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「お前たちにも気をつけてほしいことがあってな」
彼は急の呼び出しで驚いている子供たちを安心させるようにほほ笑んだ。
「して、何に気をつければよいのでしょうか?」
兄がおりめただしく問いかける。
「うむ――神隠しの話は聞いておるか?」
息子の気性がまっすぐに育っていることを喜ぶ顔をしながら、父はそう言葉を重ねた。
「神、隠し?」と雄彦は怪訝な顔をする。
八重もいぶかしげな顔つきをしながらも内心、よかった……、と父の話が自分の予想とは見当違いのものであることに安堵した。
「うむ。なんでも、近隣に住む子供がたびたび行方不明になっているようだ。下手人が何者かはわからぬが、お主たちにも充分留意してほしい」
「承知いたしました」
兄と妹は声をそろえて父に承諾の言葉を返した。
「うむ」と彼はそれにひとつうなずく。しかし、なにか頭痛の種になるような事柄を思い出したのか、表情を微妙なものに変えた。
「いかがいたしましたか、父上?」
それに、雄彦が気づかわしげな顔をみせる。
「うむ……」と口ごもりながらも、父は誰かに明かしたくなったのか、「実はな」としゃべりはじめた。
「藩に『妖怪を退治してくれ』という訴えがあったのだ」
「妖怪を?」
兄は驚いた様子で聞き返した。
彼は急の呼び出しで驚いている子供たちを安心させるようにほほ笑んだ。
「して、何に気をつければよいのでしょうか?」
兄がおりめただしく問いかける。
「うむ――神隠しの話は聞いておるか?」
息子の気性がまっすぐに育っていることを喜ぶ顔をしながら、父はそう言葉を重ねた。
「神、隠し?」と雄彦は怪訝な顔をする。
八重もいぶかしげな顔つきをしながらも内心、よかった……、と父の話が自分の予想とは見当違いのものであることに安堵した。
「うむ。なんでも、近隣に住む子供がたびたび行方不明になっているようだ。下手人が何者かはわからぬが、お主たちにも充分留意してほしい」
「承知いたしました」
兄と妹は声をそろえて父に承諾の言葉を返した。
「うむ」と彼はそれにひとつうなずく。しかし、なにか頭痛の種になるような事柄を思い出したのか、表情を微妙なものに変えた。
「いかがいたしましたか、父上?」
それに、雄彦が気づかわしげな顔をみせる。
「うむ……」と口ごもりながらも、父は誰かに明かしたくなったのか、「実はな」としゃべりはじめた。
「藩に『妖怪を退治してくれ』という訴えがあったのだ」
「妖怪を?」
兄は驚いた様子で聞き返した。
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