

66

しおりを挟む

 今の状況だが、さっきまで満面の笑みで酔っぱらっていた同期から、フェラされている。

 何も返答できないまま彼のキスに翻弄され、俺はソファの上にもたれる。
 気付いた頃にはスラックスはおろか、何もかも脹脛に留まっている状態……らしい。
 北岸の熱い吐息が俺の下腹部に当たるのがすぐ分かった。
 俺の陰茎をぺろぺろと舐め続けている。下から上にかけて、時間を掛けて。

 本気で俺のを……舐めてる……。

 どうしよう、は、恥ずかしい。
 俺が思ってた雰囲気と、違うんだけど、これ。

 開けかけ弛んだワイシャツの袖をギュッと掴み自分の開脚した間を隠す。
 唇がカリの部分に触れると、亀頭を唇ですべて含みあげ、チュプチュプとしゃぶる。唇の 柔らかな感触が、堪らなく俺の性欲を駆り立てた。

「ひもひい……?ひやはふん……」

 咥えながら、喋らないで欲しい。
 本当に恥ずかしくて死んでしまいそうだ。

「やめろ、ばか……っ!」

 竿を全て喉の奥まで咥え切り、口を窄め舌で強く裏筋に圧力を与えた。
 数回扱いた後、その流れで舌先を亀頭の尿道口にグリグリと押し当てた。
 慣れた様子で俺のソレをしゃぶり続ける。

「ふ……あっ……んっ」

 同期にしゃぶられてるだけだ。そう、遊びの戯れに付き合っているだけ、と自分に言い聞かせていたが、なんだ、この声。
 本当に自分の声なのかと耳を疑う。

 男にフェラされるのがこんなに気持ち良いなんて、知らなかった。全然、違う。

 君津さんも……会議室でこういうコト……してたのかな。
 どうしてくれるんだよ。この状況。

「……宮田くん?……よーく見て、僕がしゃぶるとこ」

 彼の手が俺の胸部にまで伸びてきた。

「っ!」

 煽られていると感じ、視線を向けるのに躊躇したが……自分のソレを弄る彼の姿も見たいという思いと、葛藤。





 胸の突起した部分をなぞられる感覚。
 視線の先には、俺の竿に手を添えた上目遣いの北岸がいた。いつもの顔とは全く違う、北岸が。
 酔いがまだ回っているのか、興奮しているのか、北岸は顔が少し赤かった。

 見つめ合えたと思うと、微笑し、とろけそうな目で亀頭にしゃぶり付いた。顔の角度を傾けてカリの部分を尖らせた舌で執拗に攻める。
 そして、舌全体を使い挑発的に陰茎を上下に舐めると全て一気に口に含み、じゅるるると小さな口で懸命に扱き続けた。

「ああっ!……くそ……気持ちよすぎる……っ」

「ほんほ?……うれひい!」

 めちゃくちゃ喘ぎたい。
 まさかここまでされてしまうなんて。
 屈辱的で気持ち良くて、ちょっと嬉しくて、混乱してる。
 目頭が熱くなってきた。

「ふぅ……ん……うぐ……んふ……」

 彼の口元から微かに漏れる声。
 刺激を与え続けられ、たぶん俺、先走っている気がする。
 北岸の口元がじゅぶじゅぶに濡れ、口の端からは涎なのか、俺の先走りなのか、顎にかけてツー……と透明な液体が垂れ、俺の陰毛の上に添えられた指に、糸を引きながら滴っていた。
 はっ、と、ここまで細部を視認しはぁはぁと興奮してしまっている自分。

 俺……何してんだ……。

 何に期待してる……。

 その心のゆらぎを察知したかのように、北岸は口を存分に使い、俺の陰茎を更に激しく弄び続けた。

「はぁ……これ……だめ! ……イっちゃう……からぁ!」

 部屋の一角にあるスタンドミラーになんとなく目を移すと、股を開いて同期にしゃぶられ、身を捩らせ喘いでいる俺の姿が映っていた。

 こんな顔してんのか俺……!?

 恍惚な表情をしている自分自身と目が合う。
 体の中が一気にカッと熱くなった。心拍数が上がり、火照って汗が滲み出てくる。

「いいよ、イきたくなったら、出して」

 そう言い放つと、口を窄め舌を激しく蠢かせて、喉元まで自ら突っ込み激しくフェラを続けた。

「あっ!! ああっ!」

 彼の上顎に、喉奥に亀頭が擦れる度、俺は堪えていた喘ぎ声が遂には漏れてしまった。
 これが引き金となって俺の嬌声だけが部屋の中に響き渡る。
 じゅぶじゅぶ、じゅるるる……と、猥雑な音と共に。

 自分の呼吸が、荒い。
 彼の指先が俺の乳首を激しく愛撫する。
 指圧と抓られる感覚を敏感に受け取れてしまうくらい、全ての行為に対して欲情していた。

「はぁ……ぐっ……あっ、い……くっ……イク……あっ!……ああっあ!!!」

「んーーっ!」

 彼の口の中に、俺の全てを出してしまった。

「……はぁ」

 身体が痙攣する。

 一滴も溢さないように、北岸は口の中に出し切った精液を口を大きく開けて見せてると、全て飲み干した。

「……んっ……ん……はぁ……宮田くんの精液……熱くて……おいしい」

 汗ばんだ額。
 とろとろになった瞳が俺の顔を覗き込んでくる。
 これで終わりかと思っていた。

「ふふ」

 彼はまだ右手で陰茎を上下に動かしている。
 果てたはずの俺だったが、こんなコトをされるのは初めてだ。
 体がヒクヒクと痙攣している間も、北岸は扱くのをやめない。

「っ……、もう……!いい!変になるから……!それ以上……触るな!」

「どう変になりそう?……教えて」

 開放してくれない、ずっと焦らされてばかりで頭の中がおかしくなりそうだ。
 既に俺は何も気にも留めず、喘ぎ続けていた。

「あう!……おねが……い……だから……!終わらせろ……!」

「宮田くん、ちょっと両足上げて……」

 俺はソファにもたれ掛けたまま、正常位で北岸に向き合う形で自ら太股をかかぎ上げ、腰を浮かせ改めて開脚して見せた。
 これで終わるのなら、と。

「こ、こう……?」

 どうなるんだ、これからという不安と期待が混在する意識の中でただ快楽を求める。
 完全に麻痺し始めてる。
 今はただ、欲しい。もっと。

「凄い、宮田くんのチンコ、僕に突っ込んでぐちゃぐちゃにして欲しいって思ってだけど…こんなえっちな穴見せられたら…挿れたくなっちゃう……」

 俺のモノを扱きながら、我慢ならなかったのか、その穴付近を舌で舐め上げた。

「あっ!……きたない……って!」

 まただ、また未知の快楽が体中を駆け巡る。

「大丈夫。ふふ、ここ……ピンク色でヒクヒクしてる」

 優しい声とは裏腹に、舌を蠢かせ、激しく中へ、中へと厚い舌を挿れてきた。
 穴の周りに舌が這う感触、ゾクゾクしてくる。

 もっと。

 フェラだけで終わると軽く思ってたのに。
 今は北岸のアレが、欲しくて堪らない。

 あれ、俺、どうしたんだろ。

 早く、挿れてほしいなんて。

「むり……挿れ……て……もっと、ほ……しい」

 しまった。
 まてまて、何俺声に出して!?


 挿れて……? ……え?
 俺、一度も男に挿れられたことないのに……っ!?
 夢……?これは夢……

 俺は下唇をぎゅっと噛んでみた。

 ……痛い。

 夢なんかじゃ、無い。
 泣きそう。

「……宮田くん、エロ過ぎ」

 北岸が落ち着いた声でそっと呟いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神楽

モモん
ファンタジー
前世を引きずるような転生って、実際にはちょっと考えづらいと思うんですよね。  知識だけを引き継いだ転生と……、身体は女性で、心は男性。  つまり、今でいうトランスジェンダーってヤツですね。  時代背景は西暦800年頃で、和洋折衷のイメージですか。  中国では楊貴妃の時代で、西洋ではローマ帝国の頃。  日本は奈良時代。平城京の頃ですね。  奈良の大仏が建立され、蝦夷討伐や万葉集が編纂された時代になります。  まあ、架空の世界ですので、史実は関係ないですけどね。

枢軸国

よもぎもちぱん
歴史・時代
時は1919年 第一次世界大戦の敗戦によりドイツ帝国は滅亡した。皇帝陛下 ヴィルヘルム二世の退位により、ドイツは共和制へと移行する。ヴェルサイユ条約により1320億金マルク 日本円で200兆円もの賠償金を課される。これに激怒したのは偉大なる我らが総統閣下"アドルフ ヒトラー"である。結果的に敗戦こそしたものの彼の及ぼした影響は非常に大きかった。 主人公はソフィア シュナイダー 彼女もまた、ドイツに転生してきた人物である。前世である2010年頃の記憶を全て保持しており、映像を写真として記憶することが出来る。 生き残る為に、彼女は持てる知識を総動員して戦う 偉大なる第三帝国に栄光あれ! Sieg Heil(勝利万歳!)

南町奉行所お耳役貞永正太郎の捕物帳

勇内一人
歴史・時代
第9回歴史・時代小説大賞奨励賞受賞作品に2024年6月1日より新章「材木商桧木屋お七の訴え」を追加しています(続きではなく途中からなので、わかりづらいかもしれません) 南町奉行所吟味方与力の貞永平一郎の一人息子、正太郎はお多福風邪にかかり両耳の聴覚を失ってしまう。父の跡目を継げない彼は吟味方書物役見習いとして南町奉行所に勤めている。ある時から聞こえない正太郎の耳が死者の声を拾うようになる。それは犯人や証言に不服がある場合、殺された本人が異議を唱える声だった。声を頼りに事件を再捜査すると、思わぬ真実が発覚していく。やがて、平一郎が喧嘩の巻き添えで殺され、正太郎の耳に亡き父の声が届く。 表紙はパブリックドメインQ 著作権フリー絵画:小原古邨 「月と蝙蝠」を使用しております。 2024年10月17日〜エブリスタにも公開を始めました。

陣借り狙撃やくざ無情譚(時代小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品)

牛馬走
歴史・時代
(時代小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品)猟師として生きている栄助。ありきたりな日常がいつまでも続くと思っていた。  だが、陣借り無宿というやくざ者たちの出入り――戦に、陣借りする一種の傭兵に従兄弟に誘われる。 その後、栄助は陣借り無宿のひとりとして従兄弟に付き従う。たどりついた宿場で陣借り無宿としての働き、その魔力に栄助は魅入られる。

渡世人飛脚旅(小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品で)

牛馬走
歴史・時代
(小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品で)水呑百姓の平太は、体の不自由な祖母を養いながら、未来に希望を持てずに生きていた。平太は、賭場で無宿(浪人)を鮮やかに斃す。その折、親分に渡世人飛脚に誘われる。渡世人飛脚とは、あちこちを歩き回る渡世人を利用した闇の運送業のことを云う――

狩野岑信 元禄二刀流絵巻

仁獅寺永雪
歴史・時代
 狩野岑信は、江戸中期の幕府御用絵師である。竹川町狩野家の次男に生まれながら、特に分家を許された上、父や兄を差し置いて江戸画壇の頂点となる狩野派総上席の地位を与えられた。さらに、狩野派最初の奥絵師ともなった。  特筆すべき代表作もないことから、従来、時の将軍に気に入られて出世しただけの男と見られてきた。  しかし、彼は、主君が将軍になったその年に死んでいるのである。これはどういうことなのか。  彼の特異な点は、「松本友盛」という主君から賜った別名(むしろ本名)があったことだ。この名前で、土圭之間詰め番士という武官職をも務めていた。  舞台は、赤穂事件のあった元禄時代、生類憐れみの令に支配された江戸の町。主人公は、様々な歴史上の事件や人物とも関りながら成長して行く。  これは、絵師と武士、二つの名前と二つの役職を持ち、張り巡らされた陰謀から主君を守り、遂に六代将軍に押し上げた謎の男・狩野岑信の一生を読み解く物語である。  投稿二作目、最後までお楽しみいただければ幸いです。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

竜頭

神光寺かをり
歴史・時代
幕末の信州上田藩。 藤井松平家の下級藩士・芦田家に、柔太郎と清次郎の兄弟が居た。 兄・柔太郎は儒学を学ぶため昌平黌《しょうへいこう》へ、弟・清次郎は数学を学ぶため瑪得瑪弟加塾《まてまてかじゅく》へ、それぞれ江戸遊学をした。 嘉永6年(1853年)、兄弟は十日の休暇をとって、浦賀まで「黒船の大きさを測定する」ための旅に向かう。 品川宿で待ち合わせをした兄弟であったが、弟・清次郎は約束の時間までにはやってこなかった。 時は経ち――。 兄・柔太郎は学問を終えて帰郷し、藩校で教鞭を執るようになった。 遅れて一時帰郷した清次郎だったが、藩命による出仕を拒み、遊学の延長を望んでいた。 ---------- 神童、数学者、翻訳家、兵学者、政治思想家、そして『人斬り半次郎』の犠牲者、赤松小三郎。 彼の懐にはある物が残されていた。 幕末期の兵学者・赤松小三郎先生と、その実兄で儒者の芦田柔太郎のお話。 ※この作品は史実を元にしたフィクションです。 ※時系列・人物の性格などは、史実と違う部分があります。 【ゆっくりのんびり更新中】

処理中です...